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コラム

ドラフト候補が同性愛公表 差別問題に直面するNFL

2014/04/10 【生沢浩】

同性愛を公言したミズーリ大のDLマイケル・サム=3月20日、(AP=共同)
同性愛を公言したミズーリ大のDLマイケル・サム=3月20日、(AP=共同)

同性愛を公言したミズーリ大のDLマイケル・サム=3月20日、(AP=共同)

 Jリーグの浦和レッズの一部のファンが掲げた「Japanese Only」が差別的と解釈され、結果的に無観客試合の実施という重罰に結びつくなど、スポーツ界における差別撲滅運動は日本でも関心が高まっている。今年はNFLでもこうした問題に直面する事態が生まれるかもしれない。


 今年のドラフトで指名候補生の一人であるミズーリ大学のDEマイケル・サムが、自ら同性愛者であることを公表して話題を呼んだことはこのコラムでも紹介した。プロ入りを果たせば、同性愛者を公言している現役選手はNFLでは初めてのケースとなる。


 サムが2月に複数のメディアとのインタビューの中で行ったカミングアウトはおおむね好意的に受け取られた。直後にインディアナポリスで行われたスカウティングコンバインでもこのことが話題になったが、サムは堂々と正面から向き合い、あくまでもフットボール選手として評価してほしいと訴え続けた。


 サムは昨年、所属するサウスイースタン・カンファレンスで最多の11.5サックを記録し、オールアメリカンにも選出された実力者だ。5月のドラフトでは3~4巡で指名を受けると予想されている。
 彼のカミングアウトを受けてNFLは「サムの誠意と勇気をたたえる。どんな選手でも決意と能力があればNFLで成功することができる。われわれはサムを歓迎し、支援していく」との声明を発表した。


 NFL関係者も同性愛者がチームにいるという事実が混乱を招いたりはしないと口を揃える。しかし、事態はそれほど単純ではない。
 カーディナルズのブルース・アリアンズHCは言う。「チームにとって大切なのは勝利することだ。全員がその目標に向けて努力する限りは何の問題もない。ただし、ファンはどうだろうか? 私は親が子どもに好ましくない言葉やゼスチャーを教えている場面を見たことがある。ファンから浴びせられる心ない言葉の方が私は心配だ。」


 熱狂的なファンは、相手チームの選手に向けて時に辛らつな言葉を投げかける。それが因縁のあるライバルチームならなおさらのことだ。
 ファンだけではない。選手でも同性愛に反対する姿勢を表明している者もいる。LBブレンドン・アヤンバデージョはレーベンズに在籍していた2012年シーズンにスーパーボウルの舞台で同性愛者同士の結婚に反対する姿勢を明らかにした。
 こうした選手の発言にどのように対処していくのかもリーグが考えなければいけない問題だ。規制を強めれば言論の自由が侵され、野放しにすれば差別が横行する恐れがある。


 アメリカでは州ごとに同性愛者への考え方が大きく異なる。カリフォルニアやニューヨークなど比較的寛容である州がある一方で、キリスト教の影響が大きい州や都市では根強い反感が存在する。そして、この問題は全米で人気を誇るNFLが避けて通ることのできないものだ。


 サムは一人のフットボール選手としてNFLでプレーする機会を与えられるべきであるし、いかなる差別も受けるべきではない。彼の人権と権益はすべて守られなければならない。これまで現役である間にカミングアウトする選手が現れなかったのは、差別による被害を恐れてきたからだ。サムはそういう歴史に一石を投じたのだ。


 NFLは彼の行為を「勇敢である」と支持するならば、具体的な支援策を講じる必要がある。リーグやチームの目の届かないところで彼が不利益を被る事態を未然に防ぎ、ファンにも理解を求めるのは非常に難しい。
 しかし、決して軽視して避けて通ることのできない問題だ。今、差別問題に直面するNFLの姿勢が世界的に問われている。


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