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318球の熱投 鉄腕エース上野、決勝戦は━

 準決勝の米国戦は延長9回に力尽きた。そして数時間後にオーストラリアとの3位決定戦。勝てば2位以上が決まり、負ければ銅メダル。独特のページシステムで争われるソフトボールで、日本が決勝進出を決めた。
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 命運を握ったのがエースの上野由岐子(ルネサス高崎)だった。「世界最速」と言われる120キロ近い速球を操る本格派。米国の左腕アボットと0-0のまま渡り合ったが、タイブレークの重圧の下、9回に打ち込まれた。

 タイブレークは延長に入った8回以降、無死走者2塁の設定で攻撃が始まるシステム。勝敗を早く決着させようとの促進ルールだから、守る側、とりわけ投手に苦労を強いる。上野は8回こそ無難に切り抜けたが、9回は上位打線のパワーを封じ切れず4点を失った。148球の力投だった。

 続く豪州戦のマウンドに立ったのも上野だった。斎藤監督、ナインが寄せる絶大な信頼感の表れだった。1回にいきなり先制点を許し、3回には簡単な投ゴロを処理し損なった。疲労の色は隠しきれなかったが、広瀬芽(太陽誘電)の2点本塁打で気を取り直した。

 7回2死無走者と勝利まであと1人にこぎつけながら、同点の一発を浴びた。また気を奮い立たせ、踏ん張った。延長11回に1点ずつを取り合い、ようやく12回、西山麗(日立ソフトウエア)の中前打で試合は決着した。

 2試合で計318球、肉体ばかりか神経もすり減らす熱投だった。上野は「負けたくないという一心でした。みんなに助けられて勝てました。感謝したい」と淡々とした口調で話した。

 シドニー五輪から銀、銅メダルを積み重ねてきた日本。次回のロンドン大会からソフトボールは実施競技から外される。最後の金メダルに掛ける思いはひとしお強い。「夢にまで見た舞台です。本当に悔いのないようにやりたい」。26歳の鉄腕エースは静かに闘志を燃やしたが、決勝戦でも右腕は投げられるのか。それが心配になる。

【写真】オーストラリア戦で力投する上野(共同)