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酔いしれる巨大スタジアム 開会式に複雑な思い交錯

 北京五輪開会式は孔子の言葉で始まった。「有朋自遠方来 不亦楽乎『(朋(とも)あり遠方より来る、また楽しからずや』」。世界中の国々が、中国を「友人」と認めてやってくる―。中国政府の言う「中華民族百年の夢」を託すにふさわしかったのだろう。
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 グラウンドの大きな「絵巻」上で繰り広げられるアトラクション。中国の古代からの歴史や文化を体現した華やかな演出に、9万人収容の巨大スタジアム「鳥の巣」は興奮と熱気に酔いしれた。浙江省から自転車で12日間かけてやってきた46歳の男性は「環境にいいと思って自転車で来た。家族の分まで楽しむ」と声を弾ませた。

 大会には204の国・地域が参加し、開会式には80カ国以上の元首、首脳級が出席。いずれも史上最大、最多の規模である。五輪の成功で「世界の超大国」への飛躍を目指す政府にとって、まさに狙い通りのセレモニーとなった。

 だが、お祭りムード最高潮のスタジアムを一歩出ると、外は相変わらず過剰なまでの警備のピリピリした雰囲気が支配していた。遠く離れた四川省ではチベット仏教の僧侶が「開会式なんて見たくない」とつぶやき、大地震被災者の母親が「子どもに開会式を見せたいけど、テレビを買うお金なんてない」と嘆いた。国外でもインド北部、ニューヨークなど方々で五輪開催への抗議行動が行われた。

 民族、宗教や価値観の対立、テロなど、現代の世界が抱える不安が皮肉にもあぶり出される格好で始まった北京五輪。鬱屈(うっくつ)した思いと不満が交錯し、異例の厳戒態勢が敷かれる下、主役の選手たちの躍動する競技がいよいよ本格的にスタートする。

【写真】鮮やかに花火が打ち上がって始まった北京五輪の開会式=8日夜、国家体育場(共同)