47NEWS >  共同ニュース >  北京五輪 >  新記録予言する統計理論  防災や金融にも応用
 伝統を重んじる古都が、国際基準の祭典を前にどう変わろうとしているのか。五輪の街角から報告する。
 世界のトップアスリートが集う五輪を直前に控えて変わりゆく中国。北京五輪開催の意義を、多様な観点から聞いた。

新記録予言する統計理論  防災や金融にも応用

 5月末、陸上男子100メートルの世界記録が一年ぶりに更新された。9秒72の新記録は従来の記録を0秒02上回り、限界に近づいているようにもみえる。だが、あと0・4秒以上も短縮が見込めるとする大胆な予測を、オランダの数学者が、統計の理論である「極値理論」を基に算出している。

100メートルの世界記録

5月に陸上男子100メートルで9秒72の世界新をマークしたジャマイカのウサイン・ボルト(中央)と、過去の世界記録の伸びを示すグラフのコラージュ(写真素材はロイター)

 「小学生の体力テストならデータの平均値が意味を持つ。世界記録のように、分布の端にある極端な数値を扱うのが極値理論です」と説明するのは統計数理研究所(東京)の志村隆彰(しむら・たかあき)助教。まれな洪水に備える堤防の設計や、最近は保険などの金融工学にも広く応用されているという。

 従来の予測手法の多くは、時代とともに記録がどのように伸びたかを見て、今後どこまで伸びるか考えていた。これに対し極値理論は、トップアスリートのベストタイムを収集。その分布から、ある数値を超える記録がどのぐらいの確率で起こり得るかを考え、限界値をはじき出す。

 競技のような人為的な営みが、自然現象と同様に統計で扱えるのだろうか。志村さんは「陸上は用具などの影響が比較的少なく、人の能力が純粋に反映されやすいので、統計の対象としては理想に近いのではないか」と解説。競技人口が多く、データが集めやすいことも利点に挙げる。

 ただ、似た条件で競っているように見える競泳でも、英スピード社製水着の出現一つで世界新が連発するなど、予測は一筋縄ではいかない面も。

 「記録のデータだけを基に計算するので結果は客観的だが、競技種目ごとの特性などを考慮していないので、常識はずれな結論となる心配もある」と志村さん。果たして北京五輪で“予言”に迫る記録は出るのか?



 最新のニュース


ロード中 関連記事を取得中...