万代隆の甲子園コラム2010 「さあ、球児の春」

⑦興南にウエーブの祝福 沖縄の時代が到来

 興南の応援席から始まったウエーブがネット裏を通り、一塁側の日大三の応援席まで回っていった。だれもが興南の優勝を心から祝福している。沖縄尚学が2度優勝したときも、同じような歓喜の波が起こっていた。そのときを知る人たちがいたに違いない。
PN2010040301000374.-.-.CI0003.jpg
 この日も冷気が張り付いていた。寒い大会は最後まで変わりがなかった。それでも快晴であり、今大会最多の4万3千人の観客。延長十二回までの攻防が優勝戦を熱いものに仕立てあげた。興南にも日大三にも好機が再三やってきた。その裏面には同じだけのピンチがある。

 すごいのは、その危機に直面しながら強く立ち向かった投手の精神力だろう。198球を投じて完投した島袋は、2日の準決勝でも94球。当然、疲労はあったはずなのに最後まで140㌔の速球があった。きっと底の底にしかなかった余力を振り絞ったもので「命のしずく」という表現でたたえたい。


 沖縄の時代が間違いなくやってきている。今大会は嘉手納と並んで初の2校出場。これだけでも高い評価を受けたのに、興南が粘りに粘って頂点に立った。この活躍は夏をにらむ沖縄の他校には大きな刺激を与えているだろう。今度は初めての夏の大会制覇に、沖縄勢が臨む地方大会は6月に始まる。 

【写真】マウンド上で抱き合って初優勝を喜び合う島袋投手(中央)ら興南ナイン(共同)

2010/04/03 17:16