経済
バスの走行距離制限、日帰りツアーに影響 利用客減少に懸念
2013/08/04 【静岡新聞】
SLを下車し、観光バスに乗り換えるツアー客=1日、川根本町の大井川鉄道千頭駅(写真の一部を加工しています)

 運転手の1日の走行距離を500キロまでなどとする高速乗り合いバスの新制度が8月からスタートし、県内観光名所を目的地とした日帰りバスツアーでもプラン変更や廃止が相次いでいる。首都圏からの走行距離がわずかに制限を上回ることになる川根本町や島田市北部などの観光関係者からは、ツアー客減少を懸念する声が上がる。

 阪急交通社(本社・大阪市)は昨年まで、新宿や上野、横浜駅などから寸又峡温泉や大井川鉄道のSL乗車を目的とした日帰りツアーを組んでいた。同社の広報担当者は「紅葉期は1日1〜2本運行させていた人気ツアーだが、運転手1人で行けなくなるとツアーの維持は難しい」と本数の減少を示唆した。

 読売旅行の横浜営業所も同様のツアーを開催していたが、廃止を含めて対応を検討をしている。担当者は「宿泊プランやツーマン(運転手2人)での運行は可能だが、採算が合わない」と話す。同社によると、都内発のツアーになると、河津町の河津桜など伊豆南部方面のプラン設定も困難になるという。

 紅葉期の寸又峡温泉には、多い日で30〜50台のツアーバスが乗り入れていた。うち約半分を占める首都圏からの観光バスのほとんどが日帰り客のため、乗り入れ台数は3割ほど落ち込む見込み。同温泉でホテル「翠紅苑」を経営する望月孝之社長は「宿泊ツアーに切り替えて誘客を図りたいが、見通しは立たない」と不安を明かす。

 SL乗車を組み込んだツアーにも影響している。大鉄によると、これまで新金谷駅までバスで行った後、島田市北部の家山駅や川根本町の千頭駅までSLに乗り、再びバスに乗り換えるコースが多かったが、これも難しくなる。坂下肇営業部長は「関東圏からの団体客が極端に減った。SLに往復で乗ってもらうなど、バスの制限距離を超えない工夫を考えている」と話した。

 高速乗り合いバスの新制度 乗客7人が死亡した関越自動車道ツアーバス事故を受け、国土交通省が安全対策として導入した新基準。高速ツアーバスを廃止し、規制が厳しい乗り合いバスに一本化した。1人の運転手が1日に走行できる上限距離を昼間は500キロ、夜間(午前2〜4時)は400キロに厳格化した。従来は上限670キロを「目安」としていた。

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