▼コラム
1.「卓上四季」【北海道新聞】 地球温暖化が進めば糖尿病が増える—。「風が吹けば桶(おけ)屋がもうかる」の類いのこじつけかと思ったら、海外の専門家が発表したまじめな研究だった▼人体には褐色脂肪細胞があり、寒いと脂肪を熱に変え体温を維持する。平均気温が上がるとこの細胞が減り、脂肪が燃えにくくなって糖尿病患者が増えるという仕組みだ。平均気温が1度上がると、米国だけで年間10万人増えると試算する▼それだけではない。温暖化の弊害は広範に及ぶ。気温上昇で空気の密度が下がれば航空機は揚力を得にくくなり、重量制限が必要になる恐れがあるという。「暑すぎて離陸できません」という事態が冗談ではなくなるかもしれない▼猛暑や豪雨などの異常気象も、関係があるというのが科学的な知見だ。北海道では昨年大きな台風被害を受けた十勝管内が今年も再び被災するなど、毎年のように大雨災害に見舞われている▼各国、各地域が災害への対応を強化することは大切だが、温暖化対策は世界規模で進めなければ意味がない。まずは温暖化防止に向けた世界的枠組み「パリ協定」で掲げた目標を、各国が履行していくことが重要だ▼協定からの離脱を表明していたトランプ米大統領も、方針転換を検討しているそうだ。先月の大型ハリケーンでは、数十人の死者を含む大きな被害が生じている。大統領はこうした現実をしっかり直視しなくてはなるまい。2017・9・21
2.「河北春秋」【河北新報】 ミャンマーの人口約5千万のうち7割ほどを占めるビルマ民族は、性別に関係なく名前に姓を持たない。国家顧問兼外相のアウン・サン・スー・チー氏(72)も例外ではない。上から下まで全てがファーストネームである▼「・」は報道機関が読みやすくするために付けている。ただ、区切った語「アウン」は優れる、「サン」はまれな、「スー」は集まる、「チー」は清らかなという意味を持ち、つなぐと「世にもまれな清らかさあふれる優れた人」ということになる▼まさにノーベル平和賞受賞者にふさわしい名である。それが今、世界中から疑問符「?」を集めている。イスラム教徒少数民族ロヒンギャ迫害問題で、ようやく「全ての人権侵害を非難する。国際的な調査を恐れない」と述べながらも、逆に治安機関による迫害を否定した▼国際世論は肩透かしを食らった。同じく平和賞を受賞しているマララ・ユスフザイさんもがっかりしているのではないか。先にツイッターで「私はこの悲劇を非難してきた。スー・チー氏が同じようにすることを待っている」と期待を寄せていた▼ビルマ族だけでなく多民族国家を印象付けようと文語体の国名に変えたミャンマー。軍政が今なお残るなら、闘うスー・チー氏の姿を見たい。清らかな人でいてほしい。(2017.9.21)
3.「天地人」【東奥日報】 青・白・赤・黒の布をまきつけた四本柱(しほんばしら)がみえる。弘前城下の角力(すもう)場である。天明8(1788)年、8代藩主・津軽信明(のぶはる)のお国入りに同行した江戸詰の藩士・比良野(ひらの)貞彦がえがいた。比良野は津軽の風物や習俗を克明にスケッチし、貴重な資料『奥民図彙(おうみんずい)』をのこした。青は青龍、白は白虎、赤は朱雀、黒は玄武−古代中国の四方をつかさどる四神(しじん)である。土地の安全と五穀豊穣(ほうじょう)を祈念する四本柱が、昭和27(1952)年に国技館からなくなった。その年の秋場所初日、65年前のきょうから、つり屋根にかわったのである。四本柱をなくすことは、場所前の理事会で決まった。<観客に相撲を見やすくさせるため>と、『相撲大事典』(現代書館)が解説する。四本柱のかわりに四房(しぶさ)がつり屋根から下がるようになったという。きのうの秋場所11日目、前半戦の主役だった阿武咲(中泊出身)は、あっさりと押し出されてしまった。勝ち越しを目前に足が前に出ない。3連敗である。優勝争いは、豪栄道が1敗のまま突っ走り、いよいよ佳境に入る。四本柱は、勝負検査役(いまの審判委員)の俗称でもあった。四本柱を背にすわっていたからである。座布団のうえの大きな背中は、肝心なところで観戦の邪魔をする。よく年から、NHKがテレビ放送を開始することになっていた。つり屋根は、中継への配慮が当然あったろう。
4.「天鐘」【デーリー東北】 天鐘(9月21日)「抑止力」は軍事用語としてよく使われる。「受動的、防御的な印象を与えるが、実際は相手に脅威を感じさせる」(坂本義和著『軍縮の政治学』岩波新書)意味という。仮想敵国に脅威を感じさせ、攻撃を思いとどまらせることだろう。米国内では、北朝鮮の基地などを攻撃する能力を日本に持たせようという声が強まってきたとか▼日本が独自の攻撃力を保有したとすれば、「力強い抑止力になる」と指摘する意見さえあるという。ただし攻撃的な抑止力によって、2国間の緊張は一層高まるだろう▼北朝鮮から攻撃を受けるとの想定で、日本はミサイル迎撃体制の整備を進めている。ただ北朝鮮の脅威を前面に掲げて、基地攻撃の強硬論に傾くのは配慮に欠けまいか▼日本の国内事情も簡単ではない。海外の軍事施設を攻撃する場合、平和憲法との兼ね合いが生じる。それを踏まえた従来の「専守防衛」を転換することにもなる。これらが歯止めになり、抑止力の議論はほとんど聞かれない。戦争になりかねないからだ▼基地を破壊する武器に代えて日米韓など国際社会の圧力を強化するべきだろう。国連が採択した制裁に関して各国がどれだけ確実に実施するかに懸かっている。北朝鮮の軌道修正に粘り強く取り組むほかない▼北朝鮮は一方的に自国の正当性ばかりを繰り返している。国際社会の意見にも耳を貸さなければ、自滅を招こう。
5.「北斗星」【秋田魁新報】 黒海の東側、トルコとジョージア(グルジア)の国境付近で話されている「ラズ語」には、言語学者の小島剛一さんが禽獣(きんじゅう)命令詞と名付けた独特の言葉がある▼例えばネコに向かって「餌をあげるから来い」は「キティキティキティ」、これがニワトリなら「プリーチョチョチョ」。それぞれに追い払う際の言葉もある。牛を交尾させるため雄牛を興奮させる際は「エルラハー」と言う▼日本語ならネコもニワトリも「おいで」だし、雄牛をけしかけるなら「ほれほれ」がせいぜいだろう。いわばヒトの言葉を動物に使っているのだが、ラズ語ではネコ語やニワトリ語、ウシ語で相手に呼び掛けるのだ▼ラズ人は近年までほぼ自給自足の生活をしており、それだけ動物とも密接に関係していた。禽獣命令詞は、その時代の名残と考えられるという。ヒトの言葉を押し付けず、動物に向かってそれぞれの言葉を使い分けるとは、なんて心の優しい人々だろう▼小島さんは1946年生まれ、高校卒業まで秋田市で暮らした。20代でトルコに魅せられ、仏ストラスブール大学でトルコの少数言語を研究している。先日、久しぶりに帰郷した小島さんにラズ語の現状を聞いた▼ラズ人を自称する120万人のうち、ラズ語を話せるのは5分の1にすぎず、消滅の危機にあるという。小島さんは世界初のラズ語辞書を編さん中だ。支援組織(ひつじ書房内TEL03・5319・4916)が2年後の刊行を目標に賛同者を募っている。
6.「談話室」【山形新聞】 ▼▽夫を戦争で亡くし、宝くじ売りをしている女性が偶然100万円当せんの宝くじを拾い、正直に届け出た。しかし、宝くじ法と遺失物法との兼ね合いで当せん金を受け取れない。新聞で知った春日一幸さんは憤慨した。▼▽旧民社党委員長を務めた昭和の政治家だ。この非は法にあると議員立法による改正に奔走し、女性の正直に報いる道を開いたという逸話がある。1989年の死去に際し自民党議員が追悼演説の中で述べている。人情味のある春日さんは一方で政界の仕掛け人とも呼ばれた。▼▽こんな口癖があったという。「理屈は後から貨車でやってくる」。物事を決めてしまえば、理由付けは後からどうにでもなる、決断が大事という意味か。そういえば昔から「理屈と膏薬(こうやく)はどこへでも付く」の諺も(ことわざ)ある。安倍首相が来週にも衆院の解散に踏み切る意向らしい。▼▽前回2014年解散の時も、準備が整っておらず虚をつかれた野党から「大義がない」と批判されたが、今回も似ている。前回は消費税増税を見送る判断に対して国民の信を問う、として与党が大勝した。今度はどんな「大義」が飛び出すやら。理屈は貨車に積むほどある。
7.「風土計」【岩手日報】 2017.9.21「つまり十パーセントです。それではなおしてあげましょう」。2年後の10月に予定している消費税率10%への引き上げの話ではない。宮沢賢治の童話「北守(ほくしゅ)将軍と三人兄弟の医者」の一節▼30年にわたる戦いを終えて将軍が帰ってきた。ところが、あちこちにおかしな症状が出ている。体が馬から離れない。顔や手に草が生える。数字を言うと必ず10%違ってしまう。長い間に体も頭も硬直化したらしい▼2年後に導入から30年の節目を迎える消費税の姿も大きく変わりそうだ。安倍晋三首相が10%への引き上げによる増収分の使い道を変え、子育て支援などに回す案を打ち出す。総選挙の政策の目玉として訴えるという▼背景には、5%から8%に上げて消費が落ち込んだ3年前の苦い経験がある。現政権は引き上げを2度見送ったが、今度は避けられない。ならば、教育にかかる家計の負担を減らして消費の後退を防ごうという狙いだ▼理屈は分かるが、問題はそれによって失われる財政健全化のための財源。将来世代へのツケが残り、国民はいつまでも借金返済という名の馬から下りられなくなりそうだ。これでは、将軍の戦いは終わりようがない▼童話では3人の名医が将軍と馬を鮮やかに治療した。各党はどんな処方箋を見せるのか。選挙公約に注目だ。そういえば、今日は賢治の命日。
8.「あぶくま抄」【福島民報】 三本のケヤキ(9月21日)県土を南北と東西に走る東北自動車道と磐越自動車道が交わるのが郡山ジャンクション(JCT)だ。北から東京に向かうと、左手に三本のケヤキが姿を現す。高さ10メートルはあるだろうか。道路にぐるりと囲まれた敷地に凜[りん]として立つ。郡山JCT−磐梯熱海インターチェンジ(IC)間が開通した1990(平成2)年にはなかった。「郡山まで来たと一目で感じられる目印が欲しい」。10年後の2000年、日本道路公団東北支社長だった古道正男さんの発案で植えられた。苗木ではなく、大きく育った木を運んできて植栽したという。古道さんは4年前に他界した。1988(昭和63)年から約2年半、郡山工事事務所長を務め、磐越道磐梯熱海−猪苗代磐梯高原IC間の工事などに尽力した。「物流に大きな力を持つ」が口癖で、太平洋と日本海とを結ぶ高速交通網の一日も早い完成に情熱を傾けた一人だ。「ケヤキを植えたのも磐越道に愛着があったからこそ」。故人を知る人は振り返る。磐越道は1997年の全線開通から10月1日で20年を迎える。古道さんの言葉通り、東日本大震災では物資輸送に大きく貢献した。ケヤキは大動脈の発展を見守り続ける。
9.「編集日記」【福島民友新聞】 秋の夕暮れは少し前まで夕焼けが空を染めていたかと思うと一気に暗くなる。まさに〈釣瓶落としといへど光芒(こうぼう)しづかなり〉(水原秋桜子)のたそがれである▼日が沈む時刻も日ごと早くなっている。福島市の日の入りは、1カ月前の8月21日は午後6時24分だったが、きょうは午後5時37分。季節は夏から秋へ確実に移り変わっていることをいまさらながら実感する▼警察庁が2012〜16年の5年間に全国で発生した交通死亡事故を分析したところ、日没前後1時間の「薄暮時間帯」、いわゆるたそがれどきの発生が他の時間帯に比べて多く、とくに日没が早まる秋や冬に増える傾向が分かった▼薄暮時の事故については、交通事故総合分析センターも、薄暗い時でも真っ暗な時と同じように周囲が見えにくくなっている高齢者と、まだよく見えると思っている若いドライバーとの差が要因になっている可能性を指摘している▼きょうから秋の全国交通安全運動が始まる。たそがれどきは歩行者の姿が見えづらくなるだけでなく、通学や通勤の帰宅時間とも重なり「魔の時間帯」ともいわれる。ドライバーと歩行者、ともに「命を守る早めのライトと反射材」がまずは一番の対策である。
10.「雷鳴抄」【下野新聞】 典型的な文系人間である。だが取り立てて文系の教科に秀でたわけではない。理数系が悲劇的にだめだったのである。とりわけ物理はちんぷんかんぷん。今でも物理と聞くと顔をしかめてしまう▼それではいけないと反省し先日、宇都宮市内で開かれた日本物理学会主催の市民科学講座に足を運んだ。2015年にノーベル物理学賞を受賞した東京大宇宙線研究所長の梶田隆章(かじたたかあき)氏がどんな講演をするか興味もあった▼テーマは「宇宙と素粒子のなぞへの挑戦」。ニュートリノ振動の発見でノーベル賞を獲得した梶田氏の話は、素人にも分かりやすくという工夫が感じられた。大きさがないくらい小さなニュートリノが素粒子の一種であることが分かった▼観測するのは極めて難しく特別な装置であるスーパーカミオカンデで実現できたこと。ニュートリノ振動で質量があることが裏付けられたこともおぼろげに理解できた▼あとは分かったような分からないような。要はこうした研究が宇宙の謎の解明につながるという点が理解できただけでも役に立ったように思う。国が基礎研究に補助金を出し渋るような報道にも接するが、日本が世界をリードできるよう適切な対応を求めたい▼会場には多くの高校生が詰めかけ、盛んに質問をした。理科離れが言われているが、何だか安心した。
11.「いばらき春秋」【茨城新聞】 車で遠出した帰り、眠気に襲われることがある。道の駅や、高速道ならサービスエリアに車を止める。仮眠を取れば、すっきりする。それでも不安なときがある。コーヒーや、カフェイン入りのエナジードリンクに手が伸びる▼「トップアスリートやロングドライブする方に高い評価を得ています」などとPRする製品もある。超人のように能力を発揮できるとは思わないが、眠気や疲労感に勝ちたいときがある▼自分にはもろ刃の剣。医者には、カフェイン入りの飲料を控えるよう注意されている。「コーヒーが飲みたければ、牛乳をまず飲んで胃に保護膜を作るように」と助言も受けた▼日本中毒学界の調査で、カフェインを多量に含む眠気防止薬や清涼飲料水の急性中毒で、2011年度から5年間に少なくとも101人が救急搬送され、3人が死亡したことが分かっている。カフェインは、一度に1グラム以上を摂取すると中毒症状が出るとされる▼海外での摂取の目安は成人で1日当たり0・4グラム(マグカップのコーヒー3杯)程度。エナジードリンクは数本を一気に飲まない限り問題ないとされる▼疲れが出るような、夜遅くまで頑張らなくてはいけないような、状況に自分を置かなければ良いだけなのだが。(信)
12.「三山春秋」【上毛新聞】 ▼わが子の入部を機に少年野球チームの運営に協力している。子供たちの成長する姿が何より楽しみだが、試合となれば保護者の方が熱くなりがち。ある大会でのことだ▼強豪チームに熱戦の末、惜敗した。試合後、相手の応援席から「もっと楽に勝てよ」との声が上がった。チームを激励するやじなのだろうが、無念をのみ込もうとしていた当方の選手や保護者はショックを受けた▼隣接する小学校のチーム同士。見知った顔が多く友好的な一方、何かと張り合う間柄だ。この出来事から関係は一時ぎくしゃくした▼身内や友人、近所付き合いなど関係が近いほど感情的しこりが一度生じると解消は難しい。それは国と国の関係も同じらしい▼都内で先日、日中関係に関する福田康夫元首相(81)の講演を聞いた。首相在任の2008年に日中共同声明を発表、今も中国政府要人と交流し融和に努める。「古代から交流し、お隣同士の近い関係だからこそ難しい」と指摘しつつ、関係が冷え込む現状を嘆いた▼両国は29日に国交正常化45周年、来年は故・福田赳夫元首相による平和友好条約締結40周年を迎える。これを念頭に「強硬論は幼稚。節目が続く今こそ信頼関係を築くべきだ」と強調した。相手への敬意と寛容さ。安倍政権が国民に信を問おうとする時、忘れてはならない重要な論点の一つに思える。
18.「斜面」【信濃毎日新聞】 夜明け前の空と海に閃(せん)光(こう)が走り黄白色の世界に変わった。地鳴りのような振動が押し寄せる。1954年3月1日、太平洋ビキニ環礁で米国が行った水爆実験。160キロ離れた洋上でマグロ漁船「第五福竜丸」が遭遇した出来事である◆やがて降ってきた白い粉を浴び乗組員23人が被ばくする。焼津港に戻るまでに肌が黒ずみ、皮がむけた。髪の毛も抜けた。無線長の久保山愛吉さんは若い乗組員のまとめ役だった。転院先の都内の病院でもその役割を果たした。半年後、容体が急変する◆「お父ちゃん、お父ちゃん」。妻のすずさんと3人の女の子が叫んだ。息を引き取るとベッドを囲んだ乗組員が声を上げ泣いた。その一人、大石又七さんが自著「死の灰を背負って」に書いている。〈なぜか俺は涙が出なくて困った…怒りの感情が高ぶって体が固くなっていた〉◆久保山さんが40歳で亡くなり23日で63年。折しも国連で122カ国の賛成で採択した核兵器禁止条約の署名が始まった。日本は名を連ねていない。むしろ核廃絶に逆行するかの対応だ。インドへの原発輸出はパキスタンとの核開発競争をあおりかねない◆大石さんは何度も大病を患い、最初の子どもは死産だった。80歳を越えても証言活動を続けてきた。その願いは福島の原発事故に裏切られた。「原発も核兵器も根っこは同じ。その怖さをビキニは警告したのに無視した」。核に依存する政治への満身の怒りが大石さんを突き動かしている。(9月21日)
19.「日報抄」【新潟日報】 LED電球に世代交代する前の白熱電球はほどほどに照らし、部屋の隅に陰を生んだ。「陰」があるから「陽」のありがたみが引き立った。最初の国産電球が照らしたのは、明治の文明開化だった▼東京電力の前身である電灯会社の設立に関わった藤岡市助という人が国産化に尽くした。あのエジソンに面会し、後に電球を送ってもらっている。それでもガラス加工から手探りなのだから楽ではない▼しかもエジソンと会った際、重いものを授かっている。それは、使命と言っていい。「電気器具を輸入するような国は滅びる。自給自足の国にせよ」。そう言われ、国を背負う志を胸に燃やし続けたことだろう。なにせ欧米の背を追う時代である▼実用化までに6年近くを費やした。そうして量産された電球の明かりがまた、どれほど多くの研究者を照らし、国産を誕生させたことか。その電球製造会社が成長し芝浦製作所と合併の後、東芝へと発展した▼かまど前から主婦を解放した自動式電気釜も、かじかむ手を救った洗濯機も東芝から世に出ていった。女性の社会進出を後押しし、新たな労働力が国を前へ進める活力となった。しかしながら技術の国も陽から陰への際に立つ▼いつの間にか東芝は原発や鉄道システムを担い、19万人が働く巨大企業グループになっていた。国家を背負いすぎた。出直すため虎の子の半導体事業を売却する。迷走の末、日米韓連合に売る。エジソンの寸言が聞こえてくるか、こないか、ぎりぎりの際に立つ。
20.「中日春秋」【中日新聞】 その人が正しい判断をしなければ、われわれは今、生き延びているのだろうか。ちょっと、おどかしすぎかもしれぬ。それでも、「一歩間違えば」の事態は実際に起きた。その危機を食い止めた「世界を救った男」が五月に亡くなった。旧ソ連軍中佐のスタニスラフ・ペトロフさん。七十七歳。こんな話である▼東西冷戦下の一九八三年九月二十六日未明、ペトロフさんは米軍の核攻撃を警戒する任務についていた▼突然、ミサイル監視システムの警報が鳴った。五発の大陸間弾道ミサイルが発射され、こちらに向かっている。システムはそう表示している。本土到達まで約二十分。どうするか▼米軍に動きがあれば、ただちに上官に報告することになっていた。しかし「何かおかしい」と直感した。米軍の核攻撃で五発は少なすぎる。システムも信頼できない。規則を破って上司への報告を見合わせた▼二十三分が経過。何も起きない。システムの誤作動だった。米ソが鋭く対立する最中、米軍に攻撃されたとそのまま報告していれば、報復の手続きが進み、全面核戦争に向かった可能性は否定できない。自分にも同じ判断ができると言い切れる会社員はそれほどいないだろう▼事件のあった二十六日は、核兵器全面廃絶国際デーでもある。幸い、われわれはまだ生き延びている。幸い、核兵器廃絶に取り組むことがまだできる。
21.「大観小観」【伊勢新聞】 ▼安倍晋三首相が腹を固めたという衆院解散に大義名分がないとされていることに、鈴木英敬知事はぶら下がり会見で「どういうことを問う解散かはまだ不明で大義の有無は分からない」▼質問する側は、知事が「北朝鮮情勢に改善の見込みがない中、政治的空白を作らないために判断されたのではないか」と、大義に悩む首相周辺に助け船を出すかのような感想を繰り出すことについ誘導されて聞いてみたのかもしれない。知事が慌てて軌道修正する様子が垣間見える気がする。県民を代表するというより、国の出先機関だった官選知事当時をつい、しのんだ▼知事会見は通告なしのぶっつけ本番だから、つい本音が出るようでおもしろい。定例会見はテレビ中継もあり、動画と概要がホームページに掲載される。もっぱら概要版を見るので、いつだったか、衆院転出を問う記者に知事が「あなたの社は、前任者から毎回、その質問をするが」と言っているのに驚いた。定点観測は大事だが、毎回の会見概要では見ていなかったからだ。「毎回」は言葉のあやか。知事の話しぶりにいらだちが感じられたから、職員がそんたくして省いたか▼小選挙区一減については短期間での有権者への周知とともに、前回参院選に言及。「18歳より19歳のほうが(投票率が)低かった。啓発を継続する必要がある」。参院選では財政難を理由に一部啓発予算を削減した。入居希望がなく、家賃は安価で問題になった国家公務員宿舎基準に準じたという幹部職員公舎建設に大枚はたくばかりでなく、民主主義の根幹をなす予算の方もぜひ—。
22.「大自在」【静岡新聞】 2017年9月21日【大自在】(2017/9/2107:30)▼法衣[ほうえ]姿のお坊さんとお茶を飲みながらおしゃべりしたり静かに写経を体験したり。静岡市内で先週末開かれた「出張!かけ込み寺」。曹洞宗静岡青年部が主催し今年で3回目。借り受けたJR静岡駅前の会場はほぼ満席。市内の若手僧侶約20人が応対に追われた▼当初から関わってきた丹羽崇元[にわそうげん]さん(33)は寺と市民との距離を縮めたかったと思いを語る。近年、曹洞宗に限らず「寺離れ」は深刻だ。檀家[だんか]は減り、葬式や通夜を行わない「直葬[ちょくそう]」が広がる。「寺とは何か僧侶とは何か。もっと発信しなければ」▼若輩ではあっても、人の話に耳を傾け心に寄り添うことはできる。部員が話し合ってたどり着いた答えは、寺をあえて離れてみること。「街に出て多くの方々と縁を結ぶ。葬式仏教と揶揄[やゆ]されながらも一歩進むしかない」▼人口流出・減少のあおりを受け、地方の寺院の後継者不足、存続問題が今、急浮上している。宗教専門紙「中外日報」の調査(2015年)によると仏教10大宗派の全国約6万2千カ寺のうち少なくとも2割は無住か、兼務住職がいるのみの「空き寺」だという▼そうした現状を取り上げた「寺院消滅」(鵜飼秀徳著、日経BP社)は話題を呼んだ。このままでは40年までに、地方の寺や神社など宗教法人の35%が消えると予測する研究者もいる。まさに諸行無常、寺院の危機といえるだろう▼「でも危ではなく機(チャンス)と捉えたいんです」。きのうは彼岸の入り。寺に戻った青年僧たちは墓参りの人とあいさつを交わしながら、寺と地域の未来を見詰めている。
25.「時鐘」【北國新聞】 きょうのコラム『時鐘』2017/09/2100:18役(やく)に立(た)ちそうにないことわざをまた耳(みみ)にした。「理屈(りくつ)は後(あと)から貨(か)車(しゃ)で来(く)る」。突然(とつぜん)の解(かい)散風(さんかぜ)が教(おし)えてくれたビックリ仰天(ぎょうてん)して、「解散の大義(たいぎ)がない」という声(こえ)に対(たい)し、どなたかが「後から貨車で来る」と冷(ひ)や水(みず)を浴(あ)びせた。貨物列車輸送(かもつれっしゃゆそう)が花盛(はなざか)りのころに生(う)まれた政界用語(せいかいようご)だろうから、随分(ずいぶん)と息(いき)が長(なが)いことになる。「理屈(りくつ)と膏(こう)薬(やく)はどこへでも付(つ)く」というのは時折(ときおり)、耳(みみ)にするが、貨物列車まで持(も)ち出(だ)されては、貼(は)り薬(ぐすり)とはケタ違(ちが)いのスケールである普段(ふだん)の暮(く)らしで、「理屈は後から」と言(い)い訳(わけ)しても、簡単(かんたん)に通(とお)るものではあるまい。そんなバカな、と怒(いか)りを招(まね)き、理不尽(りふじん)である、と片(かた)付(づ)けられるのがオチだろう。それがまかり通(とお)る世界(せかい)もあるのか、とクビをひねりながら、思(し)案(あん)にふける台風(たいふう)に続(つづ)く解散風。秋風(あきかぜ)には寂(さび)しさや切(せつ)なさといった印(いん)象(しょう)がついて回(まわ)るが、爽(さわ)やかにそよぐ風もある。台風が過(す)ぎれば、澄(す)んだ空(そら)が広(ひろ)がり、そんな風が吹(ふ)き抜(ぬ)ける、というのが通(とお)り相場(そうば)のはずだが、あいにく、休(やす)む間(ま)もなく生臭(なまぐさ)い選(せん)挙(きょ)の風である天(てん)が荒(あ)れて、人(ひと)の心(こころ)もざわめく。秋の風情(ふぜい)を吹(ふ)き飛(と)ばすような雲行(くもゆ)きが続(つづ)く。
26.「越山若水」【福井新聞】 【越山若水】福井市出身の故白川静さんが完成させた字書三部作がある。「字統」「字訓」「字通」(ともに平凡社)で、漢字の起源や体系を追求した白川学の集大成である▼字書をひもとき「歩」の項目を調べる。古代文字は足跡を表す「止」と逆向きの「止」を組み合わせた形。左右交互に足を運び「あるく」意味になったという▼さらに読み進むと、足を地面に接して歩くことは、その土地の霊に触れる方法で、重要な儀礼の式場に向かうときは、歩いて行くのが礼儀だった—と解説している▼成り立ちを知れば、一つ一つの歩みもおろそかにできない厳粛さがある。ふと思い出したことわざがある。「始めの一歩、末の千里」。最初は一歩から始まるが、歩き続ければ千里にも達すると説く▼北朝鮮に拉致された横田めぐみさんのことがニューヨークの国連本部で取り上げられた。「13歳の日本人の少女を拉致した」と、40年前に起きた国家犯罪を厳しく非難した▼発言の主は、意外にもトランプ米大統領。めぐみさんの母、早紀江さんも驚きを隠さないが「被害者の帰国につながることを期待する」と望みを託す▼最近は北朝鮮の核・ミサイル開発の陰に隠れ進展が見えなかった拉致問題。ようやく新たな足跡がしるされた。小さな努力の積み重ねが大きな成長につながるという例え通り、「始めの一歩」になるよう願っている。 
27.「凡語」【京都新聞】 九州から四国、本州、北海道と台風18号が縦断した。京都府北部に短時間大雨情報が出て浸水被害もあった。折から安倍晋三首相が衆院解散の意向を固める「解散風」も伝わり列島を席巻した▼1934(昭和9)年9月21日、室戸台風が京阪神地方を直撃した。四国上陸時の台風の規模は911・6ミリバール(現在はヘクトパスカル)だったという。甚大な被害をもたらした最強クラスの台風だ▼京都市には午前8時半ごろに接近した。瞬間風速は42メートル以上あり、上京区の西陣小(西陣中央小に統合)では2階建て木造校舎が突然、倒壊した。気象情報も不備な時代である▼500人以上が教室の下敷きになり、41人の幼い命が失われた。建設中だった鉄筋コンクリートの新しい校舎に避難しようとした間際の被災だった。市内ではその後、鉄筋への建て替えが進んだ▼昭和30年代は大きな台風がよく襲来した。強風こそ要警戒で、屋根瓦が飛ばされた記憶が残る。前日には板張りの雨戸を閉め、外側から筋交いの要領で材木を打ち付けたものだ▼目下の解散風は、日に日に現実味を増してきた。選挙を知り抜いたベテラン組はともかく、新人にはお気の毒というほかない。頼みの風を読もうにも、手掛かりはそうない。選挙準備から本番の投開票日まで、残された時間は少ない。
28.「正平調」【神戸新聞】 作家の海老沢泰久さんがパソコンのマニュアルを書いたことがある。テーマは誰でも読めば分かる手引書。パソコンはずぶの素人の海老沢さんが難題に挑んだ。20年ほど前のことだ◆マニュアルが分かりにくいのは、その機器を熟知した人が書くからだ。どこが分かりにくいのかもつい見えなくなる。だから素人の疑問や視線を大事にしよう。そう考えたマニュアルは好評だったと、著書にある◆年金機構から届いた扶養親族等申告書への不満やいらだちが本紙イイミミに相次ぐ。「説明書を読んでも書き方が分からない」「理解しにくい」という。ここまで不評の文書は珍しい。同感の人は多かろうと推測しながら、海老沢さんの話を思い出す◆得てして役所の文書は読みづらい。抜け落ちがないよう、あれもこれも盛り込まれがちだ。そこに専門用語が交じれば、こちらはうーんとうなるしかない。大事な年金である。読めば誰もが分かるよう、いっそ高齢者に書いてもらったらどうかとまで思う◆作家井上ひさしさんが大切にしていたモットーがある。「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに」だ◆せめて「むずかしいことをやさしく」に心を配る説明書でありたい。2017・9・21
29.「国原譜」【奈良新聞】 何げなくテレビをつけたらヒッチコック監督の映画「裏窓」を放送していて、60年以上前の作品なのに、ヒッチの演出力、グレース・ケリーの美しさについつい引き込まれた。足を骨折したカメラマンが、退屈しのぎに望遠カメラで裏窓から隣のアパートの住民たちを観察し、ある事件を推理する。もっとも今の時代だとプライバシーの侵害で訴えられるかも。奈良と映画とは縁が薄いと思われがちだが、戦前は奈良市に「旗本退屈男」で有名な市川右太衛門プロの撮影所があった。黒沢明監督の名作「羅生門」は春日奥山でロケされている。往年の華やかさに欠けている今、気を吐いているのが奈良市出身の河瀬直美監督。撮影に入った新作「Vision」は、世界的に著名なフランスの女優ジュリエット・ビノシュが主演する。モネなど印象派の画家が浮世絵の大きな影響を受けたように、フランスには日本文化を理解する土壌がある。カンヌ国際映画祭で意気投合したという2人の女性が吉野を舞台にどのような作品をつくりあげてくれるのか、わくわくした気持ちになっている。(栄)
30.「水鉄砲」【紀伊民報】 23日は「秋分の日」。彼岸の中日である。この季節になると、決まっておはぎが食べたくなる。昨日も、会社からの帰りに購入した。二つはご先祖様に、もう二つは両親へのお供えに、残る一つは僕が食べるためである。▼おはぎには、子どものころの思い出が詰まっている。お彼岸になると必ず、農作業の合間に母親が手早く作ってくれた。出来上がると、決まって「仏さんに供えてきて。ススキやハギの花があると、もっと喜んでくださる」という言葉が続く。それを聞くと、すぐに近所のあぜ道や土手に駆け出し、ススキやハギの花を摘んできた。▼お彼岸とは仏教の言葉で、先祖供養の日とされている。農家では作物の豊作を祝い、実りに感謝する意味も込めていた。だから、どんなに忙しくても、欠かさずおはぎを作り、先祖を供養してきたのだろう。▼「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように、春も秋も、彼岸は季節の変わり目である。この夏は雨が降らず、記録的な暑さが続いたが、それでもこの季節になれば、高い空にうろこ雲が広がり、郊外の田んぼもすっかり収穫を終えている。▼朝夕は驚くほど涼しく、草むらではコオロギが競うように鳴いている。日課にしている夜の散歩も半袖、半パン姿では寒い。汗もほとんどかかないから、予定の時間を超えてもどんどん歩ける。▼これがはたして健康づくりに役立つのかどうか。効果があると信じて続けたい。(石)
31.「滴一滴」【山陽新聞】 「一日休養、一日教養」。1965年、松下電器(現パナソニック)は他社に先駆けて、完全週休2日制を採用した。会長の松下幸之助氏が打ち出したのがこの文句である▼狙いは社員の意欲を高め、仕事の能率を上げること。米企業を参考にした先駆的な試みだが、世間にはまだ、経営が立ち行かないだろうという懐疑的な見方が多かった▼半世紀が過ぎ、いま企業に週休3日制が広がっている。人材確保を狙ってITや宅配大手などが採用している。1日8時間労働のままで週の勤務時間を減らす。10時間労働に増やして勤務時間そのものは維持する。手法はさまざまだ▼社員が自己啓発に充てる時間が増え、レジャー関連などの消費の拡大も期待できる。とはいえ、「休みが増えていいね」という単純な話でもない▼働く時間が減れば所得に響く。人によっては10時間勤務に長い通勤が加わって、日々のゆとりが失われかねない。社内事情に応じて丁寧に制度設計をしないと、ひずみも生じそうだ▼さて、週3日の休みとなると「休養」「教養」に続くキーワードは何だろう。きれいに韻は踏めないが、「地域貢献」などが候補か。現役の勤め人であっても、誰もが仕事同様に力を注ぐものを持っている。そんな“複線型”の生き方が定着することは、これからの社会にとっても大歓迎だろう。(2017年09月21日08時00分更新)
32.「天風録」【中国新聞】 アリとキリギリス2017/9/21働き方改革、楽しくないのはなぜだろう—。アリとキリギリスがそろって首をかしげる。そんなアニメ「アリキリ」が、動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開中だ。作ったのはソフトウエア開発会社、サイボウズ▲残業は駄目と、アリは早帰りを命じられ、仕方なくパソコンを抱えて近くのカフェへ行く。そこには同僚がずらり。持ち帰り残業、である。形ばかりの改革を皮肉る内容に、苦笑いした▲社員のためでなく、企業の体裁を取り繕うことが目的となっていないか問い掛けたいのだろう。「100人に100通りの働き方がある」と、10年以上前から多彩な勤務制度を備えてきた同社からみると、「強制」や「一斉」は論外に違いない▲官製の改革に頼ろうとしても、うまくいくかどうか。28日召集予定の臨時国会は、労働基準法の改正を話し合うはずが、冒頭解散となる見込みだ。ルール作りは、あっさり先送りらしい▲気ままに暮らしてきたキリギリスに、アリは言う。「今までの生き方の方が幸せかも」。イソップ童話と同様に現代も、キリギリスが死に、働きアリが生き続けるかどうか、ちょっと怪しい。楽しくなる改革、現場でしなやかに探らねば。
35.「海潮音」【日本海新聞】 台風のことを野の草を吹いて分ける意味から古くは「野分」と呼んだらしいが、どことなく風情を感じさせるこの名称と違って今の「台風」には凶暴なイメージしかない◆台風18号がレジャーなどでにぎわうはずの3連休を襲った。17日から18日にかけて日本列島を縦断し、各地に大きな被害をもたらした。九州、四国、本州、北海道と本土4島の全てに台風が上陸したのは観測史上初めてという。進行方向から反転、弱まったかと思えばまた強まるなど“迷走台風”でもあった◆中心から離れた鳥取でも影響は大きかった。17日夜になって雨風は激しくなり、河川は一気に水かさを増していった。気象庁のレーダーを見ても、なかなか去ることのない厚い雨雲。土砂災害や河川の氾濫の恐れがある地域の人は気が気ではなかったことと思う◆実際に各地で浸水被害も出た。他県では1日で1カ月とか1・5カ月分の雨が降った所もあるというから、この地域に置き換えて考えるとぞっとする。少しの進路のずれで、深刻な事態となりかねない◆とはいえ、災害をもたらすこの厄介者と“付き合って”いかなければならないのも現実だ。気象庁の資料によると、平年の発生数は25・6個で今年は20日現在で19個。シーズンはまだ続く。まずは命を第一に、備えと警戒を怠りなく。(す)
36.「明窓」【山陰中央新報】 縛られ解散衆議院の解散は誰が決めるか。内閣不信任案が可決されたときなどは、内閣は解散をすることができる。それ以外は内閣の助言を受けて、天皇陛下が解散すると憲法に書かれている▼実際は後者の例が多いので、解散は内閣を代表する首相の専権事項といわれる。解散権は「伝家の宝刀・解散剣」。政権の浮沈を懸けて首相が抜くともいわれるが、何とも日本人的な言い回し▼ただ、今の常識がすべてではない。1976年、三木武夫首相は党内からの(内閣を倒す)倒閣運動にさらされ、対抗して衆院を解散しようとするが15閣僚が署名を拒否。解散できないまま任期満了を迎えてしまう▼世に言う「三木降ろし」。現憲法下で初の任期満了による総選挙となり、自民は結党以来初の過半数割れの敗北を喫する。クリーン政治を掲げた三木首相だが、ロッキード事件の解明を急ぐあまり党内融和を損ねたとされる▼2009年も任期間際、麻生太郎首相は8月上旬投票の方針、と新聞が報じた後、日程先延ばしを表明。これが「ブレた印象」を与え、求心力を失う。任期がちらつく「縛られ解散」は、政権の命取りになりかねない▼戦後の衆院議員の在職日数は平均976日。安倍晋三首相が28日の臨時国会冒頭で解散剣を抜くと、1020日超えとなる。与党内には「機は熟した」との声がある。動き出すと誰にも止められないのが政治だが、どこに向かわせるかは有権者一人一人の意志による。そこはしっかり縛って、注文を付けたい。(裕)2017年9月21日
33.「四季風」【山口新聞】 本当にそれでいいのか。山口市は新しい市役所本庁舎を現在地プラス中央駐車場に建てる方針を示した。検討委員会から同じ評価を受けた亀山公園ふれあい広場案とを比較検討した結果という▼市マスタープランは、行政機能は本庁であれ支所であれ亀山公園に移転し、跡地をシンボル公園にするとしている。それで土地も取得した経緯がある▼個人的にも、国の合同庁舎がある亀山公園側に市役所が移れば一帯が行政ブロック、跡地をシンボル公園にすれば県立美術館やサビエル記念聖堂などと一体的な観光文化ブロックとなり、エリアの性格がすっきりすると感心していた▼現在地+中央駐車場とした理由に挙げる事業費は知恵と工夫でどうにでもなるし、駅から県庁の動線も両案ともパークロード沿いなので変わりようがない▼合併協定の付帯決議を蹴ってまで山口側に建てる市役所であれば夢がある事業にしなければ申し訳ない。友好都市のスペイン・パンプローナ市に山口公園があるように移転跡地を観光に資するパンプローナ公園にすればよい▼昔、サビエル聖堂まで続く幅広石段や噴水広場といった欧風観光公園構想があった。現在地建て替えではそんな夢も描けない。(畑)
37.「地軸」【愛媛新聞】 目にした途端、口の中が爽やかになった。店頭に、青みがかった極早生(わせ)の温州ミカンが並び始めた。甘さを引き立たせる程よい酸っぱさが魅力▲紅まどんな、甘平など、中晩柑(かん)への転換が進んだこともあり、愛媛が温州ミカン収穫量日本一の座を下りて13年になる。かんきつ類合計ではトップを守るが、県外では今も「愛媛と言えば『ミカン』」。日本一だった34年間の重みと発信力を実感する▲8年連続で生産量日本一の養殖真珠は、事情が少々違う。宇和島の業者がぼやく。「真珠は三重のイメージが強くてね」。三重県は御木本幸吉が19世紀末、世界で初めて真珠養殖に成功した地。生産量は3位だが、真珠アクセサリー出荷額は1位を誇る。「世界の女性の首を真珠で絞めてご覧にいれます」との御木本の意気込みが、今も生きているよう。きょうは「真珠王」が96歳で死去した日▲生産に比べ加工が弱いとされる愛媛にとって、三重は目標の一つ。若手工芸家は「デザインの力で、愛媛をアピールしたいんですよね」。頭ではいつも、アイデアを練っている▲かんきつ農家の後継者は「父や祖父が守ってきた段々畑。高級ミカンの産地のプライドを大切に、中晩柑も増やしたい」。時代の流れを読み、消費者の声に耳を傾ける▲南予の海岸線を自転車で走ると、海には養殖いかだ、山にはミカン畑。南予の「原風景」に心が和む。先人の苦労、受け継ぐ若者の意気に感謝。
38.「鳴潮」【徳島新聞】 野生となれば、もっと古くからいたようだが、飼い猫が日本に入ってきたのは奈良時代。中国から仏教経典を輸入する際、ネズミの害を防ぐため、船に乗せたのが始まりだとか大幅に減少したとはいえ、県内で昨年度、329匹(犬567匹)が殺処分された。そんな現代では考えようもない。猫は長らく、やんごとないお方がかわいがる希少動物だった。だから犬のように、綱につながれていた物語集「御伽草子(おとぎぞうし)」の記述を信じれば1602年8月、今では相当問題のあるお触れが京都に出ている。「猫の綱を解いて、放し飼いにせよ。違反すれば厳罰に処す」。猫は喜んだものの、かくして野良も生まれることにで、話は始まる。悲しんだのは、猫に追い回されるネズミである。衆人の尊敬を集める出家者の夢に現れ、慈悲を請う。翌日、今度は猫が抗議にきた。「殺生するな、とおっしゃるが、人に米を与えたように、天は食物として猫にネズミを与えたのです」もはや退散とネズミたち。「それでも猫も近ごろは、犬に追われて散々な目に遭っている。これも報い、いい気味だ」その犬も、無慈悲に捨てられる21世紀である。因果は巡る。ひとり人間だけが、そこから自由なわけはないのだが。<鼠(ねずみ)とる猫のうしろに犬のゐてねらふものこそねらはれにけり>。動物愛護週間中。
39.「小社会」【高知新聞】 「大義」。辞書を引くと「人のふみ行うべき重大な道義。特に主君や国に対してなすべき道」などとある。堅苦しい言葉だが、作家の芥川龍之介によれば〈民衆は大義を信ずるものである〉(「侏儒(しゅじゅ)の言葉」)。なるほど「忠臣蔵」一つをとってもそれは明らかだろう。主君の無念を晴らすため命を懸ける家臣の物語は、時代を超えて愛されてきた。「大義名分」ともいう。行動の理由づけとなる根拠がなければ、どんな行為も共感されない。安倍首相が28日召集の臨時国会冒頭にも衆院解散に踏み切る。その大義は何だろう。国連総会に出席中の首相は北朝鮮の脅威が新たな段階に入った、として国際社会の結束を訴えている。危機感を高める一方で政治空白につながる衆院解散。つじつまが合わない。森友、加計(かけ)問題の疑惑隠しか。野党の準備不足を狙った党利党略か。3年前も消費税増税の断行ではなく、国民が反対しにくい延期を掲げて解散した。勝利を最優先に「伝家の宝刀」を手前勝手に抜き続ければ、国民の不信の目はいずれ首相の解散権自体に向けられよう。侏儒とは見識のない人のこと。芥川の警句はこう続く。〈政治的天才は常に大義そのものには一文の銭をも抛(なげう)たないものである。唯民衆を支配する為には大義の仮面を用ひなければならぬ〉。首相は帰国後、どんな大義を語るのか。それが仮面をかぶったものなら、国民の心には響くまい。9月21日のこよみ。旧暦の8月2日に当たります。かのとゐ一白先負。日の出は5時53分、日の入りは18時04分。月の出は6時35分、月の入りは18時52分、月齢は0.9です。潮は大潮で、干潮は高知港標準で0時17分、潮位55センチと、12時33分、潮位41センチです。満潮は6時22分、潮位202センチと、18時43分、潮位200センチです。9月22日のこよみ。旧暦の8月3日に当たります。みずのえね九紫仏滅。日の出は5時54分、日の入りは18時03分。月の出は7時33分、月の入りは19時27分、月齢は1.9です。潮は中潮で、干潮は高知港標準で0時49分、潮位50センチと、13時04分、潮位51センチです。満潮は6時59分、潮位198センチと、19時09分、潮位197センチです。
40.「春秋」【西日本新聞】 大相撲の土俵にはかつて、屋根を支える「四本柱」があった。東は青、南は赤、西は白、北は黒の布を巻いた。中国の伝承に基づいて、それぞれ青竜=春、朱雀(すざく)=夏、白虎=秋、玄武=冬を表す▼四本柱が取り払われ、現在のつり下げ式屋根に変わったのが65年前のきょうのこと。代わりに屋根の四隅に四色の房が下げられた。柱をなくして土俵を見やすくするためだったという。その翌年からテレビ中継も始まった▼大相撲の大黒柱といえば横綱だろう。今はそれが4人も。誰が竜で誰が虎か。四本柱で角界をどっしりと支えているはずだが、今場所は…。白鵬関、稀勢の里関、鶴竜関の3横綱が休場。一本柱の日馬富士関も負けが込んでぱっとしない▼つり屋根の四方にある水引幕の中央にも、それぞれ小さな房が下がっている。こちらはさしずめ大関か。今場所は3人の大関のうち、高安関、照ノ富士関が途中休場し、豪栄道関が孤軍奮闘▼運動面の星取表を見ると、「ヤ」が並ぶ上位の余白の多さが寂しい。角界の屋根が傾いているようにも。次代の柱となる若手の奮起に期待したい▼故障休場が相次ぐのはなぜか。力士の体が大きくなり、自分も対戦相手もけがをしやすくなったという。番付を下げたくないので無理をして出場し、けがを悪化させるケースも。四本柱がなくなったころの本場所は年3回。今の6回は力士の負担が大きいのかもしれない。=2017/09/21付西日本新聞朝刊=
41.「くろしお」【宮崎日日新聞】 宮崎大橋から大淀川を見下ろして意外の感に打たれた。先日の台風18号の際は河川敷を越えて激流が渦巻いていたのに、数日で静かな水面に戻っている。水位も通常に近い。まるで「やかんたぎり」。そんな言葉が思い浮かんだ。熱しやすく冷めやすいことで、またはそういう人。普通に全国で使われていると思っていたら、本県と周辺に限定される方言らしい。「宮崎県方言辞典」(原田章之進著)にも載っていて「たぎり」は「滾り」。県民に「やかんたぎり」が多いとは思わないが、本県の川についてはそんな性格が多いようだ。天候によって水位の上昇、下降が激しい。山林の保水力が低下したからだろう。ちなみに「滾る」は「水が逆巻いて激しく流れる」意味もある。台風18号は本県に住宅損壊、土砂崩れなど大きな爪痕を残した。被災された方々にお見舞い申し上げます。突風や竜巻被害のほか、延岡市北川町などではまたも浸水被害があった。「昨年よりも短時間で水位が急激に上がった」という証言に恐怖がこもっていた。もとより保水力が乏しい人工林の手入れを怠ったり、伐採後に植林しなかったりして山の保水力は落ちる一方だ。近年はシカの食害も考えられる。避けられない突風や竜巻と違い、川の増水は人工的で構造的な要因を除去できるはずだ。山の再生から考えなければ、堤防のかさ上げなどの対症療法では根本の解決にはならない。増水による流木は橋や護岸を破壊、海岸に漂着して漁業や観光にも打撃を与える。長期的な視点から「やかんたぎり」ではない防災対策を考えたい。
42.「水や空」【長崎新聞】 長崎県は新婚旅行で訪れた思い出の土地なんです、とご本人に聞いたことがある。十何年も前のことだが、横田早紀江さんの名を見聞きするたび、ご多忙の中、長崎で取材に応じてもらった時の温かな口ぶりを思う▲国連総会で演説したトランプ米大統領が北朝鮮を非難し、「13歳の日本人の少女を拉致した」とも言い立てた。紛れもない、横田さんの娘のめぐみさんを指している▲どの国も自国民を第一に考え、その上で共通の脅威に対処しよう−。「米国第一」主義は国際協調と何ら矛盾しないのだと、トランプ氏は述べたという。氏の言う米国第一とは確か、協調に背を向けた単独主義だと記憶するが...▲脅威を前に、言葉の定義を微妙に横にずらした感はある。あるのだが、拉致問題も引きながら協調を訴えたのは、「北」問題の深刻さの表れであり、意味は小さくなかろう▲折しも、北朝鮮が拉致を認め、被害者5人の帰国につながった日朝首脳会談から15年。安倍首相は「北」に対し「国際社会の圧力をてこに、問題解決の決断を迫る」と勇ましい▲これを耳当たりのいい決意に終わらせてよいはずがない。横田さんはことし81歳。お会いした10余年前、「疲労がたまって体調を崩しがちで...」とついたため息は、もどかしさを帯びてますます深いはずである。(徹)
43.「有明抄」【佐賀新聞】 彼岸とお墓2017年09月21日05時00分すっと伸びた茎の先に、真っ赤な放射状の花びらを開く彼岸花(ひがんばな)。秋の七草の萩(はぎ)は、紫の小粒の花が愛らしい。訪ねた佐賀市金立にある徐福長寿館の植物園は、すっかり秋の装いだった。きのうから彼岸に入り、もうすぐ秋分である◆お彼岸は日本で始まったとされ、人の生の終局、悟りの彼岸(浄土)へ至るという願いが源にある。仏教法要としての彼岸会は、江戸期には庶民にも広まり、今につながる寺参り、墓参りをともなう年中行事になった◆かつての、人は家墓に葬られることが当然の時代から、今やそのありようは多様化した。でも人々の墓への関心は強い。以前、先祖代々の墓を終(しま)い、寺に管理や供養を託す「永代供養墓」の佐賀県内への広がりを記事にしたことがある◆跡継ぎがいない人、いても「墓の面倒までかけたくない」という人など、選んだ理由はさまざま。しかし一様に発せられた言葉は「これで気持ちが落ち着いた」だった。16年前のことだが、当時の記事への反響は大きく、住まい近くの永代墓を問い合わせる電話が相次いだ◆今も「安住の地」をどこにするかは、最も気がかりなことの一つだろう。どういう形にせよ大切にしたいのは先祖を敬う心、亡き人をしのび供養する気持ちである。この時期は墓参りとともに、終い方にも思いをはせる良い機会となろう。(章)
45.「南風録」【南日本新聞】 マレーシアのコタバルに1週間ほどホームステイしたことがある。多民族、多宗教、多言語の国でもイスラム色の濃い街といわれる。世話になった家族もイスラム教徒だった。定時には祈り、食事は右手を使い、酒は飲まない。戸惑う客人を気遣い、近くの中華料理店に連れて行ってくれた。街では中国語や英語が飛び交う。多くの対立を乗り越えて、たどり着いた共存の形だろう。東南アジアはインドや中国、欧州などからさまざまな影響を受けてきた。マレーシアのような多民族国家は少なくない。民主化の途上にあるミャンマーでは、イスラム教徒の少数民族ロヒンギャが苦しんでいる。ミャンマー政府はロヒンギャを自国民と認めていない。迫害され国外に逃れた難民は42万人を超えた。9割を占める仏教徒の差別意識は根強い。ノーベル平和賞を受賞したアウン・サン・スー・チー国家顧問も、対応に苦慮しているようだ。同じく平和賞を受けたマザー・テレサはカトリックの修道女でありながら宗教の違いを超え、インドで尊敬を集めた。ヒンズー教徒にはガンジス川の水をかけ、イスラム教徒にはコーランを読んだという。スー・チーさんは平和賞の演説で「私たちが究極的に目指すべきは、どこで暮らす人も自由や平和を享受できる世界をつくりあげること」と述べた。その思いはマザー・テレサと共通していたはずだ。
46.「金口木舌」【琉球新報】 県民はよく生き残れたと、身の毛がよだつ思いがした。沖縄戦のみならず戦後“も”の話だ。10日放送のNHKスペシャル「沖縄と核」を見て、そんな感想を抱いた県民は多いだろう▼米軍那覇飛行場での核ミサイル誤発射、核投下を想定した訓練…。番組は、沖縄が東西冷戦の緊張下で核戦争の最前線として危機的状況だったことを明らかにした。北朝鮮が核ミサイル発射実験を繰り返す中、大きな反響を呼んでいる▼放送の4日前。石破茂自民党元幹事長は、北朝鮮情勢を踏まえ、日本国内への米軍核兵器配備の是非を議論すべきと主張した。自民党内には、それに理解を示す声がある▼1960年代後半、沖縄返還を巡る日米協議で、沖縄への核再持ち込み密約が結ばれた。米側はその際、辺野古や嘉手納などの核貯蔵地を有事の際に活用することを求め、日本側は了承した▼北朝鮮情勢への対応で今後、在日米軍基地への核配備論が強まる可能性がある。密約で配備対象にされた辺野古と嘉手納が、また秘密裏に候補にされないか心配だ。核と一体化の恐れがある辺野古新基地はおろか、嘉手納でも核を背負わされるのは絶対に許せない▼核開発まっしぐらの北朝鮮の姿は、そもそも米国の核は抑止力があるのか、疑問を抱かせる。国内米軍への核配備はむしろ危機を高める。本土も沖縄も「核抜き」の原点に立ち返る時である。
47.「大弦小弦」【沖縄タイムス】 東西冷戦下、核戦争を防いだとされる旧ソ連の軍人が77歳で死去したことを、米メディアなどが伝えている▼スタニスラフ・ペトロフ中佐(当時)は、米軍の核攻撃を警戒していた1983年9月26日、5発のミサイルが発射された警報を確認。しかし、人工衛星監視システムの誤作動を疑い、上官へは報告せず「報復攻撃」を回避した▼ソ連軍が領空侵犯した大韓航空機を撃墜し、下院議員ら米国人63人を含む乗客乗員269人全員が、犠牲になった直後のことだ。中佐が規定通り伝達していれば、米ソ全面核戦争に発展する恐れがあったという▼米軍統治下の沖縄で59年、核弾頭搭載のミサイルを兵士が操作を誤り、那覇の沖合に発射していたことがNHKの報道で明らかになった。広島の原爆と同規模で「爆発していたら那覇が吹き飛んでいた」と当時の整備兵が証言している▼ソ連軍上層部は、ミサイル防衛システムの欠陥を認めたくなかったため、ペトロフ中佐は、服務規定違反に問われ左遷。米軍は沖縄の核兵器事故は「アメリカの国際的地位を脅かす」として隠蔽(いんぺい)した▼19日、トランプ米大統領は国連の演説で「北朝鮮を完全に破壊するしか選択肢がなくなる」と警告。これまでにない強い言葉を使った。偶発的な出来事が、予期せぬ衝突につながる可能性はゼロではない。(知念清張)