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マニフェスト熱冷める  「白紙委任」の懸念も 

12月2日公示の衆院選へ向けて出そろった主要政党の公約の大半に「マニフェスト」の名称は使われなかった。肝心の内容でも期限や財源を示す数値目標は数えるほどだ。本家だった民主党が政権転落を受けて及び腰となったためで、政権を懸けて優劣を競ったマニフェスト選挙への熱気はすっかり冷めた形だ。結果としてあいまいな公約となり、政権党への白紙委任化につながる懸念もはらむ。

 「民主党は(2009年衆院選の)マニフェストに消費税率を上げると一言も書いていなかった」。安倍晋三首相は27日、遊説先の北海道帯広市での街頭演説で過去の民主党公約を批判した。

 民主党は09年衆院選で金額を明示した子ども手当や最低保障年金など、具体的数値を列挙したマニフェストを発表。同じく数値を掲げて対抗した自民、公明両党に勝利し政権交代を果たした。しかし、看板政策の多くを実現できなかったばかりか、公約にない消費税増税を決定。12年衆院選での大敗につながった。

 今回の公約で自民党は安倍政権の経済政策「アベノミクス」を除いた大半の分野で「抽象的な表現」(自民党議員)を並べた。民主党は「マニフェスト」の名称は用いたが、数値目標を掲げることに慎重だった。

 民主党幹部は「根拠なしに期限、数値に踏み込むのは無責任だ」と政権党の経験を重んじた。
 27日に公約を発表した公明党の山口那津男代表は「数値にこだわらない」と強調した。別の与党幹部は「今や、マニフェストはイコール信頼されない、という意味だ」と指摘した。

 ほかの野党を含め、今回の衆院選で数値目標が少なかったのは、各党が検討したくても、十分な時間がなかったことも一因。解散から投票日まで23日間という「超短期決戦」に、与党筋は「既存の政策をかき集めて『レンジでチン』しただけだ」と本音を明かした。

 別の野党幹部は「マニフェストは一時の流行だった。今は旬が過ぎた」と語った。

 自民、民主両党などの公約にあいまいな記述が多くなったことで負の側面が浮かぶ。国民が政権党の業績を厳しく点検し、各党の論戦が深まるという効用がなくなりかねない。

 民主党関係者は「今回、各党の政策論議はかみ合わないまま終わるかもしれない」と危惧した。

2014/12/01 16:32 【共同通信】

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