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生活者重視で対抗 影を潜める数値目標 

  民主党は24日発表した衆院選マニフェスト(政権公約)で、安倍政権の経済政策「アベノミクス」による国民生活の悪化を批判した。生活者、働く者の立場を重視した経済政策を打ち出し、 野党として安倍政権に対抗する姿勢を鮮明に。政権交代を実現した2009年衆院選の際に「国民との契約」として、規模や時期の数値目標を示したが、多くは実現できないまま12年に政権を失った。その後、初となる今回の衆院選公約からは数値目標などは影を潜めた。

 「アベノミクスをこのまま続ければ、働く人や年金生活者、学生から中小企業まで苦しくなるばかりだ。この流れを変えなければいけない」

 24日午後、マニフェストの表紙と同じ、赤い色のネクタイを締めて記者会見に臨んだ海江田万里代表は、党本部に集まった記者やカメラマン約100人を前に、こう力を込めた。

 選挙準備不足を突かれた衆院解散。民主党幹部は「25日に公約を出す自民党より早く出せた」と安堵(あんど)の表情。有権者に少しでもアピールしたい、というわけだ。

 公約では、安倍政権下、社会格差が拡大したと指摘。特定秘密保護法制定や閣議決定による集団的自衛権行使の容認など、2年間の政権運営を「強引」と非難し「しっかりした対抗勢力が必要」として自民党の「1強」打破を訴えた。

 福山哲郎政調会長はアベノミクスに関し「安倍晋三首相は『この道しかない』と言うが、政権のおごりの表れだ。もう一つの道があるとしっかり示したい」と強調した。

 個別政策では、消費税率引き上げ延期のほか、子育て支援や非正規労働者の待遇改善、社会保障制度の充実など「民主党らしい」(ベテラン議員)文言が並ぶが、多くは具体性を欠く。

 福山氏は「野党が数字を出しても信頼されない」と弁明したが、数値目標に踏み込めないのは、苦い経験が背景にあるのは明らかだ。

 民主党は政権交代の期待感が高まった03年の衆院選で政権担当能力を示そうと、本格的な「マニフェスト選挙」を仕掛け躍進した。09年には財源の根拠を示し、月額2万6千円の子ども手当や、月額7万円以上の最低保障年金創設、高速道路無料化などを掲げて政権を手にした。

 その後、子ども手当は原則1万~1万5千円に減額。ほかの看板政策は多くが実現できず、公約になかった消費税増税を決めるなどして有権者の期待を裏切る形に。

 今回、党幹部は「国民の皆さんの期待に応えられなかったという反省を踏まえた」(枝野幸男幹事長)と説明する。だが実際に選挙を戦う候補者からは「民主党のマニフェストを一体どれだけの人が手に取って読んでくれるのか」(中堅)との不安が消えない。

2014/11/28 11:10 【共同通信】

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