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【連載 維新現象は終わるのか】<第2部「大義の果てに」③> 強権に「スマイル」で挑む “泡沫”脱せず 

大阪市長選最終日、街頭演説する橋下徹氏(奥)の周辺を練り歩くマック赤坂氏(左から2人目)ら。右端は安冨歩東京大教授=22日、大阪・難波 大阪市長選最終日、街頭演説する橋下徹氏(奥)の周辺を練り歩くマック赤坂氏(左から2人目)ら。右端は安冨歩東京大教授=22日、大阪・難波

 「スマイル!」。異色のパフォーマンスで、マック 赤坂 (65)は大阪市長選に彩りを添えた。権限を振りかざし選挙を仕掛けた 橋下徹 (44)に挑む「 泡沫 (ほうまつ) 候補」マックの姿に、「暴力的支配への挑戦者」の姿を見る支持者もいた。

 大阪都構想推進の大義名分を得るため、6億円の税金を投じて臨んだ選挙。「民主主義のルールで認められるあらゆる手段を考える」。橋下は正当性を強調した。

 「橋下氏の背後にあるのは、法律をうまく使って人を追い込む暴力だ」。序盤からマックの応援に入った東京大の 安冨歩教授(経済学)は「候補者は公職選挙法で守られ、選挙中は好きなことを自由に言える。マックさんと一緒に楽しみながら、抵抗しましょう」と聴衆に訴えた。橋下以外に有力候補がいない中、マックの存在が市民の政治参加の在り方を考える契機になればと願った。

 大阪府吹田市の高校教諭(51)は人気アイドルの「追っかけ」のように、白地にピンクで「マック赤坂」と書いたパネルを掲げ、練り歩きに参加。「最初は興味本位に眺めていたけど、格差が広がり、威勢のいいことを言ったもん勝ちの今の世の中で、笑顔で愛と平和をうたうマックさんはもっと注目されていい」

 道頓堀川を船でパレードしたり、コスプレイベントの会場で握手攻めにあったり、話題には事欠かなかった。選挙戦最終日は寒空の下、街宣車の上の橋下の前に、非暴力の象徴であるガンジー姿で現れ、不服従を演出してみせた。

 2012年の東京都知事選からマックに付き添う自称 赤坂見附(25)は「過去の選挙戦と違い、幅広い層が足を止める様子を見て、手応えを感じた」と語った。

 だがマックは「私が反橋下票の受け皿になる」と宣言したものの「都構想なんて本当はどっちでもいい。大事なのはハートの改革」。都構想の中身や大阪の課題については不勉強だった。

 踊りとパフォーマンスに喝采した人々も、演説が始まると1人去り、2人去った。選挙中、高級ホテルに連泊するマックの姿にも、有権者は「しょせん、道楽。私ら市民の声は届かん」と冷ややかな視線を浴びせた。

 市長選でマックの得票は1万8千票余り。約38万票の橋下を脅かすどころか、脱原発を掲げた他の候補をも下回り、これまでの選挙と同様、供託金は没収された。(敬称略)

2014/06/06 15:08 【共同通信】

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