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【連載 維新現象は終わるのか】<第2部「大義の果てに」②> 「雌伏」確信なく 選挙始まったのか… 

インタビューに答える平松邦夫元大阪市長 インタビューに答える平松邦夫元大阪市長

 「投票率が3割を超えて、そのうち9割が橋下さんの名前を書いたら引っ越しを考えるわ」。大阪市長選が中盤を迎えていた3月中旬、元市長 平松邦夫 (65)は冗談めかして語っていた。2011年11月、大阪府知事からくら替えした 橋下徹 (44)に市長選で敗れてから2年余りがたつ。

 出直し選報道が駆け巡った2月上旬、たびたび出馬の意思を尋ねられ、繰り返した。「今じゃない。敵がしつらえた土俵に何で乗らなあかんの」

 再選された橋下の任期は2015年12月までで変わらない。その時、再び市長を目指す意欲は隠さない。「反橋下の勝手連ができればありがたい。政党の支援もあれば、さらにうれしい」

 予想した通り、市長選の投票率は23・59%で過去最低。1割弱に上った白票を含めた投票総数のうち、橋下の得票率は75%ほどにとどまった。

 出馬していれば勝てたと思うか―。選挙後の問いに「いいえ」と答えた。自身が初当選した07年の得票は36万7058。今回、橋下と書いた票は37万を超えた。「低調な選挙の割に大きな数字だ」。橋下時代を終わらせることができる手だてはあるか確信はまだない。

 「今日が告示日か…」。大阪市立大大学院生 植本大貴 (25)は3月9日午前、大阪・ミナミの繁華街を通り掛かり、偶然、橋下の演説を耳にした。市長選を忘れていた自分に少し驚いた。大阪都構想を説明する橋下の選挙カーを見やった若者や中高年の女性が、その脇を通り過ぎた。

 5年前から自民党市議の事務所で欠かさず選挙を手伝ってきた。普段なら初日はポスター貼りに追われて一番忙しい。市長選期間の2週間、市議は「不戦敗」に疑問を持つ支持者に個別に会い、手紙を送って理解を求めるだけで静かに過ぎた。

 いつの間にか利用していた路線バスの本数が減り、通っている市立大と府立大の統合も進められている。都構想をはじめとする「改革」で地域が壊れると信じる。だが大阪で自民党が国政ほどに市民の支持を集めている手応えはない。「不戦敗は正しかったのかもしれない。だけど、勝てない選挙で消耗したくなかったのが本音だろう」

 橋下への批判を示すため棄権することも考えたが、期日前投票のために区役所に足を運ぶことにした。候補者ではない、将来、市長になってほしいと思う人の名を記した。(敬称略、渡辺夏目)

2014/06/06 14:49 【共同通信】

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