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【連載 維新現象は終わるのか】<第2部「大義の果てに」①> 「都構想」に有権者冷淡 退潮止まらず 

市長選に出馬した橋下徹氏の応援演説をする参院議員(右)の後ろで、パネルを掲げる坂井肇さん=21日、大阪市北区の天神橋筋商店街 市長選に出馬した橋下徹氏の応援演説をする参院議員(右)の後ろで、パネルを掲げる坂井肇さん=21日、大阪市北区の天神橋筋商店街

 橋下徹・日本維新の会共同代表が再選された大阪市長選は、かつてない低調に終わった。都構想推進を旗印とする選挙を、主要政党は「大義がない」と切り捨てた。選挙で何が問われたのか、維新はどこに向かうのか。
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 21日、大阪市北区の天神橋筋商店街。社会保険労務士の 坂井肇 (39)は、市長選に出馬した 橋下徹 (44)の応援演説をする日本維新の会の参院議員の後ろで、唯一の争点である大阪都構想の効果を示したパネルを1時間以上、掲げ続けた。

 マイクなしの演説は聞き取りにくい。知名度の低い政治家の言葉に耳を傾ける人はほとんどなく、前を足早に通り過ぎた。

 坂井は2人の子どもの父親だ。教育の改革を訴え、現役世代への予算投入を主張する橋下の熱意に共感した。維新が第3党に躍進した2012年末の衆院選以来、13年の参院選、堺市長選と、維新の選挙活動をスタッフとして支えてきた。

 だが、衆院選をピークに、橋下の従軍慰安婦発言などで維新は退潮の一途をたどる。昨年末ごろには「もうだめなんじゃないかという雰囲気」を肌で感じていた。

 大阪都構想の推進を掲げ、橋下が出直し市長選に打って出たのはそんな時だった。「今のままだと大阪が夕張のようになる。都構想を実現するため選挙は必要だ」。こう信じ、街頭演説の雑踏警備などで市内を回った。

 だが、大阪維新以外の主要政党が候補者擁立を見送る中で、選挙は事実上、橋下の独り相撲だった。12人分の枠がある選挙ポスター掲示板に、橋下のポスターだけが貼られている光景も少なくなかった。

 維新にかつての勢いがないことも明らかだった。市内を練り歩いても以前とは違い、足を止める市民はわずか。「いつもの選挙なら、もっと街中がざわついている。街頭の聴衆の数も『何だこりゃ』という感じ」

 一方、橋下の個人演説会は相変わらず立ち見が出るほどの盛況だった。橋下はパネルを棒で示しながら、大阪府市の二重行政を解消するという都構想の理念を熱っぽく語った。だが会場の市民からは「給食がおいしくない」「税金は安くなるのか」。両者のやりとりはかみ合わなかった。

 「終盤には市民の反応が良くなった」。坂井が明るい声で選挙戦を振り返った23日の投開票日、橋下は再選を果たした。投票率は過去最低の23・59%だった。(敬称略、江藤深)

(共同通信)

2014/05/30 16:52 【共同通信】

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