特集

【連載 維新現象は終わるのか】<第1部「支える人々」③>愛国と行革は同じ 生まれた「化学反応」

2011年6月3日、大阪府議会で「君が代起立条例」の採決前、賛成討論に立った大阪維新の会の西田薫府議。右は欠席のため空いた橋下徹知事の椅子=大阪府庁 2011年6月3日、大阪府議会で「君が代起立条例」の採決前、賛成討論に立った大阪維新の会の西田薫府議。右は欠席のため空いた橋下徹知事の椅子=大阪府庁

 「保守の魂、ここにあり。否決覚悟でやるべきや」。2009年12月、大阪府議西田薫(46)は自民党府議団の総会でわめき散らした。熱意を燃やしていた府立学校での日の丸掲揚を定める条例案提出が、公明党への配慮から見送りになる気配を色濃く感じていた。国政で下野した自民党を地方から盛り上げようという思いは通じず、提出は実現しなかった。

 折しも大阪の政治情勢は知事橋下徹が打ち出した府庁舎移転構想をめぐり混乱。自民党府議団は、松井一郎ら後に橋下を支える面々が飛び出し、分裂が始まっていた。「こんな政党ならやめよう」。決意を固めた。

 翌10年3月、西田は府議2人とともに自民を離れ、新会派「ひとつの大阪」をつくった。ただ愛国心教育への思いだけが背中を押したわけではなかった。府と大阪市の二重行政解消を目指すという橋下の政策にも強く共感していた。

 地元守口市の淀川沿いに、大阪広域水道企業団と大阪市が数百メートルの距離を隔てて別々に設置した浄水場がある。水道料金は企業団傘下の守口市が隣接する大阪市より高い。「間に道路一つあるだけ。おかしい」

 4月、橋下が「大阪都構想」を掲げて結成した大阪維新の会に参加。維新は1年後の統一地方選で府議会の過半数を占め、自身も2期目の議席を得た。

 「これで条例案が出せますね」。1週間後に橋下からのメールを受け取った。意外にも都構想ではなく、自民党を抜けるきっかけとなった国旗掲揚条例案のことだった。

 2カ月後、国旗掲揚に加え、国歌斉唱時に教職員の起立を義務付ける「君が代起立条例」が大阪府議会で成立した。「本当に感無量だった」。教育の正常化に道筋が付いたとの思いを強くした。

 自身の心の内には愛国心教育と行革へのこだわりが併存する。あるいは橋下を中心とした政治勢力こそ、二つが生んだ化学反応の産物でもある。

 どちらかが隠れみのの役割を果たしているとの見方や維新の考えは排他的だという指摘も耳にする。ただ西田は「当たり前のことを当たり前にする、弊害を直すという点で二つは同じだ」と言い切る。(敬称略、高尾益博)

(共同通信)

2014/04/15 10:15 【共同通信】

47政治 参加社一覧