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2011年02月09日
気さくな街、若者は夢多く 「1Q84」の高円寺

社会現象ともなった村上春樹さんのベストセラー「1Q84」。空に月が二つ浮かび、常識が揺さぶられる世界に引き込まれた主人公・天吾が住む高円寺は、クライマックスの重要な舞台となる。
新宿からJRで4駅。住宅街の中を商店街が南北に延びる。目を引くのは「高円寺純情商店街」(=写真)。ねじめ正一さんの直木賞受賞作から愛称をもらった。駅の周辺は昔ながらの八百屋や商店に、マニアックな雑貨や古着を売る店が混在。店名や看板で個性を主張していたり、開店時間が遅めだったり、自由でゆったりした空気が漂う。
ライブハウスが多く、ミュージシャンの街ともいわれる高円寺。「自称芸術家が多くてね。みんな貧乏だけど夢は大きいんだよ」と小さなバーのマスター。小説家志望の天吾にふさわしい街に思えてくる。
ヒロインの青豆は物語の終盤、高円寺の児童公園に面したマンションの一室に身を潜め、天吾が公園を訪れる日を待ち続ける。20年ぶりの再会はかなうのか…。南口にある公園は子どもが元気に走り回り、作中のイメージと重なる。

地名の由来になった高円寺はすぐ近く。徳川3代将軍家光が鷹狩りの途中に立ち寄ったという。木々が色づいた境内は訪れる人も少なく、別天地のような静けさだ。
夜の公園に戻ると周囲はひっそり。冷気が頬を刺す中、夜空を見上げる。月が人に与え得る最良のものは「純粋な孤独と静謐だ」と天吾は言う。そのフレーズを思い出し、目を凝らして月を探してみた。(絵 ウシダ・キョオコ)

【ちなミニ】宮沢賢治の詩から名付けた喫茶店「七つ森」のカスタードプリン(625円)は、懐かしくて癖になりそうな味。同店のメニューの端数はすべて5円。30年以上前からお釣りの五円玉にリボンをつけ「またご縁を」と思いを込める。東京都杉並区高円寺南2の20の20、電話03(3318)1393。


















