

イラスト:工藤美和子
(39)ヘッドランプは必需品
どんなときも必ずザックに入れていくのが、ヘッドランプだ。頭にゴムバンドで電灯を着ける器具である。日帰りでも、もちろんだ。そんなに遅くにはならないよ、と言いたいだろうが、そうではない。
山にアクシデントは付き物である。転んでねんざして歩けないこともある。道に迷って日暮れてしまうことだってある。そんなときランプがあるかないかは決定的な違いがある。今は街にいれば、夜は明るい。いつでも電気の光があるのが当たり前だ。だから、人は闇夜の怖さも不便さも忘れてしまった。だが、山では日が落ちれば闇が迫ってくる。
月明かりや星明かりがあるときはまだましだ。うっすらとは見える。しかし雲が空を覆ったら、真っ暗だ。闇夜に風が音を立てると、不気味そのものである。歩くにも危なくて進めない。不安だけが膨らんで気持ちは焦り、けがをする羽目になる。そんなとき、明かりがこれほどありがたいと感じることはない。歩くこともできるし、動けなければ自分の居どころをランプで知らせることもできる。なにより気持ちが落ち着く。
手に持つ懐中電灯でもないよりましだが、山では両手が使えるヘッドランプに勝るものはない。最近では、発光ダイオード(LED)のランプが登山用具店に出ている。とても軽くて、長時間使える。今までの電球とは違うから、球切れの心配のないのが一番の特徴だろう。従来型のランプではせいぜい10時間ぐらいの点灯時間だが、LEDだと50時間、100時間も持つ。
忘れていけないのは、予備の電池を持っていくこと、ランプはぬれないようにビニールの袋に包むこと。手痛い経験がある。いざというときに役に立たないのではどうしようもない。(米倉久邦、2003年12月記)
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