

イラスト:工藤美和子
(38)サングラスも忘れずに
街中でサングラスを掛ける趣味はない。まぶしくて困るということもほとんどない。しかし、山に行くときには忘れずに持っていく。山での紫外線の強さは、街とは比べものにならない。
目は強い方だと思っている。それでも、中高年になれば、それ相応に目も衰えてくる。それが自然だ。山で目を保護するのは、紫外線からばかりではない。天気はいつでも変わりうる。突風が吹くこともある。風とホコリ、場合によっては砂つぶてに見舞われることだってある。そんなときには、サングラスを持っていると、予想以上に役に立つ。
特に雪の照り返しは、想像以上に目に刺さる。若いころ、目には自信があった。確か5月の春山だったと思う。涸沢に入って、雪の上を何時間も歩いた。面倒くさいやとサングラスも掛けず、無防備だったのが、大失敗。雪目になった。
経験があるだろうか。夜、テントに入ったころから、目がチカチカと痛み出した。わずかな光でもつらい。マッチの光も、ロウソクの明かりも痛くて見ていられない。目の奥が紫外線で焼かれたのだ。目にぬれたタオルを当ててじっと我慢するしかなかった。山では油断大敵である。これほどひどいことにはならないだろうが、夏山でも大きな雪渓を歩くことはよくある。長い時間、下を向いて雪の反射を受ければ、いいはずはない。
季節によっては、急変で吹雪になったり、強雨に襲われることがある。そのままでは目が開けていられない。歩くことも難しい。冬には、スキー用のゴーグルをザックに入れていく。ピッタリと目をふさいでくれるので、そんなときには万全だが、急坂をあえいで登るような激しい運動では、暑いのが難点である。(米倉久邦、2003年12月記)
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