

イラスト:工藤美和子
(31)ファッションより機能性
ニッカーボッカーズが好きである。厚地のウールでできている。ひざのところに緩みをつけ、ひざ下で留める、独特のスタイルのズボンである。ひざの動きが自由になるので山歩きに人気があった。ニューヨークでオランダ系の移民の子孫をニッカーボッカーズと呼んだ。彼らが愛用していたものだ。学生時代はいつも、ニッカーボッカーズだったので愛着がある。
だが、今どきこのオールドファッションを楽しんでいるのは、間違いなく、昔に山をかじったオジンである。もちろん、いまでも登山道具のお店でニッカを売ってはいるが、普通のパンツスタイルで十分だ。立体裁断でひざの動きを妨げることもない。抜群の伸縮性を持ち、水を弾き、汗を吸い取るという新素材も出ている。
パンツは激しい動きに対応しなければならない。すそはすぐに汚れる。ぬれる。パンツもやはり、汚れも落ちやすく乾きも速い化学繊維に軍配が上がる。雨の中をニッカで歩いた。ずぶぬれになって水分でズッシリと重くなった。その晩、懸命に乾かしたが、翌日もじっとりとしていた。それを履くのは嫌なものだ。
よくジーンズなど綿のパンツで歩いているのを見かけるが、あれはいけない。すぐにぬれるし、保温力も弱い。天候急変に対抗できない。体を冷やす。それに、スムーズに動かない。
ショートパンツというのもやめた方がいい。いかにも山慣れていて、格好がいいけれども、お勧めできない。転んでも、素肌のままとパンツで覆われているのとでは、けがの程度にかなり差が出る。虫にやられるといつまでもかゆいし、足といえども日焼けは中年のお肌にはよくない。足は大事である。パンツで保護しておいた方が無難である。(米倉久邦、2003年10月記)
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