

イラスト:工藤美和子
(24)納得できるマイ登山靴を
真新しい登山靴が手に入った。慎重の上にも慎重に選んだのだから、大丈夫だと思ってはいけない。やっぱり靴は履いてみて歩いてみて、初めて分かるものだ。最初は「ウン、ピッタリだ」と調子よく歩けても、半日たつと足首に違和感が出てきたり、しっくりこないということがよくある。サイズが合っていても、自分の足になじんでくれるには時間がかかる。
こちらも履き方に慣れなくてはいけない。ひもの締め方ひとつでも随分違う。締め過ぎると、歩いているうちにしびれてくるし、緩すぎれば歩きにくい。ひもの形でも違いがある。丸ひもは締め上げやすいが、緩みやすい。平ひもは締め上げにくいが、緩まない。そんなことも覚えておくと便利である。ちょうどいい締め具合を体得するには、何度か歩いて、足で覚えるしかない。
登山とスキーの兼用靴を買ったときのことだ。プラスチック製の外側に中履きのインナーシューズがある。中はひもで締め、外はバックルだ。勇んで雪山へと行った。下ろし立ての靴を履く。それだけでなんとなく楽しくなる。だが、ひもの締め方が甘かった。途中でかかとが変だと思ったが、そのまま歩き通した。脱いでみると両足ともかかとの皮がつるりとむけていた。楽しみのはずの温泉がしみて痛いこと。失敗から学ぶ。この靴はいまも愛用しているし、靴擦れとは無縁だ。
山行には必ず薄い靴下を持っていく。歩いてみたら緩いということがある。微調節に役に立つ。中敷きを活用するというのもひとつの手だ。ほんのちょっとした調整で履き心地が随分と変わる。
靴の良しあし、自分の足にフィットしているかどうかで、山登りの楽しさも決まる。納得できる「マイ登山靴」を手に入れよう。(米倉久邦、2003年9月)
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