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 地域再生大賞 地域づくりに取り組む団体にエールを送ろうと、地方新聞社と共同通信社が2010年度に設けた。各紙が都道府県から原則1団体ずつ計50団体を推薦し、専門家でつくる選考委員会が審査にあたる。これまでに表彰した団体は計350団体に達した。活動分野は産業振興や景観保護、子育て支援など多彩で、地域を考える輪が広がっている。

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「第7回地域再生大賞シンポジウム」

重要さ増す地域づくり

第7回地域再生大賞の表彰式に続いて開催されたシンポジウム

第7回地域再生大賞の表彰式に続いて開催されたシンポジウム

  地方新聞45紙と共同通信社は「第7回地域再生大賞」の記念シンポジウムを2月17日、都内のホテルで開いた。人口減少が進み厳しさを増す環境に、地域づくりの重要性は増している。工夫や知恵を共有しようと熱心な意見交換が続いた。(司会は伊藤祐三(いとう・ゆうぞう)共同通信社企画委員兼論説委員)

共感から参加、連帯へ 地域づくりを広げる鍵

「都岐沙羅パートナーズセンター」の忠隆司理事長

「都岐沙羅パートナーズセンター」の忠隆司理事長

「東北開墾」の高橋博之代表理事

「東北開墾」の高橋博之代表理事

「パーソナルアシスタント青空」の佐伯康人・代表取締役

「パーソナルアシスタント青空」の佐伯康人・代表取締役

岡本義行・法政大大学院教授

岡本義行・法政大大学院教授

大桃美代子さん

大桃美代子さん

藤波匠・日本総合研究所上席主任研究員

藤波匠・日本総合研究所上席主任研究員

沼尾波子日大教授

沼尾波子日大教授

伊藤祐三・共同通信社企画委員兼論説委員

伊藤祐三・共同通信社企画委員兼論説委員

 シンポジウムの前半は、3団体が活動報告を行った。特別賞の「ハッピーロードネット」(福島)の西本由美子(にしもと・ゆみこ)理事長は、国道沿いなどに2万本の桜を植える取り組みを紹介。福島第1原発事故で古里を離れた子どもたちが戻った時に「桜吹雪で迎えたい」と話した。

 選考委員長賞兼中国・四国ブロック賞の「アーキペラゴ」(香川)の三井文博(みい・ふみひろ)代表理事は、幼稚園などにアーティストを派遣する。子どもとともに学ぶ活動の重要さを指摘し「派遣先を広げていきたい」と意欲を示した。

 奨励賞を受けた「AIP」(福岡)の村上純志(むらかみ・じゅんじ)事務局長は、インターネットで課題を共有しアイデアや資金を募る取り組みを説明。顔を合わせて話す会合と並行して進めることも重要とした。

 ▽重要な場作り

 後半は大賞、準大賞の代表と選考委員が「地域づくりは共感づくり」をテーマに討論。大賞の「都岐沙羅(つきさら)パートナーズセンター」(新潟)の忠隆司(ちゅう・たかし)理事長は、若者向けカフェなどを運営し「多様な人々が集まっている」と紹介。課題を話す場の提供が重要と指摘した。

 こうした取り組みを選考委員の沼尾波子(ぬまお・なみこ)日大教授は立場が違う人たちをつなぐプラットホームと評価。岡本義行(おかもと・よしゆき)法政大大学院教授も「共感は共通基盤が必要」とし、住民らが取り組みに関わる仕組みは大事と指摘した。

 準大賞の「東北開墾」(岩手)の高橋博之(たかはし・ひろゆき)代表理事は「農家や漁師が見えないと共感はない」と提起。農水産物を現場の苦労を伝える情報誌とともに届ける活動は「思いをはせる関係ができればと始めた」と説明した。

 障害者と自然農法に取り組み、準大賞の「パーソナルアシスタント青空」(愛媛)の佐伯康人(さえき・やすと)代表取締役は「農業はこうだとの概念がなかったことが強みだった」と振り返る。思い切って独自の方法に挑むことができ可能性が広がったとした。

 選考委員の藤波匠(ふじなみ・たくみ)日本総合研究所上席主任研究員は、東北開墾を「地域のファンを増やす」と評価。大桃美代子(おおもも・みよこ)さんは取り組む側の本気度が大事で「最初のフォロワーづくりが第一歩」と話した。

 ▽世界へ発信も

 活動継続には多くの理解者が必要だ。高橋氏は農産物の良さなど「きれいごと」を愚直に訴えてきたと指摘。消費者が支援し伝統のカボチャの栽培が続いた例を挙げ「心が揺さぶられると参加したくなる」とし「連帯へつなげたい」と述べた。

 佐伯氏は、農業と福祉を組み合わせた経験から「視野が広がるといろんなものを愛せる」と話し、地域づくりの多様な可能性を指摘。忠氏も「積極的に提案したい」と活動への意欲を話した。

 高橋氏は、アジアや欧州で進む高齢化を考えると「日本がモデルを示せば貢献できる」と表明。藤波氏は、会員制交流サイト(SNS)などのツールを活用すれば「世界から共感を得ることもできる」と述べ、新たな可能性を提起した。

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活動報告 

活動報告する「ハッピーロードネット」の西本由美子理事長

活動報告する「ハッピーロードネット」の西本由美子理事長

古里に桜吹雪を
 西本由美子・ハッピーロードネット理事長(福島県広野町)

 活動には3本柱がある。一つは高校生らが運営・企画する地域づくりフォーラム。地元での就職が大変な状況だから、大人に意見を言いたいと始まった。東日本大震災後は思いを伝えなくてはと、全国規模にし海外からも参加者が来ている。

 きれいな町にとごみ拾いもしている。震災後、元の家に帰れない子どもが多いが、戻った時は美しい古里であってとの思いだ。原発には十人十色の考えがあるが、住んでいる私たちは汚い町に住みたくない。だから、子どもたちと続けている。

 国道沿いに桜の植樹を始めた。企業や学生が桜のオーナーになり管理を手伝っている。10年で2万本を植える計画。震災の記憶は風化するかもしれないが、桜を見て思い出してとの願いだ。子どもたちが大人になり戻った時は桜吹雪で迎えたい。

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活動報告する「アーキペラゴ」の三井文博代表理事

活動報告する「アーキペラゴ」の三井文博代表理事

子どもの成長にアート
 三井文博・アーキペラゴ代表理事(高松市)

 新規創業を目指すメンバーがつくった団体が始まり。瀬戸内海の島々を巡り文化や歴史を考えるツアーや、浜辺でごみを拾い環境を考えるプロジェクトなどを行ってきた。

 2009年、保育園や幼稚園へのアーティスト(芸術士)の派遣事業を高松市で始めた。子どもとアートをかけ算すると、不思議な化学反応が生まれるのではと企画した。絵の描き方などを教えるのではなく、現場で成長を見守るのが仕事だ。

 芸術士はデザイナーや彫刻家、イタリア人らもいて多士済々。イカを持ち込んで触って遊んで最後にいろいろな絵を描いたり、大きな布を使ってやったことのない遊び方を楽しんだりしている。

 幼稚園の先生や市職員らと勉強会を重ねている。派遣事業は高松市だけでなくほかの自治体でも行っており、さらに広げていきたい。

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活動報告する「AIP」の村上純志事務局長

活動報告する「AIP」の村上純志事務局長

ITで地域に活気
 村上純志・AIP事務局長(福岡市)

 ITを活用した地域、コミュニティーの取り組みを2008年から始めた。まず集まれる場所をと、福岡市・天神の繁華街にカフェをつくった。まちでIT機器を使えるようにしたり、IT機器で情報を発信したりする仕組み作りを進めてきた。

 社会課題は多くあるが、財政問題もあり行政に頼れる時代ではない。解決には、二つの仕組みが必要だと考えた。自分のことだと思ってできることと、縦割りではなく横串で取り組める方法だ。

 15年から始めたネットサービスは、例えばこの地域にごみが多いといった課題を投稿できる。その場所もネット上で確認できるし、必要な費用を呼び掛け集めることもできるようになっている。

 ネットなら、いつでも参加できるメリットがある。しかし、リアルな付き合いも重要だ。毎月、話し合う場を設け白熱した議論も行っている。

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