地方の疲弊を打破しようと取り組む団体の支援を目的に、地方新聞46紙と共同通信社が合同で2010年度から設けた。専門家でつくる選考委員会(委員長・岡本義行(おかもと・よしゆき)法政大大学院政策創造研究科長)が書類や現地審査にあたった。各新聞社と共同通信社は09年度から合同企画「地域再生」や、識者らと地方の問題を話し合う「地・宝・人(ち・ほう・じん)ネット」も始めている。

講評

新たな取り組みを発掘 各地の地域再生へ光

岡本義行(おかもと・よしゆき)・選考委員長(法政大大学院政策創造研究科長)の講評

岡本義行さん写真

 東日本大震災によって、時間が止まり日本の直面していた課題が消えたかのように見えたが、財政赤字や地域再生といった課題はむしろ深刻さを増している。被災地域では復旧・復興が当面の最重要課題だ。第2回地域再生大賞の選出で、こうした点を考えざるをえなかったけれども、地域再生事業は日本にとって息長く継続しなくてはならない不可欠なテーマである。

 第2回地域再生大賞も産業振興、多彩なイベントの実施、地域づくりなど種々な取り組みが全国各地から推薦されてきた。取り組みの大きさも参加する人々、団体もさまざまである。そうした多様性は選考委員泣かせであるが、地域再生の取り組みにはなくてはならないだろう。書類選考で絞った上で複数の選考委員が現地を視察した。

  ところで、優れた取り組みの事例は政府、自治体、大学、NPO法人などにより発掘され、紹介されてきた。本賞に推薦された取り組みは、各地の新聞社がまったく新しく発掘したものが多い。地元の新聞社ならではの取り組みが推薦された。

 実際、大賞を受賞した「ブルーリバー」はかなり新規性が強く、書類審査の段階よりも、選考委員が現地を視察して一段と高い評価となった取り組みである。本賞の意義は全国各地で進められている尊い地域再生への取り組みに光を当てることにあるかもしれない。

岡本 義行氏(おかもと・よしゆき) 京都大大学院博士課程修了。87年法政大教授。08年から同大大学院政策創造研究科長。地域振興を中心に研究。東京都出身。64歳。
大桃美代子さん写真

タレント大桃美代子(おおもも・みよこ)氏の話

 日本の再生に目指すモデルはあるのか? 政治がはっきりとしたビジョンを示せない中、地域で地道に取り組む産業やシステムに志が入った時、広がりが始まる。小さな活動が見いだされ、多くの人の希望になる。日本にはこの人たちがいる! 胸を張って言いたくなる人々が、たくさんおられた。


大桃 美代子氏(おおもも・みよこ)タレント。新潟県中越地震で同県魚沼市の実家が被災。食育や農業に関心を持ち、07年から古代米作りを通じて復興に取り組む。
藤波匠さん写真

藤波匠(ふじなみ・たくみ)・日本総合研究所主任研究員の話

 暮らし続けるための地道な取り組みが目立った。住民から出資を募り、意欲的に事業創造やインフラ投資に振り向けている。そうした地域は支援の受け手にとどまらず、活力低下に直面する日本全体の再生に有形無形の示唆を与えている。

藤波 匠氏(ふじなみ・たくみ) 東京農工大大学院修了。01年日本総合研究所入社。08年から主任研究員。地域再生や環境問題が専門。神奈川県出身、46歳。
三神万里子さん写真

ジャーナリスト三神万里子(みかみ・まりこ)氏の話

 自治体にも民間企業にも解決できない領域を、住民が自らのニーズに合うよう独自にビジネスモデルを考えぬき、自治の精神で実行している。弱者と強者を分けるのは現状が不備なだけであり、日本の未来はこうした知性から策が見えるだろう。

三神 万里子氏(みかみ・まりこ) 慶大卒。信州大経営大学院客員准教授。地域経済などを研究。テレビ番組のキャスターを務め新聞・雑誌に幅広く執筆。長野県出身。
鎌田司さん写真

鎌田司(かまた・つかさ)・共同通信編集委員の話

 人口減少と高齢化に地域がどう立ち向かうか。都市を担うのは誰か。今日的な課題に戦略的で創造力豊かに取り組み、大きな成果を挙げた団体が大賞、準大賞を受賞した。それぞれ一つのモデルをつくった。東日本大震災の被災者の支えとなり活動する団体にも拍手を送りたい。

鎌田 司氏(かまた・つかさ) 早大卒。74年共同通信社入社。内政部次長などを経て編集委員兼論説委員。東京都出身。62歳。

(年齢は2012年1月22日現在)

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