地方新聞46紙と共同通信社が、合同で本年度創設した。地方の疲弊は深刻だが、打開を目指す取り組みも目立ってきた。こうした活動に取り組む団体を、各新聞社と共同通信社のネットワークを生かして取り上げ、支援することが狙いだ。各新聞社と共同通信社は2009年7月から、合同企画「地域再生」をスタートさせ、さまざまな活性化の試みを紹介。NPO法人代表や首長ら識者と、地域が抱える問題を話し合う「地域再生列島ネット」も合同で立ち上げた。

講評

革新的な再生事業を期待 貢献度や継続性めぐり論議

岡本義行・選考委員長(法政大大学院政策創造研究科長)の話

 「第1回地域再生大賞」の審査が終わった。各地域から推薦された取り組みはどれも素晴らしく、新聞社から推薦された50団体を書類審査し、さらに、いくつかを委員が手分けして訪問した。こうした結果を踏まえて選考を進め、大賞のほか準大賞や地域ブロック賞、特別賞が決まった。

 取り組みを現地で視察すると、書類審査とはまったく違った側面が見える。関係者の意気込みや熱意もひしひしと感じられる。30年以上も昔から継続してきた取り組みもある。多くのボランティアが活躍する取り組みもある一方、専門家集団が重要な役割を果たす取り組みもある。少数の人々がほそぼそ続けてきた貴重な取り組みもある。

 地域再生といっても取り組みの内容も多様である。商店街振興、中山間地の振興、映画による地域活性化、水辺の整備、町並みの保存、景観保護、創作劇による活性化などがあり、どれが優れているのか、審査委員の間でも議論が分かれる。そんな中で、社会や地域への貢献度、取り組みの組織性と継続性、ユニークさ、人材育成などを評価のポイントとしながら審査を行った。

 今後の地域再生にはグローバルな取り組みや地域産業の育成につながる取り組みが期待される。多くの住民を巻き込んで革新的な再生事業を創造することで、地域は切磋琢磨(せっさたくま)していただきたい。地域再生こそが日本の将来を決めることになる。

岡本 義行氏(おかもと・よしゆき) 京都大大学院経済研究科博士課程単位取得退学。87年法政大社会学部教授。08年から同大大学院政策創造研究科長。地域振興やまちづくりを研究している。東京都出身。63歳。

タレント、大桃美代子さんの話

 視察も含め各地の活動を見るたび、地域をつくるのは人。人の思いがその土地を絆をつくっている。自分たちの場を好きで良くしたいという熱い思いが伝わってくる。地方だから、小さいからこそ気付ける改革。モチベーションの高い所にイノベーションが起こる。ワクワクして、自分を奮い立たせることができた。


大桃 美代子氏(おおもも・みよこ) タレント。クイズやバラエティーなどテレビ番組で活躍。04年、中越地震で新潟県魚沼市の実家が被災。食育や農業に関心を持ち、07年より古代米作りを通じ復興に取り組む。

あん・まくどなるど国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティングユニット所長の話

 流氷が流れる北海道からマングローブに囲まれた沖縄へ、3千キロに及ぶ日本列島。多様性に富む日本は、まるで万華鏡だ。地域再生大賞を通じて北から南へ、独自の活動があり、地方からわき上がってくるポテンシャルが届いた。21世紀の日本列島の万華鏡は、地方の底力で彩られるだろう。

あん・まくどなるど氏 カナダ出身で高校時代に長野県に留学。大学卒業後、再来日し、農山漁村でフィールドワークに取り組む。08年から国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティングユニット所長。

藤波匠・日本総合研究所主任研究員の話

 第1回地域再生大賞の選考作業を通じて、人口減少や景気低迷などに悩む地方にあって、各地で地域再生に向けた個性あふれる取り組みが、地道に、しかし着実な足取りで進められていることを、あらためて認識した。賞へのノミネートのいかんにかかわらず、全国のあらゆる取り組みが、今後とも地域の支えとなることを願っている。

藤波 匠氏(ふじなみ・たくみ) 東京農工大大学院修了。01年、日本総合研究所入社。08年から主任研究員。地域再生や環境問題が専門。神奈川県出身、45歳。

鎌田司・共同通信編集委員の話

 地域の資源や人材を巧みに生かし活性化に成果を挙げた多くの団体の独創的な活動が光る。人口減少や高齢化、グローバル化と内外の課題が地域にも立ちはだかるが、今後は実績をベースに人と人との絆を一層強化する取り組みのほか、他地域や海外の団体との連携、新たな産業化などにも挑戦して地域から日本を「再生」してほしい。

鎌田 司氏(かまた・つかさ) 早稲田大卒業。74年共同通信社入社。内政部次長などを経て編集委員兼論説委員。地方分権などを担当。東京都出身。61歳。

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