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アイデア重ね、温泉街に活気

ハットウ・オンパク(大分県別府市、第2回優秀賞)

観光客で賑わう鉄輪温泉の地獄蒸し工房観光客で賑わう鉄輪温泉の地獄蒸し工房

 2001年10月に第1回が開かれた「別府八湯温泉泊覧会(ハットウ・オンパク)」は、実は14年10月を最後にイベントは開催していない。
 ハットウ・オンパク代表理事で、10年に発足したジャパン・オンパクの代表理事も務める鶴田浩一郎さんは「次のフェーズへ向けてひとまずやめたんです」と打ち明ける。
 地域の資源を生かして地域を再生することを目的にスタートしたオンパクは、初回の目玉プログラムの一つだった湯遍路と行く88カ所温泉巡りや、温泉蒸気を使った「地獄蒸し」料理が、観光の柱として定着。鶴田氏自身「今の別府は街づくり人材の輩出がすごい」というまでに育った。

 ▽路地裏巡りに名人の称号も

 バブル崩壊後の団体客減少で全国の温泉地が衰退し、別府でも巨大ホテルが経営破綻した。歴史的建築でシンボル的存在の竹瓦温泉に取り壊しの話が出る中で、市民を中心に保存の動きが活発化、温泉街を盛り上げる「路地裏散策」などの活動がスタート。新たなまちづくりに向けて、そうした活動を取り込む形で第1回オンパクは開催された。
 オンパクのプログラムとなった88カ所温泉巡りでは、NPO法人ハットウ・オンパクが現在もガイドブック「別府八湯温泉本」を制作。一方で温泉巡りは「別府八湯温泉道」として一人歩き。88カ所の温泉を巡った人に与えられる称号「名人」となった温泉ファンが集う「別府八湯温泉道名人会」(佐藤正敏理事長)も発足した。温泉を楽しむだけでなく、高齢化で存亡の危機にある共同浴場の運営支援や、浴場の清掃活動など、共同温泉文化継承の動きが広がっている。

  • ハットウ・オンパクの原点になった竹瓦温泉で鶴田さん(左)と次代を担う名人会の佐藤さん
  • 共同浴場の清掃も別府八湯温泉道名人会の重要な活動になっている

 ▽蒸気使った地獄蒸しが名物に

 別府八湯の中で、最も宿泊施設が集中する鉄輪温泉。観光客のお目当ては「地獄蒸し料理」だ。高温の温泉蒸気で肉や魚、野菜を蒸すだけの手軽で素朴な料理だが、高温で蒸すことでうまみを逃がさずに余分な油が落ち、温泉の塩分が素材の甘みを引き立てる。ヘルシーでおいしいと評判だ。
 もともと鉄輪は湯治場として栄え、湯治宿にひっそりと備えられていたのが地獄釜だった。宿泊客は近くの商店で素材を購入して自分で調理していた。
 温泉ホテルを経営する鶴田氏ですら「オンパクまで知らなかった」というほど、地元でも隠れた存在だった地獄蒸しが、オンパクを契機に広く親しまれる存在となり、手軽に楽しめる施設がにぎわいをみせている。
 ほかにも伝統工芸の別府竹細工の専門店が誕生するなど、地域資源を生かした起業もオンパクがもたらした成果だ。
 オンパクは別府に始まり、全国各地に広がった。スタートから16年がたち、路地裏散策などの担い手の高齢化が進む。「新しい人材で、来年中には生まれ変わりたいと思っている」と、鶴田氏は新オンパクの立ち上げに動き始めている。

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