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ミカンを柱に地域づくり

小田原柑橘倶楽部(神奈川県小田原市、第7回優秀賞)

報徳二宮神社境内に新設されたカフェ報徳二宮神社境内に新設されたカフェ

 温暖な気候と豊富な水に恵まれ、柑橘類の栽培でも有名な神奈川県小田原市。耕作放棄地や後継者不足が目立つ地域の農家を支援しようと、2010年に有志が立ち上げ、活動に取り組む。

 ▽ジュースやジェラートを企画・販売

 小田原城天守閣からすぐの報徳二宮神社に隣接する会館内に事務局を置く。神社は地元
の偉人、二宮尊徳(金次郎)を祭っていることで知られ、まきを背負って歩きながら本を読むブロンズ像なども建っている。
 「手探りだが、地域の中で人、もの、お金を今まで以上に循環させる持続可能な社会づくりを目指したい」。発起人の1人で、報徳二宮神社の宮司、草山明久さんは力を込める。
 尊徳が江戸時代に農村復興に携わった教えを基に、神社のまちづくりボランティア事業を担当するために設けた株式会社「報徳仕法」が活動を企画、自治体などとの橋渡し役も務めている。
 地元農家が栽培した柑橘類など原料を高く仕入れ、商工業者から協力も得て農商工連携で商品化。地域振興商品として手掛けるのは、ミカンを使用したご当地サイダーなどが中心だ。
 小田原・箱根エリアの旅館、土産物店などでも取り扱われ、地産地消を進める。大規模チェーン店の台頭や安価な輸入商品との過当競争が目立ち、「少子高齢化もあって農家が厳しい経営環境に直面する中、地域貢献の火付け役となった」(地元農業関係者)。
 新たな試みとして数年前から、神社境内にカフェを新設。夏休み中に訪れると、店舗内には企画販売したジュースやジェラートなどが並び、国内外からの観光客らがくつろいでいた。草山さんは「来店者も増え、活動のPRや商品の拡販に役立っている」と話す。

  • 本格稼働した加工所で作業する石井久喜代表取締役
  • 小田原柑橘倶楽部ブランドで開発した商品

 ▽耕作放棄地の開墾にも乗り出す

 15年には、活動の趣旨に賛同している地元企業14社(報徳仕法を含む)が出資し、株式会社「小田原柑橘倶楽部」を設立。農業生産法人として地域の耕作放棄地・休耕地の開墾に乗り出した。出資者から募った資金を基に、若手農家らも交えて農地で栽培を引き受ける。世代継承が少ないことなどを背景に柑橘類の生産量は落ち込み、農家にとって耕作放棄地の利活用は山積する課題のひとつだからだ。
 高付加価値の新商品の開発にも着手し、生産者が加工や販売まで担う6次産業化を加速。地元農業者や食品メーカーから受ける業務委託の対応も始めた。
 代表取締役を務め、レストラン経営にも携わる農家、石井久喜さんは「活動10年目の20年をめどに母体の2つの株式会社を事業統合したい」と経営者として将来の運営構想も練っている。
 17年は「ステップアップの年」と位置付ける。耕作放棄地にレモン苗木数百本の植え付けを終えたほか、築90年の畳店を改装して念願だった「加工所」も本格稼働させた。活動は軌道に乗りつつあり、今後も自立した農家を育成する地域の仕組みづくりを展開する構えだ。

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