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廃校を拠点に子どもたちが自然満喫

大杉谷自然学校(三重県大台町、第5回特別賞)

自然学校のスタッフと子どもたちは体験を重ねる自然学校のスタッフと子どもたちは体験を重ねる

 吉野熊野国立公園や1級河川・宮川など大自然に恵まれた三重県大台町。ここで廃校となった小学校の校舎を活用して、子どもたちに自然と触れ合う体験をしてもらう環境教育事業に取り組んでいるのがNPO法人「大杉谷自然学校」だ。

 ▽年間4000人が川や山を楽しむ

 JR紀勢本線の三瀬谷駅から、大台町営バスに乗って約1時間。山あいに続く細い道を走ると、自然学校へ到着する。猛暑の中、学校の裏に流れるきれいな川で、小学生らがいくつかのグループに分かれ、元気な声を出して釣りをしたり、泳いだりして楽しんでいた。
 自然学校が3泊4日で実施している自然体験プログラム「夏休みキャンプ」の初日。訪れていた子どもたちは三重県内のほか、関西など都市部から参加した数十人だ。
 学校の活動は、2017年で17年目を迎えた。今では年間で延べ3500~4000人が訪れ、子どもたちの中にはリピーターも多い。
 大台町出身で、自然学校の大西かおり校長は「環境教育の強い必要性を感じている」と訴える。「子どもたちだけでなく、その親の世代や祖父母の世代まで自然体験の機会が本当に少ない」と話し、地域の力を生かした活動に力を入れる意義を強調する。
 自然学校は、地元の宮川で受け継がれてきたアユなどを釣る伝統的な漁法の継承事業も進めている。地元の漁業協同組合から協力を得て、夏休みに子ども向け釣り専用エリアを用意して開放。「60~70代の高齢者に講師として指導してもらい、次世代に伝統文化を伝える」(大西校長)ことも重要視している。

  • 拠点となる校舎前に立つ大西かおり校長
  • 都会ではなかなか味わえない川遊びも

 ▽〝お試し移住〟にも取り組む

 大台町では、主産業の林業が落ち込み、若者らは地元を離れる傾向にあり、過疎化が進む。こうした事態を受け、自然学校は自治体と協議会を立ち上げ、移住の促進事業にも挑む。
 移住を希望する人が地域の生活を体験できる「お試し住宅」の運営に取り組む。ここ数年で、お試し住宅を通して、東海や関西から2世帯が子どもとともに移住してきた。
 自然学校のスタッフは現在7人。このうち神奈川県出身で、大台町に移住した細渕直代さんは、採用募集の案内を見て新卒で自然学校に入った。「地元の人と結婚し、育休を経て復帰した。自分の子どももここで元気に育ってほしい」と話す。
 自然学校の取り組みは、地域の価値や魅力を生かすことにつながる。これからの地域づくりの戦略として注目される。
 観光資源が多い三重県では、外国人観光客が年々増えている。大西校長は、外国人向けの体験型観光としても磨きをかけ「自治体と観光客の誘致を検討していきたい」といい、地域の教育力をさらに活用したい考えだ。

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