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番外編「スコットランドの分権10年」

家族や村の記録が張られているキアンドーコミュニティーセンターのヘレン・マクレイドさん
【04】

「失業者のいない村」

 スコットランド西部のハイランド地域。大西洋の海水が数十キロも入り込んだ汽水湖のほとりに立つカキ専門レストランは、昼食を楽しむ客で満員だった。
 1970年代に始まった養殖カキの味が評判を呼び、今では英国に40店を超すレストランを構え輸出をするまでに拡大した。

 レストランや販売店、養殖場などで働く従業員は140人。キアンドー村の住民だけでは人手が足りず、遠方の通勤者もいる。「村に失業者はいない。住宅の新築が進み子供が増えて学校の定員もいっぱい」と、創業者一族のバージニア・サムシオンさんがほほ笑んだ。
 レストランの隣は村のコミュニティーセンターで、「ヒア・ウイー・アー(私たちがいる)」と書いた看板があった。

 センター内の壁には、拡大した古い写真や手書きで文章をつづった模造紙がいたるところに張ってある。過疎地の活性化には、まず村の歴史を知ろうと住民が、家族や村の記録を紹介するため持ち寄ったものだ。
 「自治体の補助金はいつ切られるか分からない。だから自立することにした」と運営スタッフのヘレン・マクレイドさんが話した。現在自治体からもらうセンターの運営費を住民で賄おうと、2年前から地元の森林でつくるバイオマス発電用ウッドチップの生産を始めたという。厳しい自然の中で培ったたくましい「自治」が息づいていた。

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