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番外編「スコットランドの分権10年」

ニューラナークにある元第一工場はホテルに生まれ変わった
【03】

「紡績工場が世界遺産」

 エディンバラの西南、車で1時間ほどの山間部を流れるクライド川沿い。切り立った渓谷に4、5階建て石造りの大小10棟ほどの建物が整然と並ぶ。2001年に世界遺産に認定されたニュー・ラナーク。
 200年以上前、英国最大の紡績工場として栄え、社会改革家のロバート・オーエンが労働環境改善や協同組合事業などで実験的経営をした歴史的な場所だ。

 元の工場や労働者宿舎の外観は当時のままに修復。内部は一部で紡績機械を動かし工場を再現したほか、電動ボックスで移動する見学施設や、当時の売店を再現した一角もある。
 第一工場はホテルに、労働者宿舎は賃貸・分譲住宅に生まれ変わった。今や世界から年間35万人の観光客が訪れ、約200人が暮らす。
 「分権のおかげで世界遺産に認定されたのですよ」と、ニュー・ラナーク保存財団のローナ・デビッドソン副所長がいきさつを話してくれた。

 80年代半ばに世界遺産にノミネートされたが、英国政府の中で放置されたままになっていた。分権後、初代スコットランド政府首相がノミネートのトップに推薦したのが認定の決め手になった。
 ここで働く230人の多くが周辺地域から通勤する。「ホテルの食材は地元産、維持管理の左官や電気も地元の業者」とデビッドソン副所長。オーエンが実践した地域と一体の「経営」が復活した。

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