地域再生列島ネットから

 地方が抱える問題を話し合うため、全国の地方新聞社と共同通信社が識者らとつくった。街づくりなどに取り組むNPOの代表者や研究者、行政担当者ら多様な専門を持つ47人で構成する。毎月、テーマを決めてメールで意見交換を進め、インターネット上の「シンクタンク」を目指す。

河内山哲朗・前山口県柳井市長

   ①現在の地方の疲弊を招いた政策・制度 地方行政だけではないが、まさに税を使って行う政治行政の対象分野への公的資金の投入を無駄とする論調や歳出削減がさまざまな社会問題を引き起こしたと考えています。具体的には社会保障制度や条件不利地域の底上げ、生産性の低い産業の活性化などの分野での歳出削減です。

 私が市長を務めていた時期の最大の失敗は、三位一体改革そのものではなくそのどたばたの最中で行った大幅な地方交付税の削減です。

   ②新政権が真っ先に取り組むべき対応策 地方行政の中で、本来行うべき項目までにメスを入れざるをえない歳出カットを地方自治体はこの数年間余儀なくされましたがこの反省こそ新政権のスタートに当たって行うことだと思います。たとえば公的病院などの地域医療や障害者福祉、コミュニティの維持に欠かせない少額補助金などです。

 ナショナルミニマムは必ず保障すると宣言し、削減しすぎた項目を復元することからスタートすべきです。

   ③地方からみて永田町での政治の進め方を、どう直したら、あるいは、こんな視点・工夫を加えたらより良くなることは 世襲議員など現場の実体を知らない国会議員が増えてきました。彼らはそのことを恥だとは思わず、わからないことが多いことをまずは自覚することが重要だと思います。そのうえで、地方のことは地方に任せる分権を具体的かつスピーディーに実施することにリーダーシップを発揮すべきです。具体的には地方分権改革推進委員会の勧告の完全実施です。 

藤波匠・日本総合研究所主任研究員(東京)

   ①地方の疲弊を招いた政策・制度 90年代に実施された景気対策として膨らんだ公共事業と、2000年代の急激な財政の絞込みが、現在地方が直面する疲弊の原因だと考えます。2000年以降、県内上位の建設事業者が倒産した地域は多いはずです。水増しされ、大きくなりすぎた建設部門とそれを当てにした地域経済が、2000年代に入りいきなり蛇口を閉められた格好です。公共への依存度が高い地方経済では、公共投資額が極端に増減すれば、その影響は計り知れません。

   ②新政権が真っ先に取り組むべき対応策

 地方という観点からすれば、税源の移譲、ひも付き補助金の廃止、国直轄事業の削減です。公共事業における地方の自主事業が絞り込まれる一方で、国直轄事業はほとんど減っていません。公共事業に関する限り、地方分権ではなく、中央の支配が強まった形となっています。地方の公共投資は地方の判断に任せ、国直轄事業は絞り込むべきです。 

松田千春・滋賀県企画調整課副主幹

   地方の疲弊の最大の原因は改革の名の下に自治体の財政が大きく圧縮されたにもかかわらず、行政需要が増加していることにある。確かにまだまだ切り詰められる部分があるかもしれない。しかし、何度となく行革プログラムを組み、血のにじむような削減をしても対応できないような財政状況にどの自治体も追い込まれている。まるで壊れた家をコツコツ修繕していたら、上から津波に覆われたようなもので、ささやかな努力でしのげる者ではなく、構造的に仕組まれたものだ。

 公務員は、人の役に立ちたい、世の中をよくしたいという思いが強いと思うが、相であるが故に目の前に課題に対応できず、住民の声に応えられないことに苦しんでいる。

 全国各地にそれぞれ身近な自治体があり、住民の声を受け、速やかに対応できるのは自治体であるはずだ。国には、細部に入り込むのではなく、国家戦略など重要な課題に持てる資源を集中して取り組んでもらいたい。 

沢井安勇・日本防炎協会理事長(東京)

    戦後復興と先進国へのキャッチアップの原動力として機能した中央集権型の画一で強力な国家的体制から個人・地域の多様性を重んじる分権・分散型社会への移行プロセスの遅れが問題。具体的には、国の関与をミニマム化し、自己決定・自己責任型の分権自治社会を確立する網羅的な地方分権改革が未だにもたついて未完成であることが地方圏の独自性の発揮や持続的発展を阻害しているのではないか。

    第二期地方分権改革の即時の実施と地方整備関連の国の権限・人材等を受け止めるための都道府県・政令市の広域連合体制の整備促進が必要ではないか。

   3 国民生活に関連の深い政策事案については、年一回程度、全国の有権者全体からランダム・サンプリングにより選出・構成される「市民国会」(仮称)に諮るなどして、永田町的視座と普通の国民の視座の相違を具体的に感じとる努力をされては如何か。

東朋治・神戸ながたTMO総括マネジャー

 外圧の影響が濃い過度の規制緩和は、企業・地域間の格差を広げる結果となった。店舗面積・休業日数・開閉店日時が規制対象の大規模小売店舗(大店法)を廃止し、外圧に屈し規制緩和名目の大規模小売店舗立地法(大店立地法)は、小売店の努力不足も一因だが地方のシャッター通り化が進んだ一例だ。保護すべき事由と緩和すべき事由を、30年先のビジョンを見据えて判断せねばならない。

 地方都市における無尽蔵な機能拡散や過度の一都市集中でなく、過疎地の市民も1時間程度でアクセスできる小規模中心市街地に都市機能を集中させることが、利便性向上と地方自治体の歳出削減に繋がり、超高齢社会に適応するコンパクトシティ化も進む。

 最近、国と市町村・事業者との直接事業(補助)が増え、特に都市部で県の役割が曖昧だ。県庁所在地でなく過疎地では国とのパイプを担う県の出先機関の役割は重要だ。国との直接アプローチは物理的な制約を感じる。 

真淵智子・伊香保おかめ堂本舗取締役(群馬)

   ①について、小売業の立場で言わせていただくなら、大店法改正だと思う。既得権益を擁護することは無論よくない。しかし大型資本や外資の圧力に負け、形式だけのまちづくり3法を制定したことで、地方の中小小売業の衰退を加速させ、止めを刺したとも言える。

   ②について、一つだけあげることは難しい。優先すべきは、ばらまきでない経済対策だが、並行して少子化対策にぜひ早急に取り組んで欲しい。人口の減少は国力の低下につながると考える。子どもを生めないのは、先行きの不透明感、漠然とした不安感からだと思う。

   ③について、自民、民主ともゴタゴタが続いたが、蓋を開けてみれば、近年稀に見る「マニュフェスト選挙」となった事は評価できる。私達に甘い言葉はいらない。日々の暮らしの中でリアルに体感できる成果を求めている。マニュフェストをどう成果に結び付けていくか、その過程と結果を具体的に伝える努力が必要だ。マスコミも含め、私達国民も公正な目でそれを評価する能力が今こそ必要とされる。誤解を恐れず言うなら「賢い国民であれ」と自分にも言い聞かせたい。 

渡辺英彦・富士宮やきそば学会会長(静岡)

 地方が疲弊したことに関しては様々な要因が考えられますが、感覚的には、テクノロジーの進化がもたらした情報革命により社会ニーズが刻々と進化しているにも関わらず、政治構造や行政システムの変革がそれに追い付かないからだと思っています。

 アルビン・トフラー氏は、知識経済の時代において、企業は競争に対応するため車に例えるなら時速100㎞で走っているのに対し、官僚機構は25㎞、政治構造は3㎞、法律は1㎞であると言っています。

 経済対策等一刻の猶予もない政策決定をなす基盤組織の議会が旧態依然としたままで、選挙も政策中心と言いながら相変わらず大衆に媚びた耳触りのよいマニフェスト論争に終わっているような気がしてなりません。選挙期間が40日間という異例の長さ、そんなにゆっくり考える余裕が今の日本にあるのでしょうか?国民一人一人が自分自身で真剣に考えることが何より大切だと思っています。 

山崎美代造・とちぎインベストメントパートナーズ前社長(栃木)

地方公務員、地域ファンド運営会社経営の責任者としての体験を通して言えることは、第1の課題、地方疲弊の招いた政策制度については、戦後、保守一党政権と霞が関の官僚中心の中央集権政策が続き、中央に集まった税金を中央の考えに基づき、利権が絡む公共事業中心の、地方の実態に関係なく分配する政策が続いたこと、第2の課題、新政権の取り組むべき重要対応策は、将来の国の力になる「人づくり」である。安心して、何処でも子どもが生め、育てられる環境整備、保育費、教育費に思い切って投資すること。子どもは重要な公共財であることの再認識。特に地方の人口の過疎化は地域崩壊の大きな要因。第3の課題、地方から見た永田町政治について実感するのは、政策立案担当者が地方の実態を分かっていない。政策立案の基本を外国(特に米国の競争至上主義)と日本のマクロ的情報比較に置いていて、国内の地方と都市の実態比較的政策立案の細やかな視点が薄い。

   (追加分)今、政治家は、官僚批判ばかりしているが、官僚政治にしているのは、難関試験を突破してきた優秀な職員を使える能力を政治家が持っていないところに問題がある。会社でも優秀な職員を採ろうとしている。一流企業は優秀な職員が入ってくる。しかし社長はそれを使いこなしている。人気投票で出てきた政治家にはその能力がないところに問題があることを考えるべき。このままだと優秀な公務員が入ってこなくなるこのこと、政治家の優秀な手足がなくなることを憂える。 

田村亨・室蘭工大教授(北海道)

   政府に、内政と外政に関する問題を調整する機能が欠如していること。石油などの資源を持っていない大工業国という特質から、わが国では、国際的な生産活動・流通活動とおして、地域の雇用が生まれている。「文化の時代」と言われて久しいが、世界との結びつきの強化・競争力のある企業の創出・労働市場の機能改善など、地方が抱える課題の多くは、グロ-バルな「経済の時代」への対応である。

   ②民間の情報を取り込んだ国際対応を重視する国家戦略の立案が必要。行政対応にスピ-ド感がないため、民間によるグロ-バルな地方振興の芽を国が摘んでいる。③勤勉な日本国民を支える仕組みづくりが必要。福祉や社会保障、教育の健全化、科学技術の振興には、国民の負担が必要になり、働くより失業保険だという空気を作らない負担の上限の見極め。また、政府の一元管理による行政システムではなく、分散的・地域的な協力や合意形成による柔軟な行政実施形態が必要。 

田谷徹郎・千葉県資源循環推進課長

 「地方分権」は自らの財源で達成されることは当然であるが、実態は各自治体に財源確保に関する裁量はほとんどなく、地方は国が定める地方財政調整制度の中にある。交付税と税収を中心とする一般財源の額を国が決める現在の制度の中で、三位一体改革はその中枢に手を入れた。財政悪化を地方の責任にでもするかのように、国はこの改革で地方一般財源に大鉈を振るった。国は打ち出の小槌の赤字国債の発行で、収入不足を補填できるが、原則赤字地方債が発行できない地方は、収入不足を歳出削減で補うしかない。そのため多くの自治体で投資的事業を大幅削減するほか職員の給与減額にも取り組むなど、まさに乾いた雑巾を絞るような努力をしている。相変わらずの箱物建設やキャリア官僚の高給ぶり、労働組合のヤミ専従などを見ると、本来リーダーシップを発揮すべき国がどれだけの再建努力をしているのかはなはだ疑問である。政治がきちんと対応すべき時代なのであろう。 

吉井仁美・八戸市水産科学館館長(青森)

   ①現在の地方の疲弊を招いたのは、時代と環境の変化に対応していない従来からの公共事業費のばらまきと金太郎飴的な画一的な政策で地方を弱体化させ続け、地方の現状を無視した交付税の大幅削減で留めを刺したことが原因です。しかし本当の原因は選挙対策の支援策に甘え、地方を取り巻く変化に自ら気づき改革していく意識が希薄だった地方そのものにあると思います。その為、地方自らが意識改革、体質改善をすることが何よりも先んずる課題であると考えます。

   ②新政権が真っ先に取り組む政策は、地方の再生を推進するための地方分権制度改革です。地方に(権限)と(財源)とそれに伴なう(責任)を与える制度の構築が急務です。地方を再生するのは地元への愛着と誇りとバランス感覚を持った人間にしか出来ません。

   ③感想としては、国民不在の与野党の泥仕合にはがっかりしています。各党の発言や行動を見ていると、「日本」は誰のものなのか?何故こんなに「幼稚」になったのか?なぜ「品格」を簡単に捨て去るのか?との疑問を持ってしまう昨今です。

小林敬典・鳥取県政策企画総室長

   ①地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、各自治体の主体的運営を担保する地方交付税が、国の三位一体改革の中で一方的に5.1兆円も削減され、結果、地方は大幅な財源不足に陥り、医療、福祉、教育など住民の日々の生活に身近で必要とされる施策にまで見直しを余儀なくされる状況に陥ってしまった。

   ②少子高齢化が進む中、地方で人口の社会減少に一層拍車がかかってきた。都市と地方との地域間格差解消のため、農林業、商工業を問わず各分野で地方に雇用の場を確保するための施策の推進が必要。併せて、地方で自主的に、住民が真に必要とする行政サービスを提供できるよう、国税と地方税の負担割合を見直し、地方に安定的な税が確保される税体系の確立と地方交付税の復元が不可欠。

   ③都市でも地方でも暮らす人々が、希望をもって安心して暮らすことが出来る持続可能な国の在り方を正面から議論し、都市と地方の均衡ある発展に向けた施策の的確な打出し。

伊豆哲也・TMO佐賀タウンマネジャー

   中心市街地活性化に携わっている立場から言えば、①に関しては、大店法・大店立地法を挙げざるを得ない。外圧による規制緩和の要求等があったにせよ、街づくり関係の法律は場当たり的、対処療法的な印象が強く、国には街づくりに一貫した理念やビジョンがないと感じている。地域には地域独自の歴史や文化の土台があるはずなのに、中心市街地の疲弊の仕方は全国均一であり、また郊外の景観もどこも同じである。豊かな人生とは、思い出の引き出しを多く持つことと、誰かが言っていたが、これでは未来を担う子供達が豊かな時間を過ごせるはずもない。

   そういうことで言えば、②については、地方のことは地方に任せよということから、ひもつき補助金の廃止、財源、権限、使途の裁量権の地方への移譲は是非とも実行されなければならない。以上のことから③についても、明治以降の政治システムと決別し、地方分権へと劇的に舵を切ることが必要であると思う。 

公文豪・高知短大非常勤講師(高知)

   ①地方の衰退は構造的な問題と思うが、近年の急激な地域破壊の元凶は市場主義の横行、規制緩和、受益者負担の強化にあった。優勝劣敗の自由な競争が甚だしい貧富の差を生み、社会問題を引き起こすことは人類が既に体験済みのことだったが、小泉構造改革はこの教訓を葬り去り、新たな格差を作り出し、地方を疲弊の極に追い込んだ。疲弊を招いた政策・制度を一つに限定することは難しいが、例えば大店法改正は町の商店街をほぼ消滅させた。

   ②新政権は、市場主義を総括し、競争力の乏しい地方の産業は保護する方向で政策を講じないとグローバル化の中で地域はさらに衰退に向かうことになるだろう。

   ③政治家の質は手の施しようがないほど落ちているが、同時にマスコミが社会の公器としての役割を果たさず、いたずらに劇場型政治を演出してきたことも、地域衰退の一因であることを忘れてはならない。 

木村陽子・地方財政審議会委員(東京)

 三位一体改革中の2005年に、「生活保護と児童扶養手当に関する国と地方の協議の場」が持たれ、私は地方団体側の推薦する有識者として参加した。

 国は「地方団体の窓口が悪いので保護率が上昇した」と主張し、地方団体は「失業率や離婚率の上昇など経済社会的要因で保護率が上昇した」と主張した。地方団体は統計的分析によって、自分たちの主張を立証した。

 しかし、三位一体改革の内容を決定する段階で、官邸のメンバーが耳を傾けたのは普段から進行のある霞関の官僚達だけであった。

 私達の分析はなんだったのか、なぜ地方団体にも意見を求めないのだと悔しい思いをした。永田町にとって地方団体は単なる圧力団体に過ぎないのだと痛感した。

   しかし、そうではない。地方団体は政治家にとり政策のパートナーである。政治家自ら地方団体の意見に耳を傾けなければ状況が改善することは間違いない。 

都竹淳也・岐阜県商工政策課課長補佐

    「超資本主義」が進み、グローバルな競争が激化している。自然体であれば、条件の不利な地方は必ず疲弊し、衰退する運命にある。その中での政治の役割は、都市と地方の著しい不均衡を抑制し、弱い立場にある地方の暮らしを守ることだ。しかし、国は、競争原理と効率性を重視し、その真逆の政策を進めてきた。典型例の一つは市町村合併の推進だ。岐阜県でも市町村数は99から42へと半分以下になったが、コミュニティと経済の核を失い、急速に衰退している地域も多い。もう一つは、地方交付税の削減だ。岐阜県でも自由に使える政策経費はゼロに近づいている。

   新政権には、競争を重視する政策からの転換を図り、弱い立場にある地域や人への支援を強化してもらいたい。また、道州制=地方分権であるかのような議論があるが、必要なのはより小さな地域の目線だ。住民にとってどんな御利益があるのか十分されないまま、導入へと進んでいくのは極めて危険である。 

東四柳史明・金沢学院大教授(石川)

   ①戦後の復興期と高度経済成長時代のなかで、地方では過疎化の進行がみられたが、この間、小規模な地方自治体は、地方交付税と借金財政によって、それなりに地域振興の夢を膨らませてきました。しかし小泉構造改革にともなう地方交付税の大幅な削減で、その拠を失い、加えて戦後地方自治の在り方の総括を欠いたままでの駆け込み市町村合併の推進によって、地方自治体の多くは、経費節減

にともなう財政再建に追われているのが現状です。

   ②県と市町村の本来の役割・機能と在り方をしっかり議論し、それを踏まえた地域再生をめざす地方分権政策を期待します。安易な道州制移行には慎重であるべきで、地方における県庁所在地周辺への一点集中化現象の解消も課題にすべきです。地理的環境と地域の歴史性に基づく、県内各地の拠点都市づくりを通して、均衡のとれた地域社会の再建を望みます。

   ③日本の国土の多くは、過疎地に住む人々によって守られていることを忘れないでほしい。 

熊紀三夫・高松丸亀町商店街振興組合専務理事

   ①この点に関して制度以前に大きな問題点は、様々な制度ができる以前から地域の衰退

がはじまっていたということである。要するに中心市街地の衰退の原因を郊外開発や自治体の政策が不十分であるという事に持っていきがちだが、通行量や売り上げなどを見る限り、制度ができる以前から地域の衰退がはじまっている。このことから、あえて制度の不備を言うならば、地域の地価が高騰する際に、自然の成長に街の発展をゆだねてしまい、何も政策や制度を実行しなかったことが大きな問題だと思う。あと、流通の劇的な変化は地方経済の在り方を劇的に変えてしまい、地域において中小企業の自立を限りなく難しくしている。

   ②まず、これからの少子高齢化・人口減の時代にどの様な都市の在り方を目指すかを

しっかりとグランドデザインを明示するべきである。公共交通、住宅環境、教育環境など様々な分野で様々な人口規模に応じた対応策を明確化すべきである。どうも、今回のマニフェストをみると、1つ1つの分野に関して政策を論じているが、それが実現した時の地域全体の未来像を想像する事はできない。農業を個別保証をしたらいったいその地域の食卓はどのように変わるのだろうか?教育費を無料化したら、子供達のライフサイクルはどう変わるのだろうか?今のままではこの国が向かおうとしている行方が見えない。

   ③政治が主体者となって地域を変えていく事は今までの事を考えると無理であると思う。それは、決して政治が必要ないという意味ではなく、中央で定めた画一的な制度を地域に押し付けるのではなく、実際に地域に応じて、主体者の責任のもと活動できる仕組みが必要である。より、主体者の意見を吸い上げる仕組みを作り、それを短期間で制度に移しバックアップする仕組みが必要だと思う。この様な議論の中で、道州制という議論があるが、権限が市町村に移ったところで、自治体は主体者になれない。なぜなら、自治体が責任を取ることができないからである。あくまでも、地域の住人や企業が主体者となり、自治体はそれをバックアップする仕組みが重要である。これは、補助金等の金額の支援だけを言っているのではなく、道路利用やイベントの扱いなど制度面での後支えがなければ、決して地域の再生はあり得ない。 

阿部欣司・北海道電力地域担当部長

   ①道内市町村の多くは景気対策等の積極的な公共投資で多額の借入残を抱える一方、三位一体改革に伴う地方交付税の削減に加え、人口減少に伴う地方税減収による急激な財政悪化に行財政改革が追いつかない状況。

   ②市場経済に馴染まない農業(食料の安定供給)や福祉等の国民生活基盤の強化。そのためには、国の一般・特会・独法を含めた会計の徹底した情報公開がまず必要。例えば、農業に対する補助金の原資は一般会計に加え、高関税を利用した国家貿易による輸入価格と国内業者への売り渡し価格の差額(マークアップ)も相当額含まれている。本来、この状況を明らかにした上での議論でないと、農業支援に対する国民合意は得られない。

   ③国の農業政策は米が最重点だが、北海道の生産額は酪農、畑作、稲作の順で、その経営規模等も本州とは明らかに異なる。永田町には地方の個性を伸ばす、一国二制度も了とする位の大胆な地方分権促進策を取ってもらいたい。 

白戸洋・松本大教授(長野)

   地方からモノもカネもヒトも中央へ誘導し、中央に財源と権限を集めそれを地方に分配してきた政治経済システムが機能不全に陥ったのにもかかわらず、中央に依然として財源と権限を残しながら地方に自立や自己責任を押し付けてきたことが地方疲弊の原因である。

   しかし、過去、地方の疲弊と引き換えに、中央でも地方でも私たちは豊かさを手にしてきたことも事実だ。したがって、この解決は、行き当たりばったりの「対症療法」ではなく、国やそこで暮らす一人ひとりのあり方をもう一度見直すような根本的な議論とその実行が欠かせない。地方をどうするか、農業をどうするかとは、経済成長や効率性とは相容れないことも多く、極端に言えば貧しさを共有しても地域や農業を守るのかの覚悟が問われている。

   しかし、マニフェストにもマスコミの論調にも耳触りのよい言葉が並ぶが、このことへの答えがない。未来を選択する選挙にするために、私たちも覚悟しなければいけない。

田中幹夫・富山県南砺市長

 小泉内閣での三位一体の改革において地方への交付税等の財源が減ったことにより地方の疲弊がより進んだ。地方は町村合併など積極的に地方分権や行財政改革を進めているが国からの財政支援が不透明でさらに都市間格差の原因となった。

 新政権への期待することは、地方自治体は地方分権を進めるためにも自助努力の中で更なる行財政改革を進めていくが、政府、国政の無駄が目に付く。最終的に国民を守る医療、福祉は市町村が担うところだが、現行の医療、福祉政策では地方の病院、福祉施設の維持すら難しい状態となっている。しっかりとした制度と指導を望む。さらに日本の良さを次代に繫ぐために地方分権を進め総合的バランスの良い政策を是非実現してほしい。

 永田町は更にコンパクトになるべきだと思う。外郭団体いわゆる天下りについても必要な団体もあるだろうが、もっと国民にわかりやすくすべきではないだろうか。そういったところで地方分権を更に進めることが必要。もちろん権限と財源をしっかりした上の地方分権だが。 

野口比呂美・やまがた育児サークルランド代表

   暮らしの現場である地域と、政策・制度が乖離してきたことが地方の疲弊を招いた一因だ。例えば保育所は、都市部では待機児童が問題だが、定員に満たない地域も多い。認定子ども園は様々な要因からなかなか広がっていない。

   新政権では、教育と子育て支援に力を入れてほしい。即効性が期待できないだけに、今すぐに取りかかるべきだ。各党のマニフェストには、手当の給付や教育の無償化などが盛られ重視している様子は見える。さらに、子ども達の本当の幸せにつながるのはどのような政策なのかをきちんと吟味し、わかりやすく提示してくれるとありがたい。

   地方からみると、市民の代表である政治家は市民発の事業にもっと目を向けていくべきではないか。この4月「地域子育て支援拠点事業」が第二種社会福祉事業に格上げされたが、この中の「ひろば型」は子育て中の親達が自分たちの必要性から自発的に作ってきた事業だ。現場からの政策をどう育てていくのかが問われている。 

平竹耕三・京都市文化芸術都市推進室長

 私は、地方の疲弊を招いた政策・制度には色々なものがあるが、中央集権のシンボル的なものとして一つを挙げると、○全総ではないかと考えている。もう既に廃止されて時間が経ったが、国土総合開発計画である。

   これは、結局、東京から見ての国土総合開発であり、地方の個性や固有のよさを反映できないものであった。これによって、結局、東京のようになることが発展という方向付けが一般化し、住民のマインドも含めて、東京を向く形になってしまったように思う。

   新政権が取り組むべき最初のものは、やはり人づくりである。教育、労働など人間が社会生活を送るうえで不可欠な部分を再構築することが求められる。何と言っても、人がいて活動してこその社会であり、地方がある。

   政策決定に際しては、専門有識者だけではなく、当事者の意見を反映できる仕組を作るべきである。簡単には、各種審議会委員を肩書きで選ばないことから始めることであろう。 

高橋泰子・緑と水の連絡会議理事長(島根)

1.地方の疲弊を招いた政策は公共事業の膨張と短期間での収縮。その利権を利用する議員達と地方の土建業者、助成金漬けに慣れきった農林業者の奢りと先を読む力の無さに起因すると思う。

2.新政権が真っ先に取り組むべきことは税源と権限がマッチングした地方分権である。

3.全国で最も激戦区といわれる島根区のわが市には今までになく大物議員が送り出されてくる。応援合戦を聞いていると、「政権が変わったとしても良いことはない。相手の党がばら色の未来というのは本物ではなく造花にしか過ぎない。騙されたらいけない。島根2区を親子に譲ってはいけない。」などと双方夢が感じられない言葉が飛び交うばかり。永田町は世襲議員やその顔つなぎができている議員以外はどうも力が及ばないところらしい。

       その割には離合集散ありすぎるよね。 

熊倉 浩靖さん(群馬)

 総選挙の度にいつも疑問に思うことを申し添えたいと思います。「どうして国政選挙の事務を市町村職員が行わなければならないのか」という疑問です。確かに国政選挙の事務は地方分権一括法に基づく地方自治法改正で第1号法定受託事務に定められており、地方首長の方々も市町村職員も我々国民もそれを認めてきたのですが、「地方のことは地方で、国は国のことを」という地方分権の原則で言えば、国のあり方を決める国政選挙は、国職員がなぜ自ら行わないのかという疑問が消えません。国連のように国会というものが地方代表による議会なら、代表者を選ぶ選挙の事務を地方自治体職員が担うのは当然でしょうが、一つの国家の議員を選ぶなら国職員が事務を担うべきではないでしょうか。地方分権・地域主権や道州制議論を進める際に国政選挙事務も考え直して良いのではないでしょうか。

 


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