数百年単位で森と付き合い 渋沢寿一・樹木・環境ネットワーク協会理事長
理事長を務めるNPO法人「樹木・環境ネットワーク協会」(東京)は設立以来15年余り、ボランティアらと全国十数カ所で、里山の再生・保全事業などに取り組んできた。自治体や企業など地域のさまざまな団体や人々と連携して、活動を展開している。

▽都市の支援必要
森というものは、数百年単位で考えなければいけない。それだけに、人が森とどう付き合っていったら良いのか、その体制をつくり上げていくことがまず重要となる。
しかし、地方での暮らしは過疎化が進み、森の保全どころか、集落の維持すら難しい環境になっている。多くの人々を巻き込んで、森が生き続けられる社会をつくっていくためには、地元住民だけでなく、都市住民がサポートする仕組みが必要となっている。
だからこそ、少しでも多くの都市住民に自然の大切さを知り、自然と向き合ってほしいと思う。次の時代に向け、自然にどんな価値があるかを考えなければならない。
こうした地域づくりの動きを若者に、どう伝えていくのかという点も大切だ。都市住民と地元住民をつなぐ取り組みに加え、世代と世代をたすき掛けにし、ともに活動する試みも進めるべきだ。
▽企業との連携も
CSR(企業の社会的責任)活動の一環として、森づくりに取り組む企業も目立ってきた。地元住民と協力して、山村の資源を発掘、開発することができれば、地域再生を図れる。
環境意識を持った人材の育成にもつながり、新たな事業の創出につながる可能性もある。地元住民の暮らしが成り立つ仕組みを考えることは、森の保護に力を発揮できる環境を整えるためにも重要だ。
例えば、岡山県真庭市で行っている連携もその一つだ。木材や農業廃棄物などバイオマスを生かした産業づくりを支援している。再生可能な生物由来の地域資源を有効活用し、循環型社会を目指すプロジェクトだ。
東日本大震災では、被災地の地域コミュニティーの存在価値があらためて示された。ハード面の整備だけでなく、自分たちのコミュニティーがどこを目指して歩んでいくのか、そういう思いを共有し、あり方を議論しなければならない。
全国の中山間地では高齢化や少子化、過疎化の問題が一段と深刻になっている。自然と共生しながら、地域内でどうやってモノを循環させて、人と人とがつながる仕組みをつくっていくのかを考える必要がある。解決の手がかりは、ここにあるはずだ。(共同通信社、聞き手・勝田哲也)
【共同通信】

渋沢寿一(しぶさわ・じゅいち)氏
52年東京都生まれ。東京農大大学院博士課程修了。海外で農業指導に携わった。リゾート施設「ハウステンボス」(長崎県佐世保市)の設立当初、役員として企画、運営にも参加した。59歳。
