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地域再生
NPO,研究者,行政担当者等の意見

地域再生列島ネットから

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地域再生列島ネットから

 地方が抱える問題を話し合うため、全国の地方新聞社と共同通信社が識者らとつくった。街づくりなどに取り組むNPOの代表者や研究者、行政担当者ら多様な専門を持つ47人で構成する。毎月、テーマを決めてメールで意見交換を進め、インターネット上の「シンクタンク」を目指す。

地域の良さ見直す機会に 国際交流、インフラも課題 

 全国の地方新聞社と共同通信社が識者らとつくる「地域再生列島ネット」は「国際交流を地域で生かすには」をテーマに第12回意見交換を行った。交流は地域の良さを見直す機会になるとの指摘や、国内市場の伸び悩みで海外との取引は一段と重要になるとの見方も多かった。一方、外国人との「共生」には、インフラ整備や制度見直しが急務との声も上がった。

 ▽地域の触媒に

 「期待はプラスアルファの効果」。高橋泰子(たかはし・やすこ)・緑と水の連絡会議理事長(島根)は話す。春と秋の年2回、世界遺産となった石見銀山遺跡の竹林整備に、海外から学生ボランティアを募集。毎回5人前後の外国人学生が参加、国内の学生らと一緒に汗を流している。
 作業効率を考えれば、専門家に依頼すれば早い。あえて海外に声をかけるのは、外国人学生の姿に住民が触発されればとの思いからという。地元に残る資源を守ろうと、アジアやヨーロッパから駆けつける若者がいる。その事実に住民が刺激され、取り組みが広がってほしいと説明する。
 海外の「目」は、地元の資源を輝かせる触媒ともなる。阿部欣司(あべ・きんじ)・北海道電力地域担当部長は、北海道内でボートで川下りを楽しむラフティングに適した場所が、オーストラリア人に「発見」され、一躍、人気スポットになったケースもあると指摘。こうした交流は互いを知り、触れ合いを深める機会となるとした。
 ただ、河野達郎(こうの・たつろう)・おおず街なか再生館専務(愛媛)は、住民も歴史や文化について「しっかり説明できる体制」が必要と指摘。まず、自分たちが地域を知ることが交流の第一歩だと提起した。

 ▽新たな担い手に

 国内市場が頭打ちとなる中で、海外との取引は地方でも重要さを増している。山崎美代造(やまざき・みよぞう)・前とちぎインベストメントパートナーズ社長は、焼き物や農業の技術指導による交流が広がっているとし、地域経済への波及効果に期待を示した。
 多田憲一郎(ただ・けんいちろう)・岡山商科大教授は、地元の農村で中国人留学生の交流に取り組んでいると説明。大学が橋渡し役となって草の根レベルの交流が進めば、過疎化に悩む地域に外国から人材を紹介し、新たな担い手とすることも可能ではとみる。

 ▽支援制度を

 しかし、外国人と暮らす「多文化共生社会」の実現には課題が多い。都竹淳也(つづく・じゅんや)・岐阜県商工政策課課長補佐は、教育や医療など制度の見直しを提起。藤波匠(ふじなみ・たくみ)・日本総合研究所主任研究員も、日本での暮らしを不自由なく始められる公的支援制度が必要と指摘した。
 白戸洋(しらと・ひろし)・松本大教授(長野)は、資源や人材を都合の良い時だけ利用するのでは「国際化に程遠い」と批判。「共生」を考えることは「誰にとっても幸せに生きられる場にする、またとないチャンス」と提言した。

◎地宝人
 「地域再生列島ネット」に参加した多彩な人たちを「地・宝・人(ち・ほう・じん)」と名づけた。活動と横顔を紹介する。

子育てを応援する野口比呂美・やまがた育児サークルランド代表

訪れた親子と話す野口比呂美さん(右)=山形市

 「ボランティア活動などを通じて、お母さんたちがどんどん変わる。それが楽しくて続けてきた」と、手応えを話す。次々と広がる活動の始まりは、今は大学生となった長女の子育てをきっかけに知り合った母親仲間でつくった小さなグループだった。
 山形県で生まれ、大学生活も山形市で送ったが、子育てを相談できる仲間は意外に少ないことに気付く。雪が積もる冬は、外で遊ぶ場が少ないことも悩みの種だった。親子で楽しめる場をつくろうとの思いも後押しとなり、子育ての仲間を広げる活動が始まった。
 育児サークルの代表らを集めて「やまがた育児サークルランド」を発足したのが1998年。2002年に、山形市中心部の商業ビルの空きフロアに子育て支援施設をオープン、子どもを時間単位で預かるサービスも始めた。03年にはNPO法人とし、パソコン教室など母親の再就職支援まで活動の幅を広げている。
 積み重ねてきた経験から「地域に合った仕組みをつくることが目標」と話す。少子化対策も、国がつくるメニューには違和感も感じる。山形にふさわしい対策を練るため、今後は調査研究に力を入れ、政策提言につなげたいと意欲を示す。
 「小さいころの親子関係は大事。子育ての喜びも感じてほしい」。活動を始めた思いは今も変わっていない。49歳。

海外戦略を指揮する長谷尾雅通・大分県国際政策室長

大分県庁で職員と打ち合わせする長谷尾雅通さん(右)

 百貨店への出向や国際大学誘致に携わった経験を買われ、大分県が今春新設した国際政策室の責任者に起用された。「マーケットを海外に広げ、人口減少時代でも産業を維持・発展できる戦略を実践したい」と話す。
 職員としての振り出しは同県佐伯市の出先事務所。地元企業向けに経営勉強会を企画していたのが縁で、県の民間研修生第1号として28歳で西武百貨店へ。食品売り場で接客し、北海道物産展の現地仕込みにも同行し商品の見極め、出店交渉を間近に見た。県庁復帰後、商品開拓で県内を歩く際にも培った百貨店人脈が役立ったという。
 その後、大学誘致の担当部署に。「若者を呼べる決定打として花盛りだった」と振り返る。自治体の財政負担などハードルを越え、2000年に立命館アジア太平洋大学が同県別府市に開学。学生・教職員は7千人近くとなり、経済波及効果は年212億円という試算も。「小さな町ができたのと同じ。苦労も吹き飛ぶ」と手応えを話す。
 現在は、8月に控えるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の会合受け入れ準備に取り組む。「県経済界が東アジアに目を向けてもらえる会合に」と意欲的だ。ナシや焼酎など輸出の拡大も重要な仕事。ただ、ブランド魚の先駆けとして知られる関サバ・関アジだけは「大分に来て食べないと」と笑った。51歳。