第12部 刺激を手掛かりに
まとめ 留学生定着へ支援を
留学生の誘致は国際貢献や、優秀な人材の獲得を目的に国策として進められた経緯がある。実際に学生を受け入れた地域では、住民とのきずなが芽生えたり、経済浮揚策で助言を得るなど、波及効果も表れている。
このため人口減少に悩む地域からは、海外の若い人材が定着、リーダーとして活躍することを期待する声も上がる。しかし、留学生をめぐる民主党のビジョンは不鮮明だ。就職支援を含め、進路に十分目配りした戦略が求められている。
▽進まぬ見直し
「政権交代で国の政策は中ぶらりんとなっているが、少子化対策で留学生を増やすのが地方の共通認識。国の先を行く自治体もある」。留学生支援に本腰を入れる静岡県の担当者は指摘する。
政府の計画は、自民・公明政権が2008年に決めた、20年をめどとする「留学生30万人計画の骨子」でストップ。文部科学省幹部は「計画に検討を加え、あるべき姿を構築したい」とするが、再検討はほとんど進んでいない。野党からは「どういう考えで、政策を進めたいのか分からない」と批判が上がる。
計画を推進する関連予算も10年度は355億円と、前年度から37億円減少。国費留学生の受け入れ人数は5年ぶりに減り、就職支援なども目を引く新事業はない。文科省は「限られた予算の中、できるだけのことはした」と説明するが、足踏みの印象は否めない。
▽大きいギャップ
独立行政法人・日本学生支援機構が私費留学生に行った07年の進路希望調査では、日本での就職が61%(複数回答)で断トツ。だが、08年度に卒業・修了した留学生のうち日本で就職したのは25%に過ぎない。機構担当者は「文系が多い留学生と、技術者がほしい企業とで差もある」と話す。
こうしたギャップ解消に向け、広島県は11年度に「留学生活躍支援センター」(仮称)を設立。受け入れから就職まで一元的に対応し、日本語教育もサポートする事業などを展開する。担当者は「留学生の地元指向は高い。活力低下に危機感を持つ地域にとっても、生き残るには海外人材の定着と活躍が必要だ」と力説し、留学生を地域で生かす取り組みを進める。
一方、富山県の調査では、学外の日本人との交流会を希望する留学生は89%なのに対し、経験があるのは65%止まり。言葉の壁に加え、交流を敬遠しがちな日本人の傾向を指摘する声も多い。
交流体験は、外国人観光客をもてなす意識向上や、外国語情報などを充実させたユニバーサルデザインのまちづくりにも発展していく。私たちも一歩踏み出す勇気が求められている。(共同通信社、文・岡部智也)
外国人登録者 2008年末で約221万7千人おり、総人口の1・7%。中国籍が約3割を占める。在留資格別では、法相が永住を認めた一般永住者が約49万人、在日韓国・朝鮮人ら特別永住者が42万人、日系ブラジル人ら在留期間が指定された定住者が26万人などとなっている。
- 第12部 刺激を手掛かりに
- 【01】秋田市 「地域活性化の源泉」【秋田魁新報】
- 【02】金沢市 「先人の志を継承」【北國新聞】
- 【03】別府市 「温泉街に貢献」【大分合同新聞】
- 【04】まとめ 「留学生定着へ支援を」【共同通信】
- 第11部 医療を支える
- 【01】遠野市 「遠隔医療」【岩手日報】
- 【02】小鹿野町 「在宅ケア」【埼玉新聞】
- 【03】多治見市 「新型ドクターカー」【岐阜新聞】
- 【04】まとめ 「再建は急務」【共同通信】
- 第10部 財政の挑戦
- 【01】上越市 「地域活動資金」【新潟日報】
- 【02】安芸太田町 「ケチケチ作戦」【中国新聞】
- 【03】宮崎市 「地コミ税」【宮崎日日新聞】
- 【04】まとめ 自前の「財布」【共同通信】
- 第9部 人集うまちに
- 【01】坂井市 「地産地消」【福井新聞】
- 【02】高松市 「黒船来航」【四国新聞】
- 【03】対馬市 「韓国と交流」【長崎新聞】
- 【04】まとめ 「休日分散」【共同通信】
- 第8部 農を開く
- 【01】福島 「輸出に活路」【福島民友新聞】
- 【02】静岡 「アメーラ」【静岡新聞】
- 【03】熊本 「米粉メロンパン」【熊本日日新聞】
- 【04】まとめ 「知恵活用と連携」【共同通信】
- 第7部 足を守る
- 【01】鰺ケ沢町 「全住民参加」【東奥日報】
- 【02】富山 「攻めの投資」【北日本新聞】
- 【03】四国中央市 「デマンドタク」【愛媛新聞】
- 【04】まとめ 「移動の権利」【共同通信】
- 第6部 子育てを支える
- 【01】東通村 「公営塾」【デーリー東北新聞】
- 【02】山形 「協働」【山形新聞】
- 【03】群馬 挑戦【上毛新聞】
- 【04】まとめ 空回り【共同通信】
- 第5部 新たなしるべ
- 【01】室蘭 ボルト人形「ボルタ」【室蘭民報】
- 【02】美作 「温泉街に女子サッカー」【山陽新聞】
- 【03】鳥取 「芝生化効果」【新日本海新聞】
- 【04】まとめ 「メセナが再び」【共同通信】
- 第4部 地方議会動く
- 【01】蔵王 「会期は通年」【河北新報】
- 【02】山梨学院大 「町議会と協定」【山梨日日新聞】
- 【03】鳴門 「市議の大量逮捕」【徳島新聞】
- 【04】まとめ 「八百長と学芸会」【共同通信】
- 第3部 「環境とともに」
- 【01】喜多方 「5ミクロンの微生物」【福島民報】
- 【02】神戸 「大手の下請け返上」【神戸新聞】
- 【03】有田 「究極のラーメン鉢」【佐賀新聞】
- 【04】まとめ 「開発秘話」【共同通信】
- 第2部 新たな力
- 【01】白馬 「外国人経営」【信濃毎日新聞】
- 【02】祇園 「クギ1本」【京都新聞】
- 【03】石見銀山 「空き家を社員寮」【山陰中央新報】
- 【04】まとめ 「リーダー育成」【共同通信】
- 第1部 新時代の手掛かりを
- 【01】夕張 「移住体験」【北海道新聞】
- 【02】鬼怒川 「中国へ売り込み」【下野新聞】
- 【03】四万十 「農家108人株式会社」【高知新聞】
- 【04】まとめ 「コミュニティ」【共同通信】
- 番外編「スコットランドの分権10年」
- 【01】「住民の目線で法案」【共同通信】
- 【02】「削減目標、世界一」【共同通信】
- 【03】「紡績工場が世界遺産」【共同通信】
- 【04】「失業者のいない村」【共同通信】
- 番外編 「地域再生列島ネットから」発足1周年記念シンポ
- 【01】報道を活用、売り込み展開 メンバー活動報告(1)【共同通信】
- 【02】学生を引き込み全国発信 メンバー活動報告(2)【共同通信】
- 【03】地域が自発的に行動を メンバー活動報告(3)【共同通信】
- 【04】きずなづくりに着眼 メンバー活動報告(4)【共同通信】
- 【05】熱意と人材育成が活力に 総務相交え、パネル討論【共同通信】
地域再生列島ネットから
- 12.『国際交流、インフラも課題』
【意見のまとめ】地域の良さ見直す機会に - 11.『地域への誇りが魅力に』
【意見のまとめ】高齢者の健康を地域で支えるには - 10.『自治体、財政情報公開を』
【意見のまとめ】財政に住民の声反映させるには - 9.『地域への誇りが魅力に』
【意見のまとめ】観光で人をひきつけるには - 8.『農業を再建するには?』
【意見のまとめ】安全性や連携が重要 - 7.【意見のまとめ】公共交通をどう守るか
- 6.『地方で子どもを増やすためには?』
【意見のまとめ】新住民ひきつける工夫を - 5.『文化を地域ビジネスにつなげるには?』
【意見のまとめ】資源を発見し情報発信を - 4.『期待される地方議員像は?』
【意見のまとめ】少数精鋭で首長と論戦を - 3.『(1)地域で活用できる経済的資源は?(2)新政権への期待は?』
【意見のまとめ】 情報発信、発想が自立の鍵 - 2.『地方自治体の新たな担い手は?』
【意見のまとめ】NPO、地域の顔に期待 - 1.『自治体の首長になったら?』
【意見のまとめ】鍵は愛着教育と特色づくり
第13回 7月下旬予定

