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地域再生
NPO,研究者,行政担当者等の意見

地域再生列島ネットから

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地域再生列島ネットから

 地方が抱える問題を話し合うため、全国の地方新聞社と共同通信社が識者らとつくった。街づくりなどに取り組むNPOの代表者や研究者、行政担当者ら多様な専門を持つ47人で構成する。毎月、テーマを決めてメールで意見交換を進め、インターネット上の「シンクタンク」を目指す。

高齢者の健康を地域で支えるには 在宅医療や介護の充実が重要

 全国の地方新聞社と共同通信社が識者らとつくる「地域再生列島ネット」は「高齢者の健康を地域で支えるには」をテーマに、第11回の意見交換を行った。地域医療の危機がいわれる現状を踏まえ、在宅での医療や介護の充実が重要と提起。コミュニティー構築や、働く機会を確保するなど生きがいの創出も必要との意見も多く寄せられた。

 ▽県単位で調査

 「試行錯誤する時間的余裕はない」。窪田裕行(くぼた・ひろゆき)・福井県政策推進課課長補佐は訴える。同県は東大と2009年、協定を結び高齢者をめぐる共同研究を開始。注目は県単位では初めてという、03年度から8年分の医療や介護保険のデータを基に行う分析だ。有効な対策を打つには十分な調査が必要とし、高齢化のスピードを考えれば早く取り組むべきだと指摘する。
 対策の大きな柱は在宅医療体制の充実だ。高齢化で病院や医療施設だけでは対応が困難。一方、同県による07年の調査で寝たきりでも自宅で治療を望む人は46・9%と、最後まで住み慣れた地域でとの願いも強い。窪田氏は「老い」への対応が「新しい地方の生活モデル」につながると話す。
 河内山哲朗(こうちやま・てつろう)・前山口県柳井市長も、高齢者が自宅で暮らせるよう家事援助や訪問介護へ資源を誘導する政策を提起。ただ、田谷徹郎(たや・てつろう)・千葉県保険指導課長は、在宅医療の充実は「難しい課題」と指摘。自治体が成功例など成果を共有、財政出動を受け入れる意識を高める必要もあるとした。

 ▽担い手が連携

 地域での支え合いが重要との指摘も相次いだ。藤波匠(ふじなみ・たくみ)・日本総合研究所主任研究員は「コミュニティーを再生し多様な年齢層が暮らす持続的な地域」を目指すべきだと提言。白戸洋(しらと・ひろし)・松本大教授(長野)は、都会のようにつながりが薄い地域では、関係団体などが参加目的を決めた「テーマ型コミュニティー」が効果的との考えを示した。
 小林敬典(こばやし・たかのり)・鳥取県教委教育総務課長は、高齢者の様子を確認するNPOなどの活動を「新たな公的な取り組み」と、広がりを期待した。こうした担い手が力を発揮するために、沼尾波子(ぬまお・なみこ)・日本大教授は連携を進める調整が必要とし、行政が役割を果たせるよう行財政システムの構築を求めた。

 ▽働ける環境を

 木村陽子(きむら・ようこ)・自治体国際化協会理事長は、高齢者の健康維持に「生きがいを感じる環境」が重要と指摘。渡辺英彦(わたなべ・ひでひこ)・富士宮やきそば学会会長(静岡)は、まちおこしの視点から地方都市では高齢の女性にふさわしい仕事の開発が課題とした。
 沢井安勇(さわい・やすお)・日本防炎協会理事長も、意欲と体力のある人に働く場を提供する仕組みを提起。高齢者の「ワークライフバランス」(仕事と生活の調和)確立に向け、社会が取り組むよう求めた。

◎地宝人
 「地域再生列島ネット」に参加した多彩な人たちを「地・宝・人(ち・ほう・じん)」と名づけた。活動と横顔を紹介する。

「地域で新たな価値観共有を」と語る田谷徹郎・千葉県保険指導課長

「地域を基盤に新たな価値観を共有すれば自立できるのでは」と語る田谷徹郎・千葉県保険指導課長=千葉県庁

 「地域で経済が回るシステムをどうつくるか。何に住民が価値観を見いだすか」。それが地域再生の鍵になると見る。
 千葉市に生まれ、「企業の歯車になりたくない」と大学卒業後県庁を選んだ。配属された県出先機関で内陸工業都市の推進に携わり、地元市町村職員や立地企業担当者との調整に汗を流した。まちづくりや地域経済を学んだ経験が、その後の「どの担当部署でも仕事の原点」という。
 本庁でも市町村課時代に、県内市町村担当者と幅広い人脈を築いた。今年4月異動した健康福祉部保険指導課は、赤字を抱える市町村国民健康保険の立て直しが急務。健康づくりなどで県と市町村の「二重行政」の整理も課題だが、「若いころの市町村の仲間とざっくばらんに意見交換ができる」と胸を膨らます。
 分権の時代を迎えて、住民と直接向き合う市町村の役割は大きいが、「実力がまだの市町村もある。助言などで背中を押してあげるのが県の役割」という。
 子どものころ潮干狩りで親しんだ東京湾を埋め立てた大規模開発で発展してきた千葉県は、戦後日本そのもの。しかし人口減少や高齢化で「もう企業誘致の手法は通用しない。収入は落ちるが地域を基盤に、新たな価値観を共有できれば地域も住民も自立できるのでは」。転換期の地域に熱いまなざしを注ぐ。53歳。

地域振興策に取り組む多田憲一郎・岡山商科大教授

ゼミの学生たちに話す多田憲一郎・岡山商科大教授(左)=岡山市

 大学卒業後、勤務した京都府庁で携わった用地買収が進路を変えるきっかけだった。当時はバブル景気の真っ最中。しかし、担当した丹後半島では山林1平方メートルがコーヒー代にもならない。若い人を見かけない過疎地で「道路ばかり造っていいのだろうか」。地域振興策を研究しようと、大学院に進むことを決めた。
 岡山商科大に1996年、着任。学生を育てる一方で地域貢献を進めようと、2005年には学内に地域再生支援センターを立ち上げた。自治体の合併が進むが「合併後を考えるビジョンが必要だ」と話し、センター長として大学の知恵を地域に生かす戦略を練る。
 岡山県新庄村と05年に結んだ協定も、その一つだ。人口約千人の村の将来をともに考えようと、学生と一緒に訪ねたり、さまざまな専門を持つ教員と分担しながら、財政見通しなどで報告や提言を続ける。
 村の自慢は、日露戦争の勝利を記念して明治期に植えられたという百本を超える桜並木。春には多くの人を集めており、落ちた葉の掃除など協力して保存に取り組む住民を見ていると「地域の誇りが人をつないでいる」と感じたという。
 鳥取県倉吉市の出身。「地方で育ったから、中山間地に目が向く」と話す。振興策やノウハウを蓄積し活用する「自治体ネットワークができれば」と夢を語る。49歳。