第11部 医療を支える
まとめ 再建は急務
地方の医師不足は深刻さを増している。医師を地域別にみると、2008年末で18大都市と人口30万人以上の中核市が半分を占める。一方、病院数は08年は8794と、00年から500近く減っている。医師の地方勤務を促す制度など対策は急務となっている。
▽研修制度の影響
医師の都市部への偏在の原因とされるのは、04年度に導入された新臨床研修制度だ。研修先が自由に選べるようになり、研修医が都市部へ集中。人手不足となった大学側が、地域病院に派遣した医師を引き揚げる事態となった。
このため、院長など病院管理者になるには一定期間の地方勤務を条件とするなど、キャリア形成の見直しは課題だ。厚生労働省の「へき地保健医療対策検討会」は3月「地域医療修了医」の認定制度や、都市の大病院や地域病院、診療所を行き来して医療技術を磨く体制づくりを求めた。
外国人医師の活用も議論すべきだ。研修目的で指導医の立ち会いの下、医療行為が認められている。岩手医大などで受け入れ実績があり、外国人医師を紹介する人材会社もある。ただ、期間は2年間で、厚労省の指定病院に限定されるなどハードルが高いのが現状だ。
仙谷由人(せんごく・よしと)国家戦略担当相(64)は、一定技術がある外国人医師の診療を広げる制度改正が必要とする。長妻昭(ながつま・あきら)厚労相(49)は「論点整理が必要」と慎重だが、医療水準を確保しつつ、外国人医師も活用できる対策を検討する価値はある。
▽地域の協力も
地方も工夫が迫られる。関連法改正で過疎債を「ハコモノ」建設だけでなく、医師確保などソフト事業の財源にも使えるようになった。自治体病院の医師の給与引き上げなど待遇改善や、ドクターヘリ導入、地元の大学や医療機関との連携など独自の施策を打ち出せる可能性は広がっている。
地域社会との協力も欠かせない。千葉県立東金病院(東金市)では毎月、住民と若手医師の懇話会が開かれる。住民は健康相談をすると同時に、医師の苦労も知ることができる。運営するNPO法人「地域医療を育てる会」の藤本春枝(ふじもと・はるえ)理事長(45)は「互いを尊重し合うことで、医師も住民のためを思い、地域から離れたくないと感じるようになる」と話す。
医師不足をはじめ多くの問題を抱える地域医療の抜本的な再建には、医療制度全体の改革が必要となろう。ただ、政府や自治体、地域が知恵を出し合えば、着手できる対策はある。踏み出すことが求められている。(共同通信社、片山寿郎)
医師不足の現状 厚生労働省は2年ごとに全国の医師数を調べており、2008年12月末は28万6699人で、前回より3・2%増。しかし、経済協力開発機構(OECD)によると、07年の人口1千人当たりでは日本が2・1人で、加盟30カ国平均の3・1人を下回る。順位も27位だった。
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第13回 7月下旬予定

