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地域再生
NPO,研究者,行政担当者等の意見

地域再生列島ネットから

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地域再生列島ネットから

 地方が抱える問題を話し合うため、全国の地方新聞社と共同通信社が識者らとつくった。街づくりなどに取り組むNPOの代表者や研究者、行政担当者ら多様な専門を持つ47人で構成する。毎月、テーマを決めてメールで意見交換を進め、インターネット上の「シンクタンク」を目指す。

「観光で人をひきつけるには」 地域への誇りが魅力に

 人を呼び込み活性化策と期待される観光。全国の地方新聞社と共同通信社が識者らとつくる「地域再生列島ネット」は第9回意見交換で、人をひきつける魅力づくりを論議した。独自の資源を生かす重要さに加え、住民が地域を知り誇りを持つことが大事だとの提言が相次いだ。まずは、自分のまちを愛することが第一歩といえそうだ。
 
 ▽外の目を活用
 
 旧正月に約1万5千の中国ちょうちんが長崎市内を彩る「長崎ランタンフェスティバル」。17回目となる今年は2月に行われ、多くの観光客が押し寄せた。中華街の小さな行事を一大イベントに育てたのは、林敏幸(はやし・としゆき)・長崎ランタンフェスティバル実行委員会幹事長だ。
 長崎の新たな名物となったが、見慣れている住民は「地域の観光資源に気付かない」と指摘する。「外から見た印象を探るべきだ」といい、発掘するために、商工会議所など全国のネットワークを活用して調査を行ってはどうかと提案する。
 「B級グルメ」を全国に広げた渡辺英彦(わたなべ・ひでひこ)・富士宮やきそば学会会長(静岡)は「地元では当たり前と思っていることでも、消費者に訴える素材がある」と話す。伊豆哲也(いず・てつや)・まちづくり機構ユマニテさが常務理事も、独自の地域資源を見つけ「時間をかけて根付かせる」ことが大事だと訴えた。
 人口減少で国内市場の伸び悩みが想定され、急成長する中国など外国人客の受け入れも課題だ。都竹淳也(つづく・じゅんや)・岐阜県商工政策課課長補佐は、県が楽天と提携して中国語圏向けに物産・観光展を行ったことを説明。山崎美代造(やまざき・みよぞう)・前とちぎインベストメントパートナーズ社長は、外国人取締役を起用するなど企業の意識改革を促した。
 
 ▽「演出力」も
 
 多くの人が重要と指摘したのは、住民が地域への愛着を深めることだ。多田憲一郎(ただ・けんいちろう)・岡山商科大教授は「生活を大事にし誇りを持つ」ことが地域の魅力を生むと指摘。小林敬典(こばやし・たかのり)・鳥取県政策企画総室長は「地元の資源を認め、説明できるぐらいの意気込みを」と提起した。住んで良かったと思える地であることが、人をひきつけるための大前提といえそうだ。
 沢井安勇(さわい・やすお)・日本防炎協会理事長は「市民本位のまちづくり」が観光地の持続的発展にもつながるとした。河内山哲朗(こうちやま・てつろう)・前山口県柳井市長も「住民との調和を欠くと長続きしない」と指摘し、観光振興を優先しがちな行政に警鐘を鳴らした。
 その上で、沼尾波子(ぬまお・なみこ)・日本大教授は、ニーズをとらえて地域に仕掛けをつくることができる「コーディネーターの存在が重要」と指摘。固定ファンをつくるために、河野達郎(こうの・たつろう)・おおず街なか再生館専務(愛媛)は、地域の資源を印象深く演出できる「地域力が求められる」と提言した。

◎地宝人
  「地域再生列島ネット」に参加した多彩な人たちを「地・宝・人(ち・ほう・じん)」と名づけた。その活動と横顔を紹介する。

港町活性化に取り組む鈴木泰弘・小名浜まちづくり市民会議副会長

「小名浜美食ホテル」の飾り付けを見る鈴木泰弘さん(左)=福島県いわき市

 かつては石炭の積み出し港として栄えた福島県・小名浜港。一角に残った化学会社の倉庫を改装し、レストランなどが入った商業施設「小名浜美食ホテル」が2008年、オープン。社長を引き受け、港町の新たな顔に育てようと知恵を絞る日々が続いている。
 東京の大学を卒業後、古里の福島県いわき市に戻り、商工会議所に就職。地元の経営者らの熱意が刺激となり、街の元気を何とか取り戻したいとの気持ちが強まった。小名浜の将来を考えようと2000年に発足したまちづくり市民会議では、事務局で力をふるった。
 同会議は県や市と小名浜港の再開発にも参加。外観を生かし倉庫をどう衣替えするか。地域のことは地域でと、コンサルタントに頼らず各地を歩きヒントを探した。武骨な外観とは対照的に内装を華やかにして「驚きのある場所」を狙った。
 周囲の広場では使用料金を抑え、フラダンス発表会など住民によるイベントを積極的に誘致。施設への出店も、すべて地元企業にした。「地域へのサービス徹底」を目指した戦略は、初年度に75万人の来訪客を集め、黒字となり実を結んだ。
 「住み続けられるまちにするには、地域でお金が回る仕組みが必要」と話す。「頑張って小名浜は良い所だと発信したい」。それが次の世代に街をつなげることになると力を込めた。43歳。

地域をプロデュースする河野達郎・おおず街なか再生館専務

坂本竜馬「脱藩の道」紹介ツアーのモニター参加者を案内する河野達郎さん(中央)=愛媛県大洲市

  「地域の魅力をプロデュースする」を掲げて、JR四国や航空会社と連携した独自の地域密着型観光ツアーを企画、運営する仕掛け人だ。
 愛媛県大洲市は、街並みに江戸の城下町や明治の風情が残り、市内を流れる肱川は舟運でにぎわった。盆地の市街と川にかかる朝霧は幻想的。
 街並みの歴史を一編の「物語」に仕立てる。観光パンフレットの魅力的な写真も、プロ級の腕前のカメラで自ら撮影したものだ。JRの車掌経験者らベテランのボランティアガイド「案内人」が、ツアーに同行し物語を語る。農家を含めた住民と観光客が触れ合う場づくりも忘れない。
 「まず行ってみたいと関心を持ってもらい、来ていただいたら楽しんでもらえる」ような工夫がいっぱい。そんな地域発のツアーにこだわり、旅行業の資格も取得した。
 損害保険などの会社経営から転身、街を活性化する第三セクター「おおず街なか再生館」の発足時からかかわってきた。
 周辺自治体の若手職員らを対象に、「地域プロデューサー育成」に乗り出して2年目。「組織に縛られている面もあるが、やる気を大事にしたい」と、やさしく見守る。
 幕末の土佐藩士坂本竜馬が峠を越え当時の大洲藩を通過した「脱藩の道」紹介ツアーを、4月から開始する。埋もれた歴史をどのように演出するかが楽しみだ。55歳。