第9部 人集うまちに
まとめ 休日分散
「日本の観光を抜本的に変えるため、ぜひ休日の分散化を」。昨年末、鳩山政権の成長戦略を策定していた政府の国家戦略室。意見を求められた観光業「星野リゾート」(長野県軽井沢町)の星野佳路(ほしの・よしはる)社長(49)は、持論を菅直人副総理(63)らにぶつけた。
全国を8程度に分け、大型連休を1週間ずつ順番に取る―。星野氏の案は日本ではなじみがないが、欧州の一部で導入済みだ。旅館や観光施設の再建に取り組む星野氏には、地方の疲弊を止めるために、暮らし方を変えるほどの大胆な戦略が必要との危機感があった。
▽産業政策に意義
年末年始や夏休み、日曜など年間の休日は約100日ある。一方、平日の観光地は「閑散として赤字状態」(星野社長)。休日を分散化して需要が平準化すれば、利用者にとっては交通渋滞が減り、繁忙期に上がる宿泊料金の値下がりも期待できるメリットがある。
何より産業政策としての意義が大きい。観光庁によると、2008年度の国内旅行費用は23兆6千億円。波及効果を含めると総額51兆円に上り、自動車産業の市場規模に匹敵する。しかも、地域経済への寄与度が高い観光は地方の柱だ。低成長時代に大きく育てるには思い切った手が必要だ。
休日分散化がライフスタイルを変え、余暇の新たな過ごし方を生み、新ビジネスが始まる可能性もある。藤本祐司(ふじもと・ゆうじ)国土交通省政務官(53)は「財政出動なしで効果の出る貴重な施策」といい、観光庁に作業部会を設け具体案の検討に入った。
▽官公庁が率先を
ただ、実現までに課題が多いことは事実だ。地域ごとに休みが違えば、製造業では各地の工場からの部品調達にずれが出て、生産効率が低下するとの懸念がある。住んでいる地域と勤め先とで休みが違えば、親が学校に通う子どもに合わせて休みが取れないと不満が出ることも予想される。
星野社長は「海外から部品を調達するなど、生産計画で対応はできる」と反論する。日本生産性本部の柿岡明(かきおか・あきら)主任研究員(47)も「労働基準法の計画年休制度を使えば、あらかじめ休みの時期を決められ、家族の都合にも合わせられる」といい、工夫次第で方法はあるという。官公庁や公立学校が率先して始めれば、導入の機運も高まる。
人口減少が本格化し国内市場の縮小は避けられない。外国人客の誘致も重要だが、国内市場をてこ入れする戦略が求められている。地域が独自に進める取り組みには限界がある。内需主導を掲げる鳩山政権のビジョンが試されている。(共同通信社、文・片山寿郎)
各国の休日分散化 ドイツやフランス、フィンランドなど欧州の一部の国で導入されている。ドイツでは、日本の夏休みにあたる学校の長期休暇を州ごとに分散。フランスも国内を三つに分け学校の休暇を分散させており、低所得者のバカンスを支援する基金もある。
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第13回 7月下旬予定

