47NEWS >  地域ニュース >  地域再生 >  第8部 農を開く  > 【04】まとめ 知恵活用と連携

地域再生 毎月更新

第8部 農を開く

農業就業人口と総産出額の推移
【04】

まとめ 知恵活用と連携

 農業への逆風をはね返し、各地で特産品を育て販路を開く奮闘が続く。共通項は、地域の知恵の活用と業種を超えた連携だ。持ち味を生かした取り組みを育て「点」を「面」に広げれば底上げにつながる。鳩山政権が目指すべきは、地域が競い合える環境づくりだ。
 
 ▽巨費投入に疑問
 
 「農林水産行政を新しい段階に導く歴史的意義を持つ」。昨年暮れ、赤松広隆(あかまつ・ひろたか)農相は来年度予算案に満足げだった。目玉は、生産費の赤字を補てんするコメの所得補償制度。経営が安定すれば食料自給率アップにつながり、農家が努力した分は所得が増えるとする。
 ただ、対象を限定せず全国一律で巨費を投入する施策に、どれほどの効果があるか疑問との声は多い。元農水省幹部の山下一仁(やました・かずひと)・経済産業研究所上席研究員は「農家票が欲しいだけの政治主導。食糧管理制度時代へ先祖返りだ」と指摘。生産コストの高い小さな兼業農家が温存され、大規模化も停滞するとみる。
 月刊誌「農業経営者」の浅川芳裕(あさかわ・よしひろ)副編集長も「赤字経営を認めれば競争原理が働かない」と批判し、黒字経営か、黒字化計画を提出した赤字農家に限った新たな補助金を提案する。経営規模や作物、販売先は問わずに融資し、5年で黒字化すれば返済は免除する仕組み。創意工夫と経営努力を促す狙いだ。
 
 ▽農業は多彩
 
 「地産外商」が注目を集めている。産地で消費する「地産地消」ではなく、大都市や海外を販売先に絞り、産地自ら売り込む戦略だ。昨年夏、地産外商公社を設立した高知県の担当者は「県内は人口減少でじり貧。外に打って出ないと地方に将来はない」と言い切る。
 国は2005年の食料・農業・農村基本計画で「地産地消」推進を掲げ、直売所整備を加速した。しかし、一部地域では客が集まらず苦戦中だ。優秀なアイデアでも、すべての地域に有効とは限らない。高知県が取った戦略転換は、実情に照らすことで新たな道が開けることを示している。
 大都市での農産物直売や商品開発・販路拡大支援事業は「民間でやればいい」とされ、国の来年度予算案から消えた。しかし、販路確保が簡単でない地方の脆弱(ぜいじゃく)な農家もある。画一的メニューを押しつけながら、一斉に引っ込めてしまうやり方では自立は進まない。
 大規模化し大市場へ、少量でも他品種を特定の消費者へ―農業の顔は多彩だ。一律の所得補償ばかりに傾注するのではなく、頑張る地域や農家がそれぞれに腕が振るえる仕組みが必要だ。(共同通信社、文・岡部智也)

twitterにこのエントリを登録
一口メモ
農家の現状

農家の現状 農業就業人口は1960年には1454万人を数えたが、2009年は約8割少ない290万人に減った。一方、農業総産出額は84年の11兆7171億円をピークに右肩下がりで、07年は8兆2585億円に落ち込んだ。



地域再生
NPO,研究者,行政担当者等の意見

地域再生列島ネットから

47TOPICSから
ニュース特集