47NEWS >  地域ニュース >  地域再生 >  第8部 農を開く  > 【02】静岡 「アメーラ」

地域再生 毎月更新

第8部 農を開く

高糖度トマト「アメーラ」の品質を確かめる高橋章夫社長(右)と稲吉正博専務=静岡県焼津市
【02】

静岡 「アメーラ」

 評価が急上昇しているトマトの注目株がある。その名も「アメーラ」。イタリア語のようだが、れっきとした静岡県生まれ。「甘いでしょ」という方言にちなみ名付けられた。徹底した品質管理による甘さと、年中収穫できる体制を整えたことが人気の秘訣(ひけつ)。通常のトマトと比べ、4~5倍の高値で取引されている。
 
 ▽実に栄養分を凝縮
 
 「最初に酸味、後から甘味が増すでしょう」。静岡県焼津市の大井川農園のハウスで、赤みを帯びたトマトを手に高橋章夫(たかはし・ふみお)さん(70)は白い歯を見せた。アメーラ生産者でつくる「株式会社サンファーマーズ」(静岡市)の社長を務め、育成に取り組んできた。
 ミカン農家だった高橋さんは、価格低迷に悩みミツバなどの葉物類に切り替えた。それでもコスト競争への不安はつきまとう。「付加価値の高い農産物を作りたい」。たどり着いたのがアメーラだった。
 静岡県農林技術研究所は1993年、高糖度トマトの栽培技術の研究を開始。その中で生まれたアメーラは与える水を極限まで減らし、60~80グラムと通常のトマトの約3分の1と小ぶりだが、甘みと栄養分を凝縮させたのが特色だ。高橋さんら3軒の農家は97年、共同販売組織を立ち上げ、出荷を始めた。
 軌道に乗せるには消費者の信頼が大前提。出荷時に厳しい糖度基準を設けた。コクや甘みと酸味のバランスの良さが知られ、県内外の量販店や外食チェーンへ販路が拡大。気が付くと注文に生産が追いつかなくなった。
 
 ▽目標は10億円
 
 課題はもう一つあった。温暖な静岡県は夏から秋にトマトの生産量が極端に減り、安定出荷ができない。このため冷涼な気候の長野県軽井沢町に着目。2005年に試験栽培を開始。09年には人工光を使った育苗システムなどを備えた大型ハウスを建設、年間通して出荷できる体制が整った。
 高糖度のミニトマト「ルビンズ」の生産も本格化。サンファーマーズには静岡、長野両県から10軒の農家が参加、栽培面積はアメーラが11ヘクタール、ルビンズも1・7ヘクタールに拡大。09年度の販売額は7億円と、3年前の1・5倍以上になる見通しだ。
 社員は39人に増え、うち20代~30代の若手が25人を占める。「農業はもうかるとアピールできれば、後継者は必ず現れる」と、高橋さんは話す。100人余りのパート従業員も抱え、地域を支える産業に育ちつつある。
 次の目標は販売額10億円だ。稲吉正博(いなよし・まさひろ)専務(56)は「海外でも高級食材として取り上げてもらいたい」と話し、目を外にも向ける。「目指すは世界一のトマト産地」と力を込めた。(静岡新聞社、文と写真・森田憲吾)

twitterにこのエントリを登録
一口メモ
企業の農業参入

企業の農業参入 農地取得が可能な農業生産法人に企業が出資する方法や、企業が農地をリース方式で借り入れて農産物を生産する方法などがある。昨年12月に改正農地法が施行され、出資上限や借用期間などが緩和された。



地域再生
NPO,研究者,行政担当者等の意見

地域再生列島ネットから

47TOPICSから
ニュース特集