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第7部 足を守る

公共交通機関への満足度
【04】

まとめ 移動の権利

 「公共交通に頼らざるを得ない地域はどんどん増えていく。社会の足を守るには基本権の形で、しっかり位置付けることが大事だ」。昨年11月、国土交通省で開かれた交通基本法検討会の初会合。前原誠司(まえはら・せいじ)国交相(47)は、地域の交通網に取り組む考えを示した。
 鳩山政権が2011年の国会提出を目指す同基本法は、基本理念に国民の「移動の権利」の保障を掲げる方針。過疎地で公共交通機関への不満は7割を超えており、条件の悪い地域でも輸送サービス確保に努力する条文を盛り込みたいとする。
 取りまとめ役の辻元清美(つじもと・きよみ)副大臣(49)は「高速道路や空港など大型公共工事重視の従来路線からギアチェンジした『交通憲法』に」と説明。集落と集落をつなぐ「毛細血管」に力を入れる政策へ踏み出す構えを示す。
 
 ▽地域では限界
 
 国交省によると、07年度で民間バス会社228社の約7割が、地方鉄道も約8割が赤字。公営バスも28社のうち黒字はわずか3社。新幹線や高速道路の誘致競争の影で、地域を支える交通網の衰退は加速している。
 辻元氏は「基本法を制定すれば、自治体に地域交通を守る条例が広がるはず。地域に合った交通政策を計画してほしい」と指摘。基本法を呼び水として自治体が独自の条例を制定、工夫をこらして交通網の維持を進める構図を描く。
 しかし、問題は誰がやるのかだ。住民や自治体、バス会社が協力し運行する動きもある。デマンドタクシーのような新たな交通手段を投入した地域もある。しかし、採算が合わないと企業が撤退した地域で公共交通を維持するには、一定程度の赤字を覚悟せざるを得ない。その地域だけで支えることに限界はある。
 
 ▽危機感共有を
 
 地域交通問題に詳しい加藤博和(かとう・ひろかず)・名古屋大准教授(39)は、鳩山政権が目指す交通基本法を「理念先行で、地域が動くか疑問」と話す。「公共交通の再生には、積極的に取り組む自治体を国が優先的に財政支援するなど、現実的な対応が必要だ」とし、地方が動ける具体的なメニューを早く示すべきだと主張する。
 フランスは1982年、交通基本法を公布し、一足先に「移動の権利」を制定した。地方自治体には、交通基盤整備の自主財源として「交通税」の導入を認めるなど、社会全体で交通網を守る姿勢を打ち出した。
 「足」を失えば、集落が消え文化や伝統も失う。地域だけでなく社会全体の損失とし危機感を共有すれば、交通網維持は新たな意義を持つ。発想を転換し幹線交通にかけた巨費や技術を地域に振り向け、支え合う戦略へ踏み出す時だ。(共同通信社、文・片山寿郎)

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一口メモ
公共交通への補助金

公共交通への補助金 国土交通省が路線維持や経営安定化などの目的で2008年度に支出した補助金はバスが80億円、鉄道が29億円、離島航路は70億円。政府の行政刷新会議は昨年11月の事業仕分けで、こうした補助金の一部を不要、または削減の対象とした。



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