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第7部 足を守る

富山駅北電停付近を走る富山ライトレール。右は特別デザインの「グリーントラム」=富山市
【02】

富山 攻めの投資

 白と緑を基調にした車両が滑るように入ってきた。富山市内を走る路面電車「富山ライトレール」の富山駅北電停。節水やエコバッグ利用を呼び掛けるイラストで彩られた特別デザインの「グリーントラム」だ。大勢の乗客を降ろすと、反対方向へ走りだした。
 
 ▽利便向上を徹底
 
 排ガスを出さないライトレールは、国の「環境モデル都市」に選ばれた富山市の象徴。市は二酸化炭素を年間436トン削減できるとPRし、国の内外から視察団が訪れる「富山の顔」だ。
 しかし、かつては赤字に悩むJRのローカル線だった。利用者減で運行本数を間引き不便となり、さらに乗客が減る―悪循環。くさびを打ったのが路面電車化だ。2006年、引き継ぎ開業した第三セクターは打って出た。総事業費は市と国、県で計58億円。新線を1・1キロ敷き既存の路面電車と連結、新電停も5カ所設置。路面電車の新線は41年ぶりだった。運行間隔もJR時代の30~60分を日中は15分、ラッシュ時は10分に設定。運賃は一律200円と、徹底的に利便向上を図った。
 狙いは当たった。JR時代に1日平均2千人台だった平日の乗客が開業後は4千人台に。休日は千人台が3千人台に跳ね上がった。09年度は微減見通しだが、富山ライトレールの高嶋善秀(たかしま・よしひで)経営企画部長(47)は「新型インフルエンザ流行による学校休校など逆風下では健闘している」と話す。
 同市郊外の電停近くに住む梅沢厚子(うめざわ・あつこ)さん(57)は自宅と市内の喫茶店でパッチワーク教室を開く。どちらも電停から歩いて数分。「通ってくれる方の多くが年配。65歳以上は半額で乗れるのが好評」と笑う。自身も週に2、3度、ライトレールで市中心部に材料を買いに出掛ける。「時刻表を見ずに駅に行っても待っていられる」と満足げだ。
 
 ▽新たな路線も
 
 決算も快調だ。鉄道会社の負担軽減のため、施設の維持・更新は市が負担する「公設民営」方式だが、開業後10年程度は赤字覚悟だった。ところが、乗客増でスタートから3年連続黒字。良い意味で予測を裏切った。
 市の投資は続く。09年末には、ライトレールとJR富山駅を挟んで反対側の中心市街地を走る既存の路面電車に、30億円かけ0・9キロの軌道を加え、3・4キロの環状線とした。日中は電車を10分間隔で走らせる。
 環状線は18年度ごろ、ライトレールとつながる計画だ。梅沢さんは「中心部まで乗り換えずに行ける」と期待する。交通網の価値を引き上げ、さらに乗客を引きつける。攻めの戦略で生まれた好循環をパワーに快走は続く。(北日本新聞社、写真と文・片桐秀夫)

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一口メモ
次世代型路面電車(LRT)

次世代型路面電車(LRT) Light Rail Transitの略で、新交通システムの一つ。「富山ライトレール」が2006年4月、全国初の本格的LRTとして開業。低床で乗りやすく低騒音などが特色で、国土交通省によると鹿児島市や岡山市、松山市などの路面電車にも導入が広がりつつある。



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