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地域再生
NPO,研究者,行政担当者等の意見

地域再生列島ネットから

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地域再生列島ネットから

 地方が抱える問題を話し合うため、全国の地方新聞社と共同通信社が識者らとつくった。街づくりなどに取り組むNPOの代表者や研究者、行政担当者ら多様な専門を持つ47人で構成する。毎月、テーマを決めてメールで意見交換を進め、インターネット上の「シンクタンク」を目指す。

「地方で子どもを増やすためには」 新住民ひきつける工夫を

 少子化が地域社会に影を落としている。全国の地方新聞社と共同通信が識者らとつくる「地域再生列島ネット」は、第6回意見交換のテーマに「地方で子どもを増やすために」を選んだ。教育や交流拠点の重要さで一致する一方、即効薬はないとの声も。新住民をひきつけるための地域の魅力づくりなど、地道な取り組みが求められている。
 
▽進学へ支援体制

 厚生労働省によると、2008年の合計特殊出生率は1・37。前年から0・03上昇したが、人口維持に必要とされる2以上には遠い。都道府県別では東京が1・09で最低だが、北海道や青森、宮城なども全国平均以下。地方では過疎化が進む地域が多いだけに、出生率低下は都市部以上に大きな影響を与えかねない。
 地方での子育ての課題にまず挙がったのは教育だ。学習塾などが少なく進学面で不利だとし「未就学時から大学受験まで地方で担えるよう公的支援を」(東朋治(あずま・ともはる)神戸ながたTMO総括マネジャー)と、地域挙げて取り組むべきだとの声が出た。
 熊紀三夫(くま・きみお)・高松丸亀町商店街振興組合専務理事(香川)は、自治体が図書館など教育関係施設を集める工夫をと提言。子どもへの投資は「ハード整備に頼ったまちづくりから脱却できる」とし、新たな地域おこしにもなるとした。
 
▽働く場の環境も

 熊倉浩靖(くまくら・ひろやす)・群馬県立女子大准教授は、子育て世代が住むには雇用が重要だと指摘。山崎美代造(やまざき・みよぞう)・前とちぎインベストメントパートナーズ社長も、地方の重要産業である農業の振興が効果的といい、企業や新規参入者に積極的な支援を求めた。
 同時に働く場の環境整備も必要だ。第1子出産時の妻と仕事の関係をまとめた国立社会保障・人口問題研究所の調査では、退職を選んだ人が1985~89年で35・7%、2000~04年は41・3%と上昇、子育てと仕事の両立の難しさを示す。高橋泰子(たかはし・やすこ)・緑と水の連絡会議理事長(島根)は、経営する福祉施設で保育室を設け子育て支援に取り組んでいるといい、企業の意識改革を訴えた。
 野口比呂美(のぐち・ひろみ)・やまがた育児サークルランド代表は、親子と地域の人々の交流の場を提言。吉成信夫(よしなり・のぶお)・県立児童館いわて子どもの森館長も窓口となるセンターを地域に増やすことを求めており、子育て支援体制も課題だ。
 
▽地方に厳しさも

 藤波匠(ふじなみ・たくみ)・日本総合研究所主任研究員の調査では、大都市への人口移動が加速しており、九州の中核である福岡県でも、1997年は九州全域からの流入が東京圏への流出を上回ったが、2008年は逆転。低成長が続けば、東京圏からも若い世代が海外流出する懸念もあり、地方は一層追い込まれかねないという。
 沢井安勇(さわい・やすお)・日本防炎協会理事長は、地域が子育て世代をひきつける魅力を高めるほかないと指摘。「多様性と開放性が重要」とし、さまざまな知恵を集めることが少子化に挑む第一歩となる。

 ◎地宝人
 「地域再生列島ネット」に参加した多彩な人たちを「地・宝・人(ち・ほう・じん)」と名づけた。その活動と横顔を順次、紹介する。

 中山間地の活性化に取り組む小山良太・福島大准教授

学生らと話し合う小山良太准教授(左から2人目)=福島市の福島大

 「これだという売り物がない地域はたくさんある。そこを、どう工夫するかがテーマ」。快活な口調で語る。2005年に福島大に着任して以来、県内各地を歩いてきた。中でも、条件的に不利とされる中山間地の振興策づくりに力を入れる。
 担当するゼミの学生らと福島県南会津町の山あいの地区を調査。地域の魅力を知ってもらおうと、野菜や郷土料理を福島市で販売する試みも行った。誰もが知る名物はなくても、多彩な野菜があるなど「少量でも素材を幅広くそろえられれば、強みになる」という。
 活動を通じて農業改革の必要性を痛感する。ドイツやフランスでは、ブドウ農家がワインをつくり民宿もやることで、小規模でも経営が成立していると指摘。日本の農業も規模拡大が難しいだけに、多品種の作物生産や食品加工、観光業などを手掛ける「多就業」が生き残りの鍵とみる。
 ことし7月には、教授らが出資し、ゼミの学生が社長となった地域おこしの会社を設立。農村のグループと協力、余剰米を原料にしたシフォンケーキを製造、販売を始めた。近く工場が稼働し事業が本格化する計画だ。
 大学発の企業が軌道に乗るかは未知数だが「形になるまでやりたい」と意気込む。多くの地域から知恵を求められ、忙しい日々が続く。東京生まれだが、福島でじっくり取り組む考えだ。35歳。

 「草原は地域の財産」と語る高橋泰子・NPO法人緑と水の連絡会議理事長

三瓶山を起点に、夫と「二人三脚」で全国の草原再生に取り組む高橋泰子さん=島根県大田市

  広々とした草原にさわやかな風が吹く。人を和ませ日本の原風景でもある草原が列島で激減している。「草原は地域の財産」と島根県大田市で、国立公園地区、三瓶山(さんべさん)の草原保全の先頭に立つ。
 宮城県出身で岩手県の大学ゼミで草地の研究をした。研究仲間の夫が就職した農水省研究機関がある大田市へ。以来転勤せず住み続けて30年。「今ではすっかりここ(島根)の人」と笑う。
 山頂からふもとまで全国有数の草原だった三瓶山地区も、植林や牛の放牧の衰退で縮小が続く。1992年に草原維持に取り組む活動団体「緑と水の連絡会議」をつくった。樹木の繁茂を抑え、草の芽吹きを促すためボランティア総出の野焼きに、大型バスで観光客が訪れるようになった。
 九州の阿蘇など各地のグループと連携し全国草原再生ネットワークを創立し現在理事。会長に就任した夫と「二人三脚」で草原の保全を訴える。
 里山を侵食する竹やぶ対策にも力を入れる。「竹林は遠目では緑でも自然との共生とは言えない」と、世界遺産になった地元の石見銀山遺跡周辺の竹林を間伐、竹チップを歩道の簡易舗装に使うなど試行錯誤を続ける。
 国内外の若者が農業や自然体験をするワークキャンプ。さらには環境と福祉の共生を目指したグループホームの経営も。地域に「ここの人」の活動が欠かせない。56歳。