第6部 子育てを支える
山形 「協働」
出発点は「こうだったらいいのに」―。山形市を拠点にした特定非営利活動法人(NPO法人)「やまがた育児サークルランド」は、子育て中に生まれる要望を母親自らの手で解決しようと活動を広げている。子育て支援者の育成や親子で集う場を提供。育った人材が山形県内各地で活動を展開しており、子育て支援体制の充実に果たしてきた役割は大きい。
▽広がる活動
理念は明確だ。「子どもの力を借りて地域づくりをしている」と野口比呂美(のぐち・ひろみ)代表(48)は説明する。「子育て支援は行政や保育園、幼稚園、学校に任せるものではない」とし「住民が主体でないと、困った時に支え合う地域にならない。子育てしやすい地域は誰もが住みよい地域」といい、より良いコミュニティーを目指す思いがにじむ。
同法人は1998年、育児サークルのネットワークをつくろうと、県内の育児サークルのリーダーらが結成、25団体が登録する。情報交換や協力が広がるにつれて、いろいろな「こうだったらいいのに」が見えてきた。
「地元の育児情報をまとめて見られたらいいのに」。そんな声を受けて98年12月、育児情報紙の隔月発行がスタート。「子どもを預けられたらコンサートに参加できるのに」との思いに99年4月、イベントに合わせて臨時託児所を始めた。託児所付き再就職講座やメーク教室などのリフレッシュ講座、発達・育児の相談事業―活動は次々と多彩になっていった。
▽バランス感覚
軌道に乗った背景には「協働」の精神がある。「自分たちができることは自分たちで」を前提としながら、行政や他の市民の力も借りて山形らしい子育て支援ネットワークをつくる。「私」と「公」の絶妙なバランス感覚が成功に導いた。
山形市の中心商店街にある商業ビルで、親子広場や幼児の一時預かりを行う「子育てランドあ~べ」は、整備などの費用を山形市が負担してオープンし、2002年6月の開館から、ことし11月末までで親子約30万人が利用している。子育て支援者の育成も、各地域に子どもの一時預かりができる人材を育てたいと、国や県の委託を受ける形にして養成講座を開いてきた。01年からことし11月末までに受講生は850人を超えており、子育て家庭を支えている。
「自分の子育ての時には、近所の人や仲間に助けてもらった。それを次の世代につないでいくのがわたしたちの役割。助け合いの心が残る山形だからこそ、それができる」。野口代表は手応えを話す。母たちの力は子どもたちと一緒に地域も育てている。(山形新聞社、文・坂本由美子、写真・板垣耕一)
山形県の子育て政策 県は2009年4月、知事直轄の特命組織として少子化対策に取り組む「子ども政策室」を新設した。出会いの場の創出を支援する「婚活コーディネーター」の配置や、子育て支援を県民運動に盛り上げる「子育て応援団」などを展開。09年度中に「県子育て基本条例」を制定する予定。
- 第12部 刺激を手掛かりに
- 【01】秋田市 「地域活性化の源泉」【秋田魁新報】
- 【02】金沢市 「先人の志を継承」【北國新聞】
- 【03】別府市 「温泉街に貢献」【大分合同新聞】
- 【04】まとめ 「留学生定着へ支援を」【共同通信】
- 第11部 医療を支える
- 【01】遠野市 「遠隔医療」【岩手日報】
- 【02】小鹿野町 「在宅ケア」【埼玉新聞】
- 【03】多治見市 「新型ドクターカー」【岐阜新聞】
- 【04】まとめ 「再建は急務」【共同通信】
- 第10部 財政の挑戦
- 【01】上越市 「地域活動資金」【新潟日報】
- 【02】安芸太田町 「ケチケチ作戦」【中国新聞】
- 【03】宮崎市 「地コミ税」【宮崎日日新聞】
- 【04】まとめ 自前の「財布」【共同通信】
- 第9部 人集うまちに
- 【01】坂井市 「地産地消」【福井新聞】
- 【02】高松市 「黒船来航」【四国新聞】
- 【03】対馬市 「韓国と交流」【長崎新聞】
- 【04】まとめ 「休日分散」【共同通信】
- 第8部 農を開く
- 【01】福島 「輸出に活路」【福島民友新聞】
- 【02】静岡 「アメーラ」【静岡新聞】
- 【03】熊本 「米粉メロンパン」【熊本日日新聞】
- 【04】まとめ 「知恵活用と連携」【共同通信】
- 第7部 足を守る
- 【01】鰺ケ沢町 「全住民参加」【東奥日報】
- 【02】富山 「攻めの投資」【北日本新聞】
- 【03】四国中央市 「デマンドタク」【愛媛新聞】
- 【04】まとめ 「移動の権利」【共同通信】
- 第6部 子育てを支える
- 【01】東通村 「公営塾」【デーリー東北新聞】
- 【02】山形 「協働」【山形新聞】
- 【03】群馬 挑戦【上毛新聞】
- 【04】まとめ 空回り【共同通信】
- 第5部 新たなしるべ
- 【01】室蘭 ボルト人形「ボルタ」【室蘭民報】
- 【02】美作 「温泉街に女子サッカー」【山陽新聞】
- 【03】鳥取 「芝生化効果」【新日本海新聞】
- 【04】まとめ 「メセナが再び」【共同通信】
- 第4部 地方議会動く
- 【01】蔵王 「会期は通年」【河北新報】
- 【02】山梨学院大 「町議会と協定」【山梨日日新聞】
- 【03】鳴門 「市議の大量逮捕」【徳島新聞】
- 【04】まとめ 「八百長と学芸会」【共同通信】
- 第3部 「環境とともに」
- 【01】喜多方 「5ミクロンの微生物」【福島民報】
- 【02】神戸 「大手の下請け返上」【神戸新聞】
- 【03】有田 「究極のラーメン鉢」【佐賀新聞】
- 【04】まとめ 「開発秘話」【共同通信】
- 第2部 新たな力
- 【01】白馬 「外国人経営」【信濃毎日新聞】
- 【02】祇園 「クギ1本」【京都新聞】
- 【03】石見銀山 「空き家を社員寮」【山陰中央新報】
- 【04】まとめ 「リーダー育成」【共同通信】
- 第1部 新時代の手掛かりを
- 【01】夕張 「移住体験」【北海道新聞】
- 【02】鬼怒川 「中国へ売り込み」【下野新聞】
- 【03】四万十 「農家108人株式会社」【高知新聞】
- 【04】まとめ 「コミュニティ」【共同通信】
- 番外編「スコットランドの分権10年」
- 【01】「住民の目線で法案」【共同通信】
- 【02】「削減目標、世界一」【共同通信】
- 【03】「紡績工場が世界遺産」【共同通信】
- 【04】「失業者のいない村」【共同通信】
- 番外編 「地域再生列島ネットから」発足1周年記念シンポ
- 【01】報道を活用、売り込み展開 メンバー活動報告(1)【共同通信】
- 【02】学生を引き込み全国発信 メンバー活動報告(2)【共同通信】
- 【03】地域が自発的に行動を メンバー活動報告(3)【共同通信】
- 【04】きずなづくりに着眼 メンバー活動報告(4)【共同通信】
- 【05】熱意と人材育成が活力に 総務相交え、パネル討論【共同通信】
地域再生列島ネットから
- 12.『国際交流、インフラも課題』
【意見のまとめ】地域の良さ見直す機会に - 11.『地域への誇りが魅力に』
【意見のまとめ】高齢者の健康を地域で支えるには - 10.『自治体、財政情報公開を』
【意見のまとめ】財政に住民の声反映させるには - 9.『地域への誇りが魅力に』
【意見のまとめ】観光で人をひきつけるには - 8.『農業を再建するには?』
【意見のまとめ】安全性や連携が重要 - 7.【意見のまとめ】公共交通をどう守るか
- 6.『地方で子どもを増やすためには?』
【意見のまとめ】新住民ひきつける工夫を - 5.『文化を地域ビジネスにつなげるには?』
【意見のまとめ】資源を発見し情報発信を - 4.『期待される地方議員像は?』
【意見のまとめ】少数精鋭で首長と論戦を - 3.『(1)地域で活用できる経済的資源は?(2)新政権への期待は?』
【意見のまとめ】 情報発信、発想が自立の鍵 - 2.『地方自治体の新たな担い手は?』
【意見のまとめ】NPO、地域の顔に期待 - 1.『自治体の首長になったら?』
【意見のまとめ】鍵は愛着教育と特色づくり
第13回 7月下旬予定

