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第6部 子育てを支える

中学校の校舎を利用した公営塾で真剣に勉強する生徒たち=青森県東通村
【01】

東通村 「公営塾」

 11月4日、青森県東通村(ひがしどおりむら)。とっぷりと日が暮れた午後5時半すぎ、中学校の校舎に、1~3年の生徒たちが続々と集まってきた。3クラスに分かれて講習の始まりだ。
 勉強を教えるのは学習塾の講師だ。静まり返った夜の教室に、生徒が問題集に答えを書き込む音が響く。村内唯一の学習塾。それも、講師の派遣費用を村が負担する「公営塾」
の風景だ。
 
▽特異な歴史

 本州の北端・下北半島の太平洋側に位置する人口約7500人の漁村は、村を挙げて教育環境改革に取り組んでいる。「地域発展の原点は、やはり人づくり。村の将来を見据えると、人材の育成が欠かせない」。越善靖夫(えちぜん・やすお)村長(67)は話す。
 1889年に村制を施行した東通村は、特異な歴史を持つ。南北に長い地形や交通網の事情から、長年にわたり役場を隣接するむつ市に置いた。村職員の多くも、むつ市に住み、村内には中心市街地が形成されず、人口流出の要因となった。
 役場を村内に移転したのは1988年。原子力発電所の誘致がきっかけだった。潤沢な原発マネーを活用し、庁舎周辺に体育館や診療所、宅地などを整備。村制施行から100年以上を経て、中心地が出来上がった。
 ようやく実現した自治体本来の「かたち」を人口減や高齢社会の中で、どう維持していくのか。村の出した答えが教育環境の一大改革だった。
 
▽「村が責任」

 2005年3月、村独自の大胆な政策を盛った総合教育プランを策定。08年度に中学校を、09年度には小学校をそれぞれ1校に統合し、小中一貫教育をスタートさせた。
 「統合に不安を持っていた親や子どももいたようだが、いい意味での競争心が芽生え、生き生きとしている」。村教育委員会教育政策室の川畑恵子(かわばた・けいこ)室長(51)は強調する。
 個人に応じた指導を徹底するため、25人の少人数学級を導入。村費で負担した教員、講師を18人採用(09年度現在)するなど手厚い態勢を敷く。05年秋に開講した公営塾は、交通事情や経済的理由で塾に通えない子どもたちに、学ぶ機会を均等に与えるのが狙いだ。
 「村の子どもは村が責任をもって育てます」。村教委のパンフレットに掲げた標語。教育力アップで地域発展を目指す村の覚悟が伝わってくる。
 越善村長は言う。「若い世代の流出を防ぐのは難しい。でも、東通村出身者は優秀だとなれば、将来的に企業進出もあるかもしれない。息の長い取り組みです」。(デーリー東北新聞社、文と写真・木村和彦)

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一口メモ
原発マネー

原発マネー 原子力施設が立地する自治体は、運転円滑化などに役立てるためとした発電用施設周辺地域整備法など電源3法による交付金や、固定資産税などで巨額の歳入が見込める。東通村は4基の建設計画があり、1基が稼働中。村は2001~08年度、統合小・中学校建設など教育費に約174億円を充てた。



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