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第5部 新たなしるべ

国と地方自治体の文化予算の推移
【04】

まとめ 「メセナが再び」

 企業メセナ協議会がことし3月、まとめた政策提言が注目を集めた。今の経済危機・社会不安は「架空に近い経済投資競争」が原因と指摘。規模拡大で経済再建を図るのは「戦略なき愚策の反復」と批判、最優先で必要な対応は「文化中心の地域創造」と言い切った。
 総選挙が近づいた6月には、各政党に文化政策について質問状を送った。しかし、資生堂名誉会長でもある福原義春(ふくはら・よしはる)会長(78)は「回答は期待したレベルではなかった」と落胆。「景気対策第一で文化政策が後回しになれば会社や個人の文化活動がそがれる」と話す。
 
▽背景に社会変化

 同協議会は1990年に設立、約140社が参加する。美術展やコンサートへの支援はイメージ向上に役立つ。当初はバブル景気による余裕が、企業に「パトロン」としての振る舞いを可能にした。しかし、景気が悪化すると「メセナ」も、急速に色あせていった。
 再び表舞台に登場した背景には、社会の大きな変化がある。人口減少で国内市場が縮小に転じ規模を求める経営は限界を迎えた。質を高め長続きする仕組みづくりに重点が移り、地域との共存や環境に配慮する「メセナ」の理念は、企業が新たな可能性を探る戦略の柱として浮上してきた。
 一方、財政難で国の文化予算は年1千億円で横ばいが続く。文化庁によれば地方公共団体の文化関係費も、1993年度の9553億円をピークに2007年度は3328億円に減少。企業には新たな「公」としての役割も求められている。
 しかし、制度は未整備だ。特定非営利活動法人(NPO法人)の多くは資金不足に悩む。認定NPO法人になれば所得控除など税制優遇がある寄付対象となるが、国税庁の審査が厳しく01年の施行以降、認定は107件(10月1日現在)と、約3万8千あるNPO法人の0・28%。しかも半分は東京で24県はゼロ。企業メセナ協議会によれば、文化芸術への民間寄付が年1兆円を超えるという米国との差は大きい。
 
 ▽地域を開く力
 
 中川正春(なかがわ・まさはる)文部科学副大臣(59)は「民間のお金を生かせる税制の枠組みを検討したい」と、見直しの構えは示す。しかし、景気対策や公共事業見直しの動きにかき消され「文化」に絡む有力な施策は見えてこない。
 経済危機は地域スポーツも直撃した。企業が撤退しチームや選手が活動の危機に陥った例もある。しかし、住民が立ち上がり地域挙げて支援も始まった。住む地への愛着をかき立てる力が文化やスポーツにある。新たな支え合いを築くことは、コミュニティーづくりとつながっている。(共同通信社、文・片山寿郎)

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一口メモ
文化関係の税制 

文化関係の税制 文化・芸術関係の特定公益増進法人や、認定NPO法人に寄付をした場合、寄付金の一部を個人は所得控除でき、企業は損金に算入できる。文化庁によると、国立科学博物館など国が指定した特定公益増進法人への2008年度の寄付額は個人が約16億円、法人が約61億円。



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