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地域再生列島ネットから

 地方が抱える問題を話し合うため、全国の地方新聞社と共同通信社が識者らとつくった。街づくりなどに取り組むNPOの代表者や研究者、行政担当者ら多様な専門を持つ47人で構成する。毎月、テーマを決めてメールで意見交換を進め、インターネット上の「シンクタンク」を目指す。


 【テーマ】期待される地方議員像は?

伊豆哲也・TMO佐賀タウンマネジャー

 本質的に住民のレベルがそのまま議会のレベルに反映されると思うので、民意が高まらなければ到底改革などできない。そういう意味から、中長期的な話になってしまうが、子どもの頃からの良き市民としての教育カリキュラムがもっと組み込まれるべきだと思う。

 さて,地方議会を傍聴していると、地域全体にとって何を優先すべきかという点はそっちのけにして、エリアエゴをむき出しにするシーンを見かけることがある。そして全体として議案に対して認識不足、勉強不足だと感じることがしばしばある。やはり地方議会の活性化には、ちゃんとした見識を持つ議員が選出されるべきであって、その為には議員定数を削減し、執行部との馴れ合いを防ぐ意味でも、政策秘書等の独自スタッフを抱えられる体制に切り替える必要性がある。そして、議会報告会の義務化は当然だが、その際に、予め用意された評価票により自己評価を加えて報告するというのはどうだろうか。 

熊倉浩靖・群馬県立女子大准教授

 自治基本条例に議会を位置付け、条例策定段階から市民、議会、執行部が対等な形で議論しているケースが増えている。望ましいことだが、条例運用で議会活動が改革されたかはよく分からないというのが実情のようだ。

 その一つの原因は、市民、議会、執行部が議論する際に、誰もがそこから出発できる客観的な指標を共有できている場合が少ないからである。議論の前提として、行政事務や行政課題に関して全国共通の物差しを共有することが必要ではないか。とくに基礎自治体における行政評価には、評価という言葉が醸し出す価値づけの前に、行政事務を測定して共通認識とする役割があることを意識したい。

   手前味噌だが、全国百ほどの市町村の参加を得て進めている都市行政評価ネットワーク会議のベンチマークはその一つである。遠回しかもしれないが、市民代表として自治体の行く末を決定する議会の改革のためにも議論の前提となる共通の土台づくりが必要と思う。

河野達郎・おおず街なか再生館専務(愛媛)

 地方議会、県議会、国会と、それぞれの意志決定機関が、今、現下の社会情勢に相応しい状況で機能しているか・・・、私は、ここに少々の疑問を感じています。

 今回のテーマは、「地方議会改革」と言うことですからこの点に絞り込みますが、当大洲市においても、つい先日、前市長の現職での死去による市長選挙と市議会議員選挙が同時に行われたところです。「八ツ場ダム」まも問題になっていますが、大洲市においても「山鳥坂(やまとさか)ダム」建設という問題を、もう20年以上も前から抱えており、建設に向けて付帯工事が開始されたところです。すり鉢の底のような地形の大洲市は、周辺から475本の支流を抱え込んで流れ込む「肱川(ひじかわ)」によって、昔から洪水に悩まされてきた経緯があり、今日もその状況は続いています。ダムの建設地域では、既に立ち退きをしたところもあります。全員が全員賛成ではありませんでしたし、根強い反対があることは事実です。しかし、上流に住んでおられる皆様方と、下流域に住んでいる我々とでは、意見が違うのは当たり前ですね。この部分をうまくクッションとなって補っていくのが「地方議会」としての「ひとつの役割」だし、先頭に立つべき首長の仕事であろうと考えます。

 ひとつの例として申し上げましたが、私が感じているのは、「ダウン方式の方向性の決め方」では、「ニーズ」しか取り込めないと言うことです。「着地型地域再生」を仰せつかって8年。ずぶの素人が市民目線で取り組ませていただいて学んだことは、「地域住民の“ウォンツ”」を大切にしなければ、大洲市を訪れていただく観光客の皆様方も「感動」はしないと言うことでした。この“ウォンツ”こそ、地方議会が首長や上位議会に届けるべきものではないでしょうか。広く一般市民の間で情報交流がブログによって進んでいる次代に、ニーズ優先の物事の進め方は合わないと考えます。

「地方議会改革」のひとつの方法として、本来機能すべきであったはずの「住民ウォンツ」という部分をもう一度考え直していくべきではないでしょうか。

   政治を「戦い」だと言っている以上、犠牲になるのは「民百姓」です。この部分をよく考えなければなりません。「着地型政治」の必要性が見え始めていると感じます。 

白戸洋・松本大教授(長野)

   ある自治体では、議員の紹介による住民要望を「議員を通さなければダメなようなレベル」と判断して優先順位を低くするという。議員を地域の「御用聞き」にして本来の仕事をさせないのは、議員を利用してきた住民や行政職員にも責任がある。一方で、住民自身の力で、行政に依存せず自立した地域づくりを進め、行政と協働で地域の課題解決を図っている地域もある。従来の自助と公助に偏重した地域課題の解決が、共助を軸とする仕組みへ転換され、議員の役割も変わってきた。住民にも行政にも独自の役割があるように、議員には全市(町村)的な中長期の将来像を提起し、その観点から行政のチェックや住民の自治を支援する役割がある。議員を特定地域の代表にせず、本来の役割に専念させるべく、定数削減や地区推薦廃止等の制度的な改革と、長野県の「元気づくり支援金」のような住民が議員に頼らずとも課題解決できる財政面も含んだ具体的な仕組みづくりが必要だ。 

阿部欣司・北海道電力地域担当部長

 北海道の夕張市(人口12千人)は多額の借金で平成19年に財政再建団体になったが、市議会はこの借金の異常さを問題としなかった。当時、報酬や期末手当として年間約9千万円が18人の市議に支払われていた。

   この夕張市と背中合わせに位置する栗山町(人口14千人)は平成18年にそれまで議会が実践してきたこと等を住民に約束・担保するとして議会基本条例を全国で初めて制定した。議会は議員日当の廃止、議員定数の削減、議会での一問一答方式の導入等改革を積み重ねると共に、住民への議会報告会、議会主催の住民が参加する一般会議を定期的に開催している。住民参加のチャンネルを行政・議会の両方が有し、行政資料をさらけ出した情報公開の下で議会での両者の真剣議論で、原案を上回る良案も出る。一方、この行政、議会、住民の努力にも拘わらず、財政状況は依然と厳しい。その中、議会対応が行政職員の負担増となっているという事実も地方分権推進(議会強化)の課題となっている。 

高橋泰子・緑と水の連絡会議理事長(島根)

   中央が変わっても地方が変わるまでにはかなりのタイムラグがある。民主党には地方が変わるまで政権維持を望みたい。「この民主党の圧勝は一時的なものである。官僚が牛耳っている政界の変容のなさに有権者がさじを投げ、元の自民党政権に戻るだろう。」とわが地方の議会と有権者は世の変革を感じ取っていない。世襲だけでなく職業選択として議員になる人も多く、田舎の義理人情の中では活動の大半が冠婚葬祭への出席となる。政策ではなく、どぶ板直しの口利き政治が横行している。また業界が地方議員を役員として抱え込み「たなぼた」を待ち、選挙毎に組織票を狙うこの構図は有権者の受動的意識から変えねばならない。具体的には議員定数の削減、議会報告会を義務化し、政策を各党ディベートできる位の力量を市民主導で育てるべきだ。一人ひとりの議員活動を透明化し、懇談会や討論会の開催により選挙以外に市民との対話の場を多く持てば、冠婚葬祭に出席する必要もなくなる。 

田村亨・室蘭工大教授(北海道)

 国会答弁に比して、地方議会の議論に興味を感じないのは、地方議会の立法案件そのものが、時代のダイナニズムから遅れているからではないか。身近な雇用対策、高齢福祉施策は議論になるが、条例を定めて地方独自のビジョンを打ち出すことは殆ど無い。財政再建の議論ばかりが先行して、企画部門の政策立案能力が試されない行政府は、立法府までもを思考停止に追い込んでいる。 

   55年間にわった道路特定財源は、「受益と負担の原則」故に使途に制約があり、このことが関係者の「道路以外の課題への積極的関わり」に対する意欲を低下させ、社会の価値観への変化に対応できなかった。権力構造にすり寄って思考を停止できた時代は終わり、財源や権限に縛られることがなく、総合的で弾力性のある制度設計ができる地方議会を望みたい。新たな公の台頭とともに、地域発展と住民生活向上という普遍的目的に、地方議会がどのように貢献するのかが問われている。 

吉井仁美・八戸市水産科学館館長(青森)

   政権交代が現実となり大変革時代の到来を感じております。変革には極言すれば意識を変えるか人を代えるかどちらかまたは両方が必要です。今回の政権交代は、国民の意識が変り、政権(人)を交代させた典型です。地方再生も大変革の波を意識しなければなりません。地方議会についてはどこでも言われているように立法能力、監視能力、責任能力を持つことが求められています。しかしそのためには地方議会に変革を求めることよりも議員を選ぶ住民がまず意識をかえることの方が重要であると思います。選挙地盤である地元への利益誘導のための議員活動が続く限り変革は起こりえません。住民も自分さえよければという意識を捨てて社会全体のためになるような行動を意識し、議員はそれを叶える高い志を持つようにならなければなりません。そのためには時間がかかっても高い道徳心を持つ子供を育てる教育と、大人社会では職場における人材育成に尽きると思います。 

東朋治・神戸ながたTMO総括マネジャー

   首長選挙への政党相乗りが必ずしも悪と思わない。地方の政策は国の政策よりも市民生活に直接大きな影響を与える。大震災からの復興施策、新型インフルエンザの水際対策と感染拡大防止策、リーマンショックに遠因する地方の中小企業、小売店の不況対策。猶予が許されない課題を迅速に解決するには、議会での速やかな審議と承認が不可欠だ。議会、首長と行政の3者は政党や会派の枠を乗り越え団結せねばならない時がある。ただしその場合、直接的に条例等制定に関わらない市民団体の厳しいチェックが必要だ。議会の監査役として、市民団体の役割は明確になり、存在感も増すのではないか。

   首長と議会選挙の同時期開催を義務付けてはいかがだろう。国会では総選挙が総理の信任にも解任にも繋がる。首長と議会多数派の対立でねじれを生み出さないように、速やかに市民生活に直結する優良な施策を講じていくことが肝要だ。 

小林敬典・鳥取県政策企画総室長

 議会改革にあたっては、議会の側には如何にすれば住民に理解が得られるか説明手法や手段の模索が、住民の側にも議場での議論に如何に強い関心を持つかが求められる。

 議会の予算審議では事業や制度の必要性が侃侃諤諤と議論され住民や報道機関に明らかにされる。一方で決算認定も議会の大切な権限の一つではあるが、住民への説明は予算審議に比べ意外と少ないように思う。住民の福祉向上に必要な予算がどう使われ寄与したのか、例えば、決算認定にあたっては、議員と執行部が事業執行現場に出掛け、事業成果の可否について現場で議論する「一日現地議会」の開催といった発想があってよいと思う。

   最近ではネット中継により家庭で議会を見ることも可能になったが、住民自らもっと議場に足を運び論戦を直に聴くべきと思う。議会側も住民に配慮して休日開会を検討するなど、議場こそ住民に身近な議論の現場となり得る工夫と仕掛けが議会改革の第一歩だ。 

河内山哲朗・前山口県柳井市長

 地方議会の果たすべき役割について、市民(有権者)には大別して二つの考え方があると思われる。一つには行政に対する市民の声の伝達者の役割であり、もう一つは行政監視、とりわけ税金の適正な使われ方の監視の専門家の役割である。

 双方とも大切や役割であることは間違いないが、最近では二つ目の役割がより重要視されていると思う。二元代表制を取る以上、執行権者である首長も自らが市民目線から遠ざからないように「広報広聴」機能を充実させている現在、行政監視に特化するほうが有権者の利益につながる。

 そのために、少数精鋭主義の議会の態勢を提案したい。具体的には、議員定数を減らし、報酬を思い切って増額する。議会事務局や調査スタッフも予算面でも人員面でも充実し、執行権者と対等に渡り合える強く賢い議会にする。議会費を増やすことなく実行可能である。 

渡辺英彦・富士宮やきそば学会会長(静岡)

   地方議会に関して感じていることを述べさせていただきます。

 地方自治に関して真剣に考えている者なら誰しも同じことを感じていると思うが、

議員の役割が目先の利得に歪められ、本来の政策論争が展開されていないのが実情なのではないか?

 政権交代を受け、中央とともに地方の惰性的枠組みを変革するには今がチャンスだ。 

   私の地元では、今回の衆院選直前に知事選があり、民主党の推薦する大学学長が選出され、自民党中心に運営されていた議会に風が吹いたことを実感しているが、元の木阿弥にならないためには、業界との癒着、口利き、陳情等もたれかかりの構図を徹底的に廃止する必要があるが、私は選挙制度そのものを改革しなければ根本的な解決には至らないと考えている。

 地方の選挙はお金で票を買うことが当然であるかのごとく、後援会のパーティーや

ゴルフコンペ、旅行などに有権者を参加させ、選挙活動は政策の提示ではなく挨拶回り、 投票日直前には泣いたりわめいたり土下座をしたり・・・。

 これでは心無い有権者は当選したら必ず見返りを求めなければ損だと考え、口利き、陳情のスパイラルが続いて行く。基本的に選挙には供託金以外に費用を掛けない仕組みが必要であり、公的出版物や公共放送に順ずる場以外でのPRは禁止し、参加意思のある有権者が自発的に候補者の考えを確認できる場さえ確保出来れば良い。そうすることで、基本的に教養レベルの高いコミュニケーション能力を持った候補者と有権者間で健全な選挙が行われ、必然的に地方議会のレベルアップ、健全化につながるものと思う。 

長谷尾雅通・高知短大非常勤講師(高知)

 地方分権の基盤のひとつは議会である。何故なら、法律で規定された民意を反映する最も基本的なシステムであるから。その点、大分県議会は、ここ数年で積極的な改革を成し遂げてきた。議会基本条例の制定、一般質問における一問一答方式の導入等々、その他議会の活性化、オープン化に繋がる方策の検討を絶えず行っている。これは議長をはじめ各議員の意識が高いからに他ならない。

 他方、基礎的自治体である市町村議会はどうであろうか。合併により市の規模は大きくなり、議員も広域から選出されている。しかし、議会改革という動きは見あたらない。例えば、職員の給与水準が類似団体に比べ高いにもかかわらず、市町村議会で議論すらされない。住民に身近な、分権改革で中核を担う市町村で、議会がしっかり機能を果たさなければ、地方分権も覚束無いであろう。そのためには、地域住民の政治への関心を高め、参画させる行政側の努力も怠ってはならない。 

山崎美代造・前とちぎインベストメントパートナーズ社長

地方自治の本旨は、自治体に自治権を保障する団体自治と住民に地方自治参加を保障する住民自治である。これを踏まえ、地方議会改革試案の第1は、議会と執行機関との健全な相互牽制機能の堅持である。地方自治制度では、議会は首長の提案する議案審査権等を通して執行機関の監視をする大きな役目を持つ。

しかし、実態は議員の支援を受けて当選した首長は議会と過度に友好的になり易く相互牽制機能が作用し難い。もたれ合いは行政腐敗をもたらす。議論の場におけるな対立と緊張感の存在こそ重要。第2は、議員の定年制である。当選回数が多いほどボス化して行政への介入や議員活動のマンネリ化、業界癒着等の弊害が生まれる。このため3期12年の定年制を設ける。第3は一般の勤労者、主婦等が議員になれ、活動ができる制度の整備である。例えば、安い費用で選挙活動ができ

、議員活動休暇制度や休日夜間議会の開催、託児所の設置等一般の人が議員活動のし易い条件整備をしてはどうか。これらの実現によって、制度の本旨である真に身近な住民参画議会が生まれると考える。 

    【補足意見】

   いろいろな意見があって勉強になります。補足して、私の行政経験と議会傍聴で感ずることは、議員は特権意識を持ち、サラリーマン化して、自分で調査研究した質問が少ないように思う。質問内容は、執行部に相談、都合のいい質問にされてしまう。極端なものは執行部に質問を造ってもらうものもあった。質問の内容も既に決まっているものを引き出し自慢にする、執行部と議員が「なあなあ」関係になっている場合が多い。

 議会は劇場化して、大勢の後援会メンバーを傍聴席にしてカッコヨク演技する場となっている。地方テレビなどあると選挙運動の場になっている。本質的議論がなされていないように感じる。

 したがって、一問一答になっても質問の内容が変らないと改革にならないと思うがどうか。 

松田千春・滋賀県企画調整課副主幹

   今回の選挙で滋賀県は自民党選出議員ゼロ県の一つになった影響もあってか、自民党会派が分裂するなど県議会において揺らぎが起きている。

 そもそも県議会と知事は住民福祉の向上という目的を共通でもっているはずであるが、議会の監視機能が強く意識されすぎ、共に築き上げるというより対立する色彩が濃かった。

 二元代表制が十分機能するには、議会の政策面での体制強化が必要であり、執行部側は一層の情報開示が求められるのではないか。

 滋賀県議会においては、一問一答式が導入され、議論が活発化し、内容も深まったように思うが、さらに議会の休日や夜間開催などの工夫により、県民が自分たちの代表の議論の場として議会を身近に感じることが必要なのではないか。

 さらに県議会には住民自治と国政をうまくつなぐことができるような制度的担保が必要であると考える。 

沢井安勇・日本防炎協会理事長(東京)

 現在の地方議会の停滞傾向は、カリスマ性を高め直接民主制的行動が目立つ首長に比べ、議員個々人が狭い地域・組織の利益代表から抜け切れず、議会全体として広範な民意の集約ができていないこと、首長のチェック・抑制機関に終始して、本来の立法機関として主体的な政策主張・行動を怠ってきたことにある。議員個々人の選挙地盤だけでなく地域全体の意思を知り市民との対話機会を増やすための努力、例えば、市民パネルや市民議会(以前提案したもの)の開催、現在は首長が主催している住民投票の議会による実施などを行ってみてはどうか。また、議会の政策立案・提案能力を高めるため、議会事務局の調査部門を強化し、外部からの人材を入れて政策シンクタンク化を図ってみては如何か。また、

合併で大型化している地方議会をスリム化する一方で、EU諸国に多い近隣議会制度の導入などによる地域コミュニティの意思を地方議会に反映する仕組みを強化してはどうか。  

真淵智子・伊香保おかめ堂本舗取締役(群馬)

 地方議会改革を語る以前に、今回の国政選挙を経て、いよいよ「政治」というものが、どこか天上か舞台の上でなく、私たち市民のところに引きずり下ろされて来たという印象を受け、実は非常に緊張しています。

地域に根ざした自由度の高い政治が適正に行われるようになるには、自民でも民主でもなく、結局は「賢い市民」のマンパワーが最も必要とされる世の中になったと自覚したからです。このことは至極当たり前の定義だったのかもしれませんが、実際には長きに渡って私たちの生活と「政治」とはどこか別世界のように切り離された関係だったように思います。しかしこれからは、劇場で舞台をながめているだけでは駄目で、自ら政治に興味を持ち、調べ、参加し、見張り、見守るということが私たち自身に求められています。

   ただしこのことは、単純でありながら簡単でもないと感じています。第一に、私たちは今まで一度も「政治への参加の仕方」というのを具体的に誰かに教わった経験がありません。近所にも知り合いの中にも議員の人がいません。議員に立候補するだけが政治参加ではないはずなので、その方法などについて、義務教育のうちから「教育」する必要があるのではないでしょうか。第二に、政治参加の材料としてディスクロージャーを徹底させる必要があります。第三に、従順な市民の目には、「モノ言う」オンブズマンは、クレーマーや反体制派と映りがちです。子どもの頃からの教育に加えて、住民の意識改革も必要でしょう。それには、マスコミの力も重要だと思います。市民一人一人の意識の高さが、地方議会にも適度な緊張感をもたらすのではないでしょうか。 

都竹淳也・岐阜県商工政策課課長補佐

地方議会の課題の一つに、首長・執行部のチェック機能が十分に発揮されていないことが、いつも挙げられる。その原因は政策等に関する議員の情報不足にあると私は見ているが、実はそれには執行部の責任が大きい。

 私たち行政の職員は、議会から資料等を請求されると、本能的に情報の提供を抑制する傾向がある。余分な資料を出して追求を受けてはかなわないと考えるからだ。その結果、議員と行政の情報量の差は決定的になる。

 議会の活性化のためには、まず、議員が十分な情報を得られるようにすることだ。最低限、記者発表資料の原文は議員にメール配信する。情報公開条例により入手できる資料は、任意で提供することをルール化する。さらに、議会事務局の調査機能を強化し、独自の分析で地域の課題を議員に提供する取組も必要だ。

   ベースとなる情報が共通になって、ようやく議会と執行部は現実感のある議論ができる。地方議会改革はそこがスタート地点だと思う。 

藤波匠・日本総合研究所主任研究員(東京)

   地方議会改革がうたわれています。首長や行政との馴れ合い議会であれば不用と

いった主張もあれば、分権時代の主役といったものもあります。確かに、質問も答

弁も自治体職員任せの現状では、存在意義が問われます。

 二元代表制という特色ある制度ですから、私自身はその役割を果たしてもらいた

いと思っています。同時に、地方分権下、地方議会のあり方も多様であっていいと

も思っています。議員と職員の個別接触を許さず、議会の独立性を確保し、自治の

監視役と地方立法府としての役割を厳密に果たさせるのも一案です。一方、小規模

自治体では、議会の廃止や、ボランティア議員による夜間開催も視野に入れるべき

です。分権の理念に基づき、地域の実情に合わせ、地域自らが議会のあり方を規定

すれば良いと思います。

 例えば、10年後に議会のあり方について住民投票を行うことにすれば、現職議員

の目の色も変わってくるのではないでしょうか。 

鈴木泰弘・小名浜まちづくり市民会議副会長(福島)

   地方の議会のあり方は、政令指定都市以外の、特に中核市を含めた地方都市については

国政の政党勢力とは違った勢力図での運営が必要ではないかと感じています。

   というのも現状の国と地方の財源的な枠組み、更には法制度の下では、政党政策というより、地域の実情に合せた動きがどれだけとれるかが重要であると思います。

   格差社会と叫ばれる中、例えば、地域医療の問題、公共事業の在り方など中央政権に頼っているだけでは解決しない実情があります。そのため、地方の実情に合せた施策展開が必要なのは皆様承知の上であると存じます。

   そこで、いわゆる党派を超えた市民党的な立場と要素を、首長を始め議員一人一人が持つことが大切なのではないでしょうか。

   そういったスタンスと活動の中で、地方独自の行政サービスと自立した地域経済が再生して行くことが望ましいのではないでしょうか。


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