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NPO,研究者,行政担当者等の意見

地域再生列島ネットから

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地域再生列島ネットから

 地方が抱える問題を話し合うため、全国の地方新聞社と共同通信社が識者らとつくった。街づくりなどに取り組むNPOの代表者や研究者、行政担当者ら多様な専門を持つ47人で構成する。毎月、テーマを決めてメールで意見交換を進め、インターネット上の「シンクタンク」を目指す。

少数精鋭で首長と論戦を 地方議会にも変革必要 

 「少数精鋭で首長と論戦を」―。全国の地方新聞社と共同通信社が識者らとつくる「地域再生列島ネット」が「地方議会」をテーマにまとめた第4回意見・提言から、期待される議員像が浮かび上がってきた。分権を支える地方議会だが、人気をバックに発言力を増す一部の首長と対照的に関心も存在感も薄い。地方議会にも、変革を求める声が高まっている。
 
▽スーパー議員を

 「議案に対し認識不足、勉強不足だと感じることがしばしばある」と、伊豆哲也(いず・てつや)・TMO佐賀タウンマネジャーは、地方議員の現状を指摘。高橋泰子(たかはし・やすこ)・緑と水の連絡会議理事長(島根)も「田舎の義理人情の中では、活動の大半が冠婚葬祭への出席」とし、多くの人が議員活動に不満を示す。
 その原因を田村亨(たむら・とおる)・室蘭工大教授(北海道)は「独自のビジョンを打ち出すことはほとんどない」とし、発信力のなさとみる。行政が「本能的に情報提供を抑制する傾向がある」(都竹淳也(つづく・じゅんや)・岐阜県商工政策課課長補佐)ため、議員が自力で問題を分析し新たな提案をすることは難しい。
 しかも、支援・補佐役となる議会事務局職員は、総務省などによると都道府県は40・3人だが、市・区は8・1人、町村は2・5人にすぎない。執行部職員が交代で務めるケースが通例で、独立性も乏しい。小規模な自治体は「人手の確保が厳しい」(全国町村議会議長会)のが現状だ。
 河内山哲朗(こうちやま・てつろう)・前山口県柳井市長は、定数を大胆に減らす代わりに報酬を増額し、少数精鋭の「スーパー議員」を提案。沢井安勇(さわい・やすお)・日本防炎協会理事長も、事務局に人材を入れてシンクタンク化するよう求めた。首長と対等に渡り合える議会の実現を求める声は強い。
 
▽住民参加の道

 幅広い人材が議員になれるための制度改革も大きな課題だ。山崎美代造(やまざき・みよぞう)・前とちぎインベストメントパートナーズ社長は、ベテラン議員の支配やマンネリ化を防ぐため、3期12年の定年制を提案。白戸洋(しらと・ひろし)・松本大教授(長野)は地区推薦廃止を訴え、議員が利益代表とならないよう求めた。
 全国町村議会議長会によると、町村議の職業は農業が圧倒的に多く、卸売・小売業、サービス業や建設業が続く。サラリーマンや主婦らが参加しにくい現実を示しており、多くの住民が議会を遠い存在に感じる原因だ。
 藤波匠(ふじなみ・たくみ)・日本総合研究所主任研究員は地方議会は多様でいいとして、小規模な自治体はボランティア議員が夜、論議するなど地域が議会の在り方を決めれば良いとする。地域に合わせ、多くの人に参加の道を開く議会を探るのは一つの方策だ。
 阿部欣司(あべ・きんじ)・北海道電力地域担当部長は、北海道栗山町議会が報告会など住民への情報公開に力を入れており、真剣論議が新たな知恵につながると指摘。改革が実を結ぶには住民参加も不可欠だ。

 ◎「地・宝・人」
 「地域再生列島ネット」に参加した多彩な人たちを「地・宝・人(ち・ほう・じん)」と名づけた。その活動と横顔を順次、紹介する。

◎観光カリスマとして活躍する長崎ランタンフェスティバル実行委員会幹事長、林敏幸さん

長崎ランタンフェスティバル実行委員会幹事長の林敏幸さん=長崎市


  冬の長崎市を約1万5千個の中国ちょうちんが彩る「長崎ランタンフェスティバル」を、全国区の風物詩に押し上げた立役者。国の観光カリスマにも選ばれ、講演依頼が舞い込む。懇親会では料理にはしが付けられないほど質問攻めに合うが「資源がなく切羽詰まった地域の人と話すと勉強になる」。
 華僑2世として3人兄弟で中華料理店を営んできた。かつての長崎は独特の中華街らしさがなく、兄が「長崎にも門を建てたい」と言い出した。資金確保や地元の説得に奔走、1986年に門を完成させた。「あの時苦労して走り回ったのが原点」と振り返る。
 翌年、中国にならい春節(旧正月)祭を始めた。ビニール製ちょうちんを数百個ぶら下げただけのささやかなイベントで「観光客誘致なんて大それたことは考えていなかった」。しかし、90年代に入り宿泊客の激減を受け、市は春節祭の拡大を提案。中華街の店主らは「役所に主導権を取られるのは嫌だ」と反発したが、行政側と酒を酌み交わし議論を重ねるうち距離は縮んでいった。
 初回の94年は15万人を動員、2007年は92万人に達した。成功のこつは「地元の結束とよそ者を温かく迎える市民のDNA」。細かい規制をめぐり行政と衝突もするが、対等な立場で譲り合うことが大事だと説く。
 最近は小学校でも話をする。「子どもは宝物。将来の祭りを支える存在」と力を込めた。63歳。

◎おかみ仲間と活動を続ける伊香保おかめ堂本舗取締役、真淵智子さん 

女性客にオリジナルのせっけんを説明する真淵智子さん=群馬県渋川市

  石段で知られる群馬県・伊香保温泉。江戸時代から続く老舗の土産物店を経営するかたわら、温泉旅館の若おかみら4人で「伊香保おかめ堂本舗」を設立し、ユニークな活動を続けている。
 大学卒業後、東京で会社員生活を10年余り送った後、帰郷。おかめ堂の仲間と、このまちの温泉以外の魅力は何だろうと話し合ううち、切っても切れない関係にある、せっけんを自分たちで作ろうと意見が一致した。
 自慢の源泉を練り込んで、2004年12月に売り出したせっけんは、1個840円とやや高価だが、当初作った千個は2~3カ月で完売。偽装表示問題で揺れた伊香保温泉に、明るい話題を提供した。せっけんは今も人気を集めており、温泉入りスプレーなど新たな商品も開発した。
 「ものだけでなくコトも紹介しよう」と、06年からは、ガイドブックに載らない話題を自分たちで集めたフリーペーパーを年4回、発行を始めた。芸者遊びや伝統工芸の職人技を、女性らしい柔らかなデザインと軽快な文章で紹介する紙面からは、魅力を伝えようとの熱意が伝わってくる。
 旅行雑誌の記者に「売り物は」ときかれ、口ごもってしまった苦い経験もあるという。「今は言いたいことばかり」と笑う。温泉街が元気なら、魅力を感じて新たな人も入ってくる。「そのためにまちを磨くしかない」と決めている。44歳。