第4部 地方議会動く
蔵王 「会期は通年」
「定例会は年4回」が議会の慣例、常識だが、本当にそれがベストか。
蔵王連峰の懐に抱かれた人口約1万3千人の宮城県蔵王町。スキーリゾートとして名高い小さな町の議会(定数16)で「常識」を打ち破る挑戦が始まっている。
ことし1月5日に開会した議会は、会期を12月28日までの約1年間とした。
▽住民と意見交換
「例えば災害時に議会が閉会中では、町民から何のための議会かと批判される。住民ニーズを町政に反映させるには、機動的な議会にする必要がある」。議長の村山一夫(むらやま・かずお)さん(65)は、通年議会の意義をこう説明する。
通年といっても、年4回の本会議で議案を審議する流れは従来通り。常時開会のメリットは、議会に諮らない首長の専決処分を減らしたり、常任委員会の活動を活性化させたりする点にある。
地域に開かれた議会にするのも狙いの一つだ。本会議の合間を縫って、住民との意見交換会や「住民と共に歩む地方議会」と銘打った講演会を積極的に開き、議会への住民参加を促している。
「観光の町なのに地元農産物を出す飲食店が少ない」「学校給食に地場産品の活用を」。総務経済常任委が7月下旬に開いた農業者との意見交換会では、30代~40代の出席者4人から暮らしの現場から生きた政策提言が次々に上がった。
これまでも議会によるヒアリングはあったが、対象は補助金交付団体に限られ、若年層との接点は少なかった。参加した関口英樹(せきぐち・ひでき)さん(30)は「提案を真剣に聞いてくれて励みになった」と議会への親近感を語る。
▽次は基本条例
蔵王町議会が議会改革への一歩を踏み出したのは改選直後の昨年2月。議員全員で「議会活性化のための議会改革検討会」を組織し、17の検討事項を設定した。「できることから始めよう」。それが通年議会だった。
議員を束ねて改革に突き進むのは決して容易なことではないが、村山さんの熱意は揺るがない。町は過去に町長の汚職など不祥事が相次いだ。あのとき「チェック機能を果たせなかった」という悔いが改革の原動力だ。
「改革の成果を住民が実感できなければ意味がない」と指摘するのは総務経済常任委員長の馬場勝彦(ばば・かつひこ)さん(49)。「議場の外に出て住民の声を聞き、政策提言につなげていきたい」と言う。
次の改革目標は、議会のあり方を明文化する議会基本条例の制定。素案はほぼ完成し、議会報告会での意見を参考に仕上げる。改革のツールはそろいつつあるが「開かれた議会」の真価が問われるのはこれからだ。(河北新報社、文・藤田和彦、写真・長南康一)
通年議会 北海道白老町議会が2008年6月に全国で初めて導入した。宮城県蔵王町議会は2例目。同町議会は通年議会のほか、年2回の議会報告会の実施、議会への住民参画(例えば請願者による本会議での趣旨説明)など、17項目の改革に取り組んでいる。
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第13回 7月下旬予定

