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第3部 「環境とともに」

料理を試食する「東京ローカルレストラン」のメンバー。どうPRするか、真剣な議論が続く=東京・渋谷のレストラン
【04】

まとめ 「開発秘話」

 「このオクラ、食感がいいね」「豚肉もジューシーだ」。8月初め、東京・渋谷のフランス料理店。テーブルには長野県や神奈川県産の無農薬栽培野菜や血統を重視した豚肉など、こだわりの素材を使った料理が並ぶ。試食した「東京ローカルレストラン」のメンバーがかわす会話は弾んだ。

 ▽業界超えて注目

 都内の企画会社が運営するこのグループには、栄養士や大学教授らが参加。知られていない地方の食材を発掘、料理店へ紹介する活動を続ける。昨年10月から毎月開く和食や洋食の有名店での食事会は、腕利きのシェフに協力を求め、なじみのない食材を売り込むための料理の開発が目的。これまでに22県分のメニューが出来上がった。
 「地域産品の情報を知りたいお店は多い。東京と地域をつなぐきっかけに」。企画会社代表の浅雄一(あさ・ゆういち)さん(32)は話す。料理が広がれば食材にも光が当たる。生産地、消費地双方の利益を上げようとの試みに大手食品メーカーが協賛金を出資し、中小企業基盤整備機構も支援している。
 自然や伝統、健康のイメージと重なる地域産品は、大量生産・大量消費の商品にない魅力を持つ。その土地にしかない技術、資源に裏打ちされた強みは、景気の波に左右されない切り札となる。
 飲食店経営の「エイチワイシステム」(東京)は、都内に秋田の「きりたんぽ」や「佐賀牛」など6県10店舗の郷土料理店を展開。2013年までに47都道府県、それぞれの味を楽しめる店舗をオープンする計画だ。
 物流大手のヤマトホールディングスは、各地の航空貨物業者9社と共同出資会社をことし3月、設立した。配送時間を短縮、小口の積み荷に対応できる地域密着型ネットワークを整えるのが狙いだ。北海道の野菜を収穫した日に東京に届く速さが売り物。地域産品に注目する動きはさまざまな業界に広がりつつある。

 ▽時間かける覚悟

 しかし、地域の柱に育てるにはハードルはある。日本総合研究所の金子和夫(かねこ・かずお)上席主任研究員(56)は「ブランド・ストーリーが鍵」とみる。価格では大量生産の商品に対抗することは難しい。品質や製法、開発秘話などほかにない「物語」をアピール、付加価値を高める必要があるというのだ。同時に「戦略策定から販路開拓、生産体制整備まで5~10年」(金子氏)かける覚悟も重要だ。
 福島県喜多方市の醸造業や神戸市のケミカルシューズ業界、佐賀県・有田焼の窯元は伝統に新たなページを加え、次の時代の「物語」を紡ぎ始めた。共感を広げる試みは、地域力を一段と高めることにつながるはずだ。(共同通信社、文・片山寿郎、写真・金子武史)

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一口メモ
地域ブランド

地域ブランド 地域名を冠した商品やサービスで、価値が広く認められているものを指す。農水産物や食品、伝統工芸品、祭りなど多岐にわたる。2006年4月、地域ブランドの商標登録を認める「地域団体商標制度」が導入、8月11日現在で435件が登録されている。



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