47NEWS >  地域ニュース >  地域再生 >  第3部 「自力で開く」  > 【02】神戸 「大手の下請け返上」

地域再生 毎月更新

第3部 「自力で開く」

地元メーカーのオリジナルブランド靴が並んだ「神戸シューズコレクション」=神戸市中央区のそごう神戸店
【02】

神戸 「大手の下請け返上」

 「エアフィ」「プチ・カドゥ」「かぼちゃの馬車」―。8月下旬、神戸・三宮のデパート特設売り場に見慣れないブランドの婦人靴が並んだ。レース素材を使ったり、毛皮や金具をあしらったりしたブーツやパンプスなど秋冬物の最新作約400種類。訪れた客は熱心に見入っていた。
 「神戸シューズコレクション」に出品したのは、神戸市長田区一帯の中小メーカー13社。大手や問屋の受注生産が中心だったが、ここ数年、自らのオリジナルブランドで新たな市場に乗り出した。「履き心地、デザイン性とも大手に負けない自信がある」「不況打破のきっかけに」。経営者らは意気込みを語る。

 ▽直接、消費者へ

 合成皮革を使ったケミカルシューズで国内シェアの約6割を占める兵庫県。中でも長田区には、縫製工場や木型、靴底メーカーなど関連業者が数多く集まる。その「靴のまち」を14年前、阪神・淡路大震災が襲った。多くの企業が工場の焼失や倒壊など壊滅的被害を受け、廃業に追い込まれたケースも少なくなかった。
 同区の「丸二製靴」も震災で工場が全焼。約3千万円を投じて更新したばかりの設備はすべて灰になった。新たに機械を購入し4カ月後、生産を再開したが、バブル崩壊以降、長引く不況や原材料高、中国製品との価格競争などが重なり、受注は伸び悩んだ。活路を求めたのが、自社ブランドの設立だった。
 「自分で作った靴を直接消費者に届けたかった」。山本美代子(やまもと・みよこ)統括部長(64)は話す。同社は現在、ブライダル向けの「リサラ」など二つのブランドを展開、コレクションには約20種類の新作を出品した。オリジナル商品が軌道に乗れば、大手の下請けと比べ利益も高まり「神戸ブランド」のイメージも上昇する。

 ▽中国市場も照準

 ライバル中国に販路拡大を求めるメーカーもある。各地に自社ブランドの直営店を置く「カワノ」は7年前、香港に進出。年商は1億5千万円に上り、ことし7月には2号店を出店した。河野忠友(かわの・ただとも)社長(43)は「中国人と日本人は体格や足形が似ており、日本製の商品をそのまま持ち込める。現地製品より価格は高いが、富裕層を中心に人気が高い」と分析する。
 次に狙うのは、日本を訪れるアジア各国の観光客。神戸の靴のファンが広がれば、業界全体が潤う。「日本製品は安心・安全が強み。長田の靴をアジアのトップブランドに育てたい」。河野社長は夢を描く。(神戸新聞社、文・阿部江利、写真・中西大二)

twitterにこのエントリを登録
一口メモ
神戸のケミカルシューズ

神戸のケミカルシューズ 明治の神戸港開港を機に海外のゴム製品メーカーが工場を構え、周辺にゴム靴業者が集積したのが発端。現在、日本ケミカルシューズ工業組合に加入する企業は103社。足型作りや革の加工、縫製など企業ごとに担当分野があり、地域内分業で靴を生産している。



地域再生
NPO,研究者,行政担当者等の意見

地域再生列島ネットから

47TOPICSから
ニュース特集