第3部 「自力で開く」
喜多方 「5ミクロンの微生物」
「あの山にある宝物で地域を元気にしたい」。ラーメンのまちとして知られる福島県喜多方市の会津喜多方商工会議所総務係長、高久大志(たかく・だいし)さん(35)は、真夏でも白い雪の残る飯豊山(いいでさん)(2105メートル)を指さした。
▽託す大きな夢
高久さんのいう「宝物」は肉眼では見えない。大きさは5ミクロンほど。顕微鏡でしか確認できない酵母、乳酸菌などの微生物だ。極小の生き物に、地域おこしの大きな夢を託す。みそ、しょうゆ、日本酒など醸造品の新開発プロジェクトが進んでいる。
喜多方市は古くから醸造業が盛んだった。市内には醸造蔵、店蔵、座敷蔵など4千を超える蔵がある。かつては「蔵を建てて初めて一人前の男」と言われたほど。だが、日本人の食生活の変化や景気低迷などで醸造品の売り上げも伸び悩み、商店街には空き店舗が目立つ。今年3月発表された公示地価では商業地、住宅地ともに、県内で下落率が最大だった。
「微生物でまちおこし」という大胆な発想の生みの親は、人事交流で市商工課にいた経済産業省競争環境整備室総務係長、荒川洋(あらかわ・ひろし)さん(35)。「昨年の夏、地酒を酌み交わし、議論していた時に思いついた」と振り返る。
話を聞いた市マーケティング課主査、石田智久(いしだ・ともひさ)さん(40)と、高久さんは商工会議所が主体となり取り組むことを計画。国の「地方の元気再生事業」に採択された。
▽青や緑の酒も
「微生物ハンターを結成し、役立つ酵母や乳酸菌を探そう」。取り組みは決まったが、3人ともこの分野は素人。県ハイテクプラザ副所長、桑田彰(くわだ・あきら)さん(57)や、福島大理工学群准教授、杉森大助(すぎもり・だいすけ)さん(42)に支援を要請。醸造業者も巻き込み、昨秋から勉強会を重ねた。県内の小野町出身の元東京農大教授で発酵学者、小泉武夫(こいずみ・たけお)さん(66)を招き、シンポジウムも開いた。
微生物ハンターには微生物研究企業の社員、大学生、醸造業者ら6人が応募。喜多方市の歯科医、志田公司(しだ・こうじ)さん(63)を隊長に9月中旬、飯豊山に登った。山頂や万年雪の下など20カ所を目標に1グラムずつ土を採取する。微生物は、会津坂下町の会津農林高の教諭、生徒が分析、選別、培養などに当たる。
「新種が見つかればいいが、確率は極めて低い。ただ、飯豊山の微生物を使った新商品の付加価値は高いはず。微生物研究所の設立も計画している。暗闇に光るみそ、青や緑の日本酒などを開発できれば」。高久さんたちの挑戦が本格的に始まる。(福島民報社、文・馬場憲明、写真・丹治次男)
地方の元気再生事業 2008年度から国が始めた。魅力あるまちづくり、地場産業振興など地域の実情に応じた自主的なプロジェクトを支援する。初年度は全国から1186件の応募があり、120件が採択された。
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地域再生列島ネットから
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【意見のまとめ】財政に住民の声反映させるには - 9.『地域への誇りが魅力に』
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【意見のまとめ】鍵は愛着教育と特色づくり
第13回 7月下旬予定

