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NPO,研究者,行政担当者等の意見

地域再生列島ネットから

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地域再生列島ネットから

 地方が抱える問題を話し合うため、全国の地方新聞社と共同通信社が識者らとつくった。街づくりなどに取り組むNPOの代表者や研究者、行政担当者ら多様な専門を持つ47人で構成する。毎月、テーマを決めてメールで意見交換を進め、インターネット上の「シンクタンク」を目指す。

NPO、地域の顔に期待 行政の影響などハードルも

 全国の地方新聞と共同通信が識者らとつくる「地域再生列島ネット」は「地方自治の新たな担い手」をテーマに、第2回意見交換を行った。人口減や高齢化で地域の基盤が揺らぐ危機感から、活動が広がる特定非営利活動法人(NPO法人)に期待が集まった。同時に、資金面などで行政の影響も懸念され、新たな「顔」が育つには多くのハードルが残っている。
 
 ▽協働がキーワード

スタッフらと話す吉成信夫・岩手県立児童館いわて子どもの森館長(左から2人目)=岩手県一戸町

 NPO法人は、1998年の特定非営利活動促進法施行で一気に増えた。内閣府によれば、法人数は3万7千を超え、活動分野も福祉・医療や教育、環境などに広がり、社会の新たな担い手として存在感を高めている。経験を重ね「行政的手腕も蓄積」(高橋泰子(たかはし・やすこ)・緑と水の連絡会議理事長=島根)しつつある。
 「協働をキーワードに」(田中幹夫(たなか・みきお)・富山県南砺市長)、「寄せ木細工のようにつながれば」(松田千春(まつだ・ちはる)・滋賀県企画調整課副主幹)など、行政の立場からNPOとの協力は重要との指摘が相次いだ。厳しい財政事情や過疎化で、行政や住民だけでは解決できない問題が増えている実態を反映したものだ。
 税制支援など「インセンティブの付与」(長谷尾雅通(はせお・まさみち)・大分県財政企画監)を進め、NPOが活動しやすい環境整備が重要との声も上がった。

 ▽対等な連携を

 一方、課題が多いのも事実だ。活動の歴史が浅く「信頼のつながりまで高めきれない」(窪田裕行(くぼた・ひろゆき)・福井県政策推進課課長補佐)との指摘や、自主財源がなければ「組織そのものが空中分解してしまう」(熊紀三夫(くま・きみお)・高松丸亀町商店街振興組合専務理事=香川)恐れもある。
 都竹淳也(つづき・じゅんや)・岐阜県商工政策課課長補佐は、行政がNPOを一方的に使うのではなく「対等な立場で連携することが本来の自治につながる」と指摘。黒木定蔵(くろぎ・さだぞう)・宮崎県西米良村長は、住民の活動を行政が支援する「住主公従」の関係を提言した。

 ▽人材も課題に

 吉成信夫(よしなり・のぶお)・岩手県立児童館岩手子どもの森館長は、NPOが産・官・学の関係に割って入るには「まだ力不足」と指摘する。自身もまちづくりに携わり、現在も廃校を利用した体験学習施設を運営するNPO法人の代表を務める。理想を目指し始める活動は「単なるビジネスとは違う」とし「行政と対立しても進める覚悟が必要」と話す。
 大規模なNPOは「行政から業務を請け負い、運営費を確保するケースもある」といい、しがらみを懸念。多彩な活動を進めるには企業などで積んだ経験が貴重だが、サラリーマンがNPOに転職するには収入面など「リスクが大きい」と、人材確保も課題と話す。
 東京出身で岩手県に移住、地縁を打ち破る難しさも痛感したと吉成さんは言う。「地域に根差しながら、ものを言える組織が増えることを期待したい」と話した。

 「地・宝・人」を紹介

 「地域再生列島ネット」に参加した多彩な人たちを「地・宝・人(ち・ほう・じん)」と名付けた。その活動と横顔を順次、紹介する。

 ◎世界の芸術創造拠点に、NPO法人グリーンバレー理事長大南信也さん

今年復元した棚田の前に立つ大南信也さん(左)=徳島県神山町

  「世界の神山(かみやま)」が口癖。やっていることを見るとオーバーではない。
 古里の徳島県神山町で10年前から、仲間と取り組む「神山アーティスト・イン・レジデンス」。国内外から現代アートの若手ら数人を招待、数カ月間滞在し創作や住民との交流をしてもらい最後に作品展を開く。
 豊かな森や日本の田舎の人情に触発されたアーティストのひらめきから、大胆な作品が次々生まれた。鑑賞に全国の愛好者が訪れる。「神山で創作したい」という海外からの希望も増え、今年新たに自費滞在のアーティスト受け入れを始めた。
 父親から継いだ建設会社を経営する。まちづくりでも「仲間の思いを集約、ビジュアル化し方向を示す取りまとめ役」。米国大学院で建築を学んだ経験と、先端技術の頭脳が集中する「シリコンバレー」をモデルに「できない理由より、できる方法を考えよう」とチャレンジ精神を忘れない。
 仲間と徐々に活動を広げてきた。道路清掃の参加団体名を道端に掲示する全国初の「アドプト・プログラム」や森林保全、棚田の再生。廃校や空き家の再活用。いずれも世界のアーティストらが集う「国際芸術村」を構想した活動だ。
 「昨年10世帯21人が神山に移住を決めた」と目を細める。招待が縁で移住してきた芸術家夫婦も。過疎の古里を次の世代につなぐ確かな営みが続いている。56歳。

 ◎地域の元気に取り組む都岐沙羅パートナーズセンター運営理事、大滝聡さん

自身が手掛けたポスターを前に笑顔の大滝聡さん=新潟市

  鮮やかな色と丁寧な彫りで知られる新潟県村上市の伝統漆器「村上木彫堆朱(ついしゅ)」の作家の家に生まれた。東京の美術大を卒業して帰郷。10年ほど修業した後、独立し市内にデザイン事務所を構えた。仕事の幅が広がるにつれて、街づくりにかかわる機会が増えていった。
 特定非営利活動法人(NPO法人)につけた「都岐沙羅(つきさら)」は、同市周辺にあったとされる古代のとりでの名前だ。由来通り、1999年の設立以来、1市2町を拠点に建築家や農家らと起業家やコミュニティービジネスの支援活動を続けてきた。
 地元の信用金庫に起業家を応援する融資制度の導入を働きかけたり、地域通貨「キサラ」も創設。通貨の交換がきっかけとなって、住民が経験や知識を生かして講師となるコミュニティーカレッジが活発になるなど、波及効果が広がってきた。
 「イベントを行うのも良いけど、地域を支えてベースとなるような仕組みをつくりたい」と話す。昔ながらの相互扶助には、よそ者が入りにくい排他的な面もあったといい「良い所は残しながら、新たな助け合いを築きたい」と意欲を示す。
 今、力を入れているのは農林水産業を観光に取り入れたグリーンツーリズム。「小規模農家が消えれば地域が荒れる」と話し、インストラクターの育成など受け入れ体制の整備に取り組む。「夏は日本海の岩ガキがうまいよ」と笑った。51歳。