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第2部 新たな力

山梨県北杜市の活性化戦略を提案する学生=東京都新宿区の早大キャンパス
【04】

まとめ 「リーダー育成」

 人類初の月面着陸を果たした1969年、国民生活審議会の報告書が話題になった。「地域共同体が形骸(けいがい)化、空洞化しており、自主的なコミュニティー構築が必要」。都市化の副作用への警鐘から「コミュニティー」という言葉が広まった。しかし政府の事業は集会施設の建設や自治体向け財政支援に偏った。構築どころか、今では住民のきずなが強かった農山村でも集落が存続の危機だ。
 
 ▽行動力を生かす
 
 今年3月、首相官邸。 「行政に頼らず集落人口を増やした」「担い手は住民や各種団体など多様」。政府の地域経営懇談会で自治体や特定非営利活動法人(NPO法人)関係者は行政から住民主導への転換を訴えた。
 長野県白馬村や京都市、島根県大田市ではいずれも住民、企業が自発的に動いた。活動の軸も住民が参加しやすい景観や街並みで共通している。
 内閣府が7月に公表した世論調査では、地域が元気になる活動に参加したいという人が73%に上った。意欲的な高齢世代の経験や若者の行動力を生かす工夫が必要だ。
 住民組織に関する制度も見直す余地は大きい。まちづくりが目的のNPO法人は全国で約1万5千と5年前から倍増した。しかし煩雑な運営事務に不満が募る。合併自治体が旧町村単位に置いたりする地域自治区の場合、自治体全域の設置が必要だったり、法人格がないため活動が制約されるなどの難点がある。
 
 ▽「邪魔」しない
 
 リーダー役の不足も課題だ。政府はようやく人材育成支援に本腰を入れ始めたが、取り組みは教育の場にも広がる。
 「地元食材を生かし酒のつまみ開発を」。7月、都内で早大大学院公共経営研究科の学生らが山梨県北杜市の幹部を前に、市の活性化戦略を提案した。市内に大手洋酒工場が立地するのに目を付けたアイデアだった。
 担当の片木淳(かたぎ・じゅん)教授(62)は「地域の全体像を描ける担い手が少ない」として、住民を引っ張れる人材を育てたいともくろむ。住民とひざ詰めの議論を重ねた院生、幸地玲奈(こうち・れいな)さん(22)は「将来は地域資源のブランド化の仕事をしたい」と話す。
 一方住民活動は資金不足がネックで、行政の補助金は使い道のルールが細かいとの不満も。住民側に権限を託す地域内分権がもっとあっていい。
 コミュニティー再生を検討する参院調査会で4月、出席議員から指摘が出た。「地域の宝を生かすのは住民。国がああこうと指導するのは卒業し邪魔してはならない」。迫る衆院選。政治家も本気度が問われる。(共同通信社、文・岡部智也、写真・武隈周防)

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一口メモ
政府の人材育成支援

政府の人材育成支援 都市住民を送り込む総務省の「地域おこし協力隊」や農林水産省の「田舎で働き隊」、水源地域の活性化に取り組むリーダーを養成する国土交通省の研修事業など幅広いが、各省が縦割りで個別に実施しており、連携強化が課題。



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